sf0
今回紹介いたしますのはこちら。

「SPY×FAMILY(スパイファミリー)」第5巻 遠藤達哉先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。


さて、新しい家族として犬のボンドが加わったフォージャー家。
ですがご多聞にもれず、ボンドもまた特殊な能力の持ち主で、何と未来を予知する力を持っていました!
全員の力を知っているのはやっぱりアーニャだけ。
心強い仲間ではあるものの、トラブルの種にもなりかねないボンドを加え、ロイドのオペレーションはどんな方向へと転がって行くのでしょうか!?




バーリント総合病院事務、フィオナ・フロスト。
ロイドの表向きの顔である職業である医師としての同僚の女性です。
ですが彼女、もう一つの職場でもロイドと同僚でした。
コードネーム「夜帷」……そう、スパイ「黄昏」としてのロイドの同僚……
彼女もWISEのスパイなのです!!

そんなフィオナですが、今回はWISEの隠れアジトに呼び出され、ロイドとの共同作戦を行うようにと指示されます。
フィオナがロイドの下に訪れてその旨を伝え、作戦の手順も伝える。
そんな手筈を聞いたフィオナは、了解です、と頷いた後に、任務の窓口を担当するシルヴィアにこう尋ねました。
「梟」の進捗は?と。
梟、それはロイドが今手掛けている任務の中で最重要且つ最も長期的な展望で行われている重大任務……デズモンドとの接触及び情報収集任務の事。
要するに、「フォージャー家」としての仕事です。
傍から見れば……いや、内部から見てもその計画は順調に進んでいる、とは言い難いもの。
WISEももともと長期的なスパンで考えている任務だけに、そう急いで成果を求めても仕方ないとは思っているようなのですが……
フィオナはそんな進捗状況を聞きますと、申し訳ありませんと謝罪を始めました。
計画始動の時に自分が空いていれば、妻役としてサポートをできたのに、今から出も自分を……
そうは言うものの、「妻」がコロコロと変わっては怪しまれかねませんし、現地人の方が都合のいいことも少なくないでしょう。
フォージャー家は現状維持、フィオナは自分の任務を全うするように、とシルヴィアに言いつけられるのです。
が。
フィオナはぼそりと、こんなことをつぶやくではありませんか。
sf1
フォージャー夫人がリタイアされた場合は仕方ないですよね……?
何やら不穏なつぶやき!
シルヴィアがそれに気が付き、よからぬことを断村むんじゃないぞ、とくぎを刺すものの、フィオナは聞く耳を持たずそのまま立ち去って行きます。
その全身からは、ただならぬオーラが……
すれ違ったWISE関係者でさえ、彼女には驚きと疑惑の目を向けてしまいます。
おーコワ、見たかアレ、出世のためなら黄昏さんの手柄も横取りしようってか。
味方の背中も刺しかねんヤツだな。
眉一つ動かすことなく任務に執着する「夜帷」。
毒婦、冷血、鉄面皮……仲間からもそんなよろしくないあだ名で呼ばれてしまう彼女ですが……
そんな彼女には、実は大きな野望があって……!?

彼女を出迎えたのは、ヨルでした。
突然現れた見知らぬ顔に戸惑うヨルですが、彼女がロイドの職場の同僚で、先日ある用事でそこを尋ねたアーニャが忘れ物をしていった、それを届けに来た、と聞くと警戒を解きました。
今はロイド、アーニャと一緒にボンドのお散歩中。
せっかく尋ねてきてくれたわけだし、中でロイドの帰りを待ってはどうか、とヨルはフィオナを招き入れるのです。
……実はここまでの流れは全てフィオナの計算通り。
この時間にロイドが出かけていることは調査済みで、すぐ帰ってくる用事ならば当然尋ねてきて届け物までしてくれた人をむげに返すことはないでしょうから……!!

