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今回紹介いたしますのはこちら。

「くにはちぶ」第9巻 各務浩章先生 

講談社さんのマガジンエッジコミックスより刊行です。




さて、前回のくにはち対象者であった、なずなを無視してしまったことを悔い、自ら他人を無視することで疑似的に自分を無視される状況に追い込んでいた少女、ひなげし。
たんぽぽはそんな彼女と出会い、会話を試みることでくにはち廃止への動きを強め、そして彼女を救おうと試みるのですが……


それは少し昔の話です。
2年生だったなずなは、進路希望表を前に唸っていました。
ひなは料理し学校で決まりでしょ?
いいな、やりたいことあってさ。
そうなずなに語り掛けられたひなげしは、あんたは頭ええんやから進学やろ?と返すのです。
ですがなずなは大学って勉強ばっかするとこでしょ、面白くなさそう、と難色を示しました。
勿論大学はそれだけではないのですが……なずなのそんな言葉は、その次のセリフのふりでしかなかったようです。
私も調理師学校行こうかな。
楽しそうじゃん?ひなと一緒に麺ゆでたり肉焼いたり寿司握ったりさ。
一緒に店やろうよ、絶対楽しいって!

……そんな思い出がよぎったのでしょうか。
ひなげしは、進路死亡を白紙で提出していました。
先生には去年書いていた調理師学校はどうなんだ、と尋ねられ、お母さんからはいつまでも無視なんてできるわけないんだからいい加減にしろと怒られてしまいます。
そして先生はあんな事故があった後だから無理もないかもしれないけど、自分の将来を棒に振るっていうのは違うんじゃないか、と諭してきました。
……ひなげしは考えます。
あんな事故の後、もう普通に先生ができるなんて。
先生もなずなを無視したのに。
私もすぐに先生みたいに普通に生活するようになるんだろうか。
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なずなのことを忘れて、自分のしたことも忘れて……

進路指導を終えたひなげしに、クラスの友達が話しかけてきました。
やっぱり調理師学校に行くのか、今度食べさせて。
そんな何気ない会話を振って行くのですが、ひなげしは依然無視を続けています。
その反応をわかっていたクラスメイトは、いつまでそれをやってるんだ、ひなげしも加害者なのに、被害者みたいな顔するな、苛立ちをあらわにするのです。
また別のクラスメイトは、法律だから仕方ない、誰が悪いって話じゃない、とフォローを入れようとするのですが……
彼女は、仕方ないから悪くないのか、子のクラスだって全員なずなを無視したんだ、ひなげしだけが悪いみたいな顔をされるのは気持ち悪い、と辛辣な言葉を続けるのです!
ですがひなげしはそんな彼女も含め、自分の様なものも無視しない優しい人たち、と思っています。
自分もみんなもなずなのことを忘れて普通に暮らせるようになってしまうんだろう。
そしてふと思い出す、私がなずなを殺したことを忘れていた、と。

そんな欝々としたことを考えながら、ひなげしは体育館にやってきます。
その日は夏休み中の登校日。
体育館でちょっとした集会が開かれまして、そこで先生からのお話を聞くことになったのです。
ひとしきり話した後、それでは残りの夏休みを健やかに過ごしてください、私からは以上です。
……そこで普通ならば集会は終わりです。
実際、集会自体は終わりました。
が、先生はこんな言葉を続けました。
これ以降はみなさん自分の判断で行動してください。
個人の判断を尊重します。
そう言い終わり、先生が壇上から降りると、そこに
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たんぽぽが現れ、壇上によじ登ったではありませんか!!
そしてたんぽぽは話し始めます。
こんにちは、無視法対象者の道端たんぽぽです。
……にわかにざわつく体育館、
ひなげしはそんな彼女を見て……まず、どうしてこんなことができるの?という疑問で頭がいっぱいになっていました。
校長に無理を言って壇上に立たせてもらった、と言うたんぽぽ、そのまま演説を始めます。
不安な人は今のうちに退場してください。
私を無視することは恥ずかしくもひどいことでもないです。
普通で当然のことです。
けどこの普通がおかしいと思って、無視法違反のリスクを負ってでもこの普通を変えたいと思うなら、私の話を聞いて下さい。
……状況が把握しきれずにざわつくばかりの一同。
そんな中でひなげしはまた、深く悩み始めてしまいます。
なずながここまでしてたら、無視できないくらい絡んできてたら、無視をせずに済んでた?
最低だ、なずなのせいみたいに言って。
今更無視をしないなんて都合のいいこと……
と、その時でした。
いつの間にか壇上にひがんが立ち、大きな音を立てて手を叩いたのは。
大きな音で空気を変え、視線を自分に集めたひがん。
そしてその後、ひがんはとんでもないことを言い始めました。
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これより皆さんの認識の如何にかかわらず、この場にいることは無視法違反とみなします。
みなさん速やかにご退場ください。
全開誰も逮捕されずに無視帰還を終了できた優秀な皆さんなら、どう行動すべきかお判りですね?
……そのひがんの言葉をきっかけに、体育館の面々は静かに立ち去り始めました。
そしてひなげしも同じようにその列に加わるのですが……
前回したように、今回もするだけですよ。
ひがんのその言葉が、流れを変えるのです。
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……体育館の真ん中に一人立つ、ひなげし。
その瞳は、しっかりとたんぽぽを見据えていて……!!



というわけで、ひなげし編がクライマックスを迎える今巻。
無視法が法律として成立し、10年以上の月日が経っています。
それだけの時間があれば、異常としか言いようのない法律がある状況が「普通」になっている、と言ってもいいのではないか?
ひがんはたんぽぽにそう言いました。
ですがたんぽぽが求めるのは、あくまで無視法。くにはちのない世界!
その為には世間に訴えかけるのが最善で、無視法違反者をなるべく出さずに訴えるために、「何もない風景」という体のインパクトのある動画を撮らなければなりません。
今回の件もその一端ではあるのですが……この挑戦は、かなりのリスクを背負うことになってしまったようです。
本来ならば、たんぽぽが勝手にしゃべって、その場に居合わせたものは何もないけど何となくそこにいる、ということにして何の問題もなく終わることができたはず。
ですがそこで、ひがんが現れて一気に状況を覆してしまったわけで……
このままではひなげしが違反者として逮捕されてしまうことになってしまいます。
ひなげしはどうなってしまうのでしょうか。
たんぽぽはどう出るのか?
徐々に見えてくるひがんの目的は?
この後、まさかのクライマックス!!
さらにその後、とうとう国が怪しげな動きを……!!
目の離せない展開は依然続いて行きそうです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!