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今回紹介いたしますのはこちら。

「自殺幇女」第1巻 原作・尾北圭人先生 漫画・村瀬克俊先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。


尾北先生は17年にジャンプホラー大賞の銀賞を受賞してデビューした小説家さんです。
本作はその受賞作であり、ジャンプノベルから単行本化された作品を原作とした漫画です。
タッグを組むのは「カラダ探し」シリーズですっかりホラー漫画家としての地位を確立した村瀬先生。
強力タッグで描かれる本作、気になるその内容は……?



そこは見知らぬ墓地。
男がその墓地の奥に立つ、大きな木に向かって歩いています。
墓石の蔭からは……不気味としか言いようのない、鬼の様な怪物たちがじっと男を見つめていて……
やがて鬼の視線が注がれる中、男は気の前にたどり着きました。
そこにはお経のような文字がびっしりと記された一本の柱が立ち、この木が普通ではない何かであることを示しているかのようです。
そして何よりその木が普通ではないのが……先が輪になった縄がぶら下がっていることでしょう。
……どこからともなく、こんな声が聞こえてきます。
首、縊れ。
男はその声に逆らうことができず……
依然注がれ続ける鬼の視線の中、輪の中に首を通すのです……

と、そこで目が覚めました。
早乙女境輔、彼がこの夢を見るのは何度目でしょう。
始まりはここ、彼の通う大学寮の角部屋、203で生活するようになってから、です。
あまりの夢見の悪さにげっそりと疲れ果てた表情を浮かべる早乙女。
そんな彼の下に、1人の女性から着信が入ります。
電話をよこしたのは植村香織。
色っぽい関係などではなく、彼が一応籍を置いている民俗学研究会のサークル仲間です。
そんな彼女の電話をきっかけに、早乙女は久しぶりにサークルに顔を出すことにしたのですが……

部室につくなり、早乙女は香織に怒られてしまいました。
ここに二週間も顔を出さなかったばかりか、その間既読無視やら着信無視、ドタキャンしたり居留守を使ったり、ととにかくあまりにも顔を出さないようにふるまっていた事が気に障ってしまったようです。
ですが早乙女はどこ吹く風、あくびをしながらスルーするのです。
そんな光景はもう見慣れたもののようで、もう一人の部員、森本美彦も全く気にする様子無し。
京都にバイトに行ってきたんだ、と言いながら、そちらの土産話を始めるのでした。
……そしてもう一人、このサークルには特徴的な部員がいます。
傾いてとなりの本棚に寄りかかる形になってしまい、そこから滑り落ちたであろう本の中にうずもれていた

加賀先輩です。
下手すれば死んでいたかもしれないシチュエーションでも、余裕を崩さず、助けすら求めずに三人のやり取りをにこやかに見つめていた彼女。
民俗学研究会はこの4人が中心メンバーのようです。

4人の目下の話題は、早乙女の体調についてでした。
早乙女はオカルティックな話題を口に出すのははばかられるのか、夢の話は皆にしていないようなのですが……どうしても
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その夢を見始めて以来、げっそりと落ちてしまった体の肉をごまかすことはできませんでした。
しばらく見ないうちに一層進んでしまったその症状を見て、一同は驚きを隠せないようです。
その痩躯は、「餓鬼」を連想してしまう。
加賀先輩はそう言いました。
早乙女の夢のことを考えると、あまり笑えない比喩ではありますが……
そうこうしておりますと、森本が素っ頓狂な声をあげました。
なんでも、高校の裏手にある林の中で首つりがあった、というのです!!
写真を趣味とし、その写真をアルバイトにも活用している彼、もしかしたら凄い写真が撮れるかもしれない、と不謹慎なことを口走りながら一目散に駆け出していってしまいました。
彼を放っておけばろくでもない事をしでかしかねませんし、早乙女は彼の後を追おうとするのですが……
どうしても気分は乗りません。
何故ならこの首つり自殺、今年に入ってこの近辺で三人目なのですから。
しかもその連続首つり、今年の三件だけではないのです。
二年前から始まり、今に至るまで犠牲者は6人にのぼっています。
しかも最初の一件は、首つり自殺に見せかけた絞殺事件だったとか。
自殺とされている残りの五人も、もしかしたらその事件の犠牲者なのかもしれない、などと言う噂もささやかれています。
……しかもその噂に関連するかのようなこんなうわさもあるようです。
「自殺幇女」。
自殺願望のあるものの前に現れて楽に死ねる方法を教えてくれるが、一度契約すると必ず死ぬまで彼女に追い詰められる……彼女に関わってしまい、首つりをすすめられたにもかかわらず断ったりすると……殺され、吊るされてしまう。
加賀先輩が大学に入ったころに流行った都市伝説だと言います。
この他にも、「呪われた文具屋・死霊館」などと言う何やら物騒な香りのする噂もこの町にはありまして……ただの都市伝説だ、作り話だ、と片づけて良いものか疑問が残るのです。