ヨルはお茶を出した後、呆然とフィオナの顔を見つめておりました。
キレイな方ですねー、と特に何も考えず彼女の顔を見ていただけのヨルなのですが、フィオナはその視線も注意深く伺っています。
不倫相手が来たとでも思ってる?
そうね、隙あらば妻の座を乗っ取ろうというのだから間違ってはいないわ。
sf2
ヨル・ブライア、あなたが「梟」にとって足かせになる存在なら排除するまで……!
……とはいっても、ヨルの正体は殺し屋なだけに、その身のこなしの隙の無さはフィオナも認めざるを得ない所。
仮に隙を突いて物理的に排除できたとしても、さすがにそれは調査への影響が大きくなってしまうでしょう。
ヨルが自分から家を去るように仕向けたほうがいいだろう、とフィオナはその足掛かりになるものを静かに探し始め……そして、あるものに目をつけました。
お子さん、アーニャちゃん?とても活発そうな女の子ですね。
いろいろ大変でしょう、子育てにうんざりしてませんか?
アーニャは所詮義理の娘、ヨルにとって重荷にならないわけがない。
フィオナはそう考えてそこから切り込むことにしたのですが……もちろんヨルがアーニャを疎ましく思ったことなど一瞬もないわけで。
元気なのはとてもいい事です、アーニャさんといるのはとても楽しいです。
質問の裏の意図なんて全く読むこともなく、ヨルはそう返すのですが……
だからと言ってヨルにも全く思うことがないわけではありません。
でもいろいろこなされているロイドさんは確かに大変そうだな、と、私が至らぬばかりに……と、素直な気持ちをこぼしますと、フィオナはそこを的確についてきます。
己の未熟さを自覚すべきだ、子の作戦にはふさわしくない……!
そんな思いを込めて、フィオナは言いました。
そうそう、フォージャー先生職場でよくぼやいてますよ。
ウチの嫁はいつも……
と、そう言いかけたタイミングでロイドたちが帰宅しました。
予想よりも早い帰宅に少し驚くフィオナ、そしてなぜかフィオナが家にいることに驚くロイド。
とはいえ緊急の案件が舞い込むことも少なくはありませんから、ロイドはすぐに気を取り直して本題に入るのです。

「声」では当り障りのない会話を交わしながら、「口の形」は全く別の言葉を作り、怪しまれないように会話をするロイドとフィオナ。
……心が読めるアーニャにはその会話も筒抜けだったりするわけですが……
ともかく二人は、会話を交わし始めるとすぐにあまりよくない雰囲気になってしまいます。
犬の散歩なんて作戦に必要なのか、雑用ならヨルにやらせるべきだろう、非協力的なのか?
こんなところで黄昏ほどの人物がままごとにうつつを抜かしているなど世界にとっての損失だ、計画の見直しを提案する。
今までの苦労も知らず、ずけずけと好きなことを言ってくるフィオナ。
ロイドからすれば面白いはずもなく、何が言いたい、お前が口を出すはなしじゃない、とロイドも言い返し……二人の間には火花すら散っているような錯覚を覚えるバチバチ具合……!!
アーニャはそのあまりの険悪さに、おねいさん、ちちとなかわるい?わるものすぱい?と気を揉んで、フィオナの心を改めて読むのです。
すると……
sf3
すき。
そんな大きな大きな彼女の心の声が聞こえてきました。
何かの間違いでしょうか。
アーニャは目をごしごしとこすり、改めてフィオナの顔を見て心を読むのですが……
sf4
すぅ、きぃーーーー!
と先ほどまでよりよりはっきり、より強く、ロイドが好きだと言う気持ちを溢れさせていたのでした!!
私の方が絶対奥さん役に適任なのに!!
任務の面でも家庭の面でも超絶サポートして見せるのに!!
彼女の脳内では、物凄い勢いで家事をこなし、生活費もたっぷり稼いで経済的にもサポートし、さらに任務のための情報収集などもばっちり行って、ついでにロイドが負傷なんかしたら優しく治療して……という妄想ストーリーが展開中。
さらにそのすごさに感服したロイドが、ヨルを捨てて自分を選び、さらに世界平和のためにキミと結婚するよ、とプロポーズまでしてくれまして、見事ゴールインする様までたどりついてしまいます。
……そうなのです。
これこそがフィオナこと夜帷の大いなる野望。
……黄昏のお嫁さんになる事、なのです!!!




というわけで、これまたとんでもない新キャラクターが登場した今巻。
任務のため、出世のためにあらゆる手を尽くす敵役……かと思いきや、その実ロイド好き好きの有能なのにポンコツ、というキャラだったフィオナ。
ですが彼女、長年のスパイ生活で強固なものにしたポーカーフェイスで、その感情を全く表に出しません。
それゆえ彼女の想いは、一流のスパイであるロイドたちにも全く気取られずじまいなのです!!
彼女の想いは伝わるのか?
伝わったとしても、ヨルと言う人物が打いる今、その夢がかなうことはないのではないか?
そもそもロイドにも選ぶ権利があるのではないか……?
そんなアレコレを考えてしまうフィオナの登場ですが、ここにやってきてしまったからにはあらゆる手段でロイドの妻の座を射止めようと本気で策を弄してくるはず……!
彼女の素性を知らないヨルはもちろん、彼女の本当の気持ちを知らないロイドもその行動は読み切れない、かもしれません!
もしかするとこのピンチを救えるのは、全てを知っているアーニャだけ!?
フォージャー家の未来は、アーニャに託された……のでしょうか!

そんなお話の他にも見どころはたくさん!
毎夜毎夜つらそうな表情を浮かべ、手を傷だらけにして帰って来るヨルの身に降りかかった試練とは?
ダミアンとお近づきになりたいアーニャは、工作の授業で?
一気に落第にリーチがかかってしまいかねない、中間テストに挑むアーニャは?
ハートフルなお話からコミカルなお話、完全にギャグに振り切ったお話まで各種用意されている今巻、やっぱり必見ですよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!