早乙女は森本を追い、現場にやってきました。
もちろん森本が厄介ごとを起こさないように、という目的もありますが……何よりあの夢を見ている早乙女には他人事には思えなかったのです。
辿り着くなり森本は、早乙女を読んで現場を指さして見せてきました。
そこには無惨な死体となって揺れている、女子高生らしき遺体がぶら下がっています。
時折揺れて鳴り響く、縄のきしむ音。
その音と光景は、あの夢を思い出させてしまい……
と、そんな時でした。
彼女の足元に、紅い封筒の様なものが落ちていることに気が付いたのは。
悪夢を思い起こさせる光景、奇妙な赤い封筒。
この事件は、早乙女の心をさらに沈みこませるのでした。

その後、わざわざ部屋を訪ねてくれた加賀先輩に励まされ、その際の差し入れに入っていた香織の激励の手紙付きのお弁当に力をもらい、すこしだけ気が悪になった早乙女。
彼女達と話している間は普段の自分らしくいられた、明日もサークルに行ってお礼や味の感想を言わなきゃな。
寄るとこに入った早乙女は、そう考えながら眠りに入るのですが……
その日に見たものは、いつもの夢とは格段に違うものだったのです。
何かがきしむような音が気になって目を開けると、そこには
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あの女子高生の遺体がぶら下がっていて。
そして彼女は、物言わぬはずの口を開き、首縊れ、と早乙女に告げてきたではありませんか。
恐怖のあまり部屋を飛び出した早乙女!!
夢なのか現実なのかわからないまま、がむしゃらに走り……辿り着いた公園で、顔を洗って、夢に違いないはずのあの光景から目を覚まそうとするのです。
が、ふいにまた彼の耳にあの言葉が飛び込んできました。
首、縊れ。
絶叫する早乙女、頭から水をかぶってその声を振り払おうとするのですが……
声は聞こえ続けます。
そしてしばらくすると……
早乙女は、何かに憑りつかれたかのように歩きだし……
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縊らなきゃ、とつぶやきました。

声に導かれるまま、首を吊ろうとしてしまう早乙女。
ですが、そのギリギリのところで、奇妙な人物に声を掛けられました。
これから死ぬ予定ですか?
止めたほうがいいと思いますけど。
シスター服に身を包んだ女性のその声をきっかけに勝機を取り戻した早乙女。
そして慌てふためく様子の早乙女を見て、彼女はお困りの様でしたら助けて差し上げましょうか、と手を差し伸べてきました。
藁にもすがる思いで助けを求めた早乙女に……彼女は言うのです。
先ほど止めた方がと言いましたが首つりを選択したこと自体はいい判断ですよ、
安心してください、私、ヒラサカコヨミが、必ず理想の自殺をさせてあげますから。
とんでもないことを言いながら、ベールを脱いだヒラサカコヨミ。
彼女の目は、
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不気味な闇で満たされていました。
間違い、ないでしょう。
彼女が噂の……自殺幇女……!!
早乙女は、あの首吊りの悪夢と、自殺幇女……二つの死神に、魅入られることになってしまったのです……!!




というわけで幕を開けた恐怖の物語。
主人公となる早乙女は、自殺に導く鬼の夢を見続け、そしてその夢の呪いから逃れるために助けを求めたのが都市伝説の自殺幇女、ととんでもない事態に陥ってしまいました。
どちらの誘いが勝っても、待っているのは死しかない……そんな状況になってしまいましたが、とりあえず現実に生きている人間として存在はしている(と思われる)自殺幇女ことヒラサカコヨミに当面は救いを求めることとなります。
ヒラサカコヨミは、自分が勧める死以外の形での死は絶対に許さず、どんな障害が降りかかって雇用とも振り払ってしまう、らしいのです。
ですがそれでは都市伝説通り、呪いが解けてから殺され、吊るされてしまうことになります。
早乙女は夢の鬼と戦いながら、ヒラサカコヨミから逃れる手段を探す、という二重の戦いを強いられてしまうわけです!!

事件には民俗学研究会の仲間をはじめ、ヒラサカコヨミ、そして森本と面識のあるとある人物、早乙女の隣人などの様々な人物を巻き込んでいきます。
呪いは静かに拡大していき、そのみなもとの真実がじっくりと判明。
呪いを祓うには、やはりその呪いの源泉を突き止め、元から因縁を断ち切るしかないでしょう。
果たして早乙女は呪いを祓えるのか?
その後にヒラサカコヨミから逃げられるのか?
早乙女に力を貸してくれるメンバーは皆無事に戦いを終えられるのか、本当に心から信じて良いものだけなのか?
夢の鬼の真実は……?
様々な謎と恐怖が待ち構えている本作、今後の展開にも期待せざるを得ませんね!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!