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今回紹介いたしますのはこちら。

「竜女戦記」第2巻 都留泰作先生 

平凡社さんより刊行です。


さて、無衣の行者から望まない「天下を取る力」を与えられたたか。
もらわざるを得ない状況に置かれてしまった末に自ら受け入れたその力ですが、その代償はあまりに大きいものでした。
三人の何よりも可愛い我が子が、見るも無残な木乃伊のように変えられてしまったのです。
ですが天下を取れば三人の子供は元に戻る、とのことで……たかは本気で天下を取りに行くことになったのでした!


小さな滝の前にかけられたしめ縄。
そしてその周りには、何体かの仏像が祀られていました。
その仏像と同じように、ひとつの祠に並べられたたかの三人の子供たち。
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たかは子供たちに、滝の水を口に含んで吹きかけてやりました。
無衣の行者によりますと、清滝の水を朝昼晩と三回口で吹きかけてやって、天気のいい日には祠から出して虫干ししてやると言い、とのこと。
三人は躯のようにも見えますがしっかりと生きているそうで、きちんと手入れしてやれば健康な状態で蘇るらしいのです。
どうしてこの無衣の行者がここまで詳しいのは、彼もまた同じように天下取りの力を先代の(?)無衣の行者から与えられ、天下取りに挑んだからだと言います。
その力を駆使して、いくさに勝ち続けて天下に向かって行った行者。
天下への扉を押し開くたび、1人,2人と子供たちは蘇っていったのですが……
行者は、滝の中に掘らせたと言う洞穴の中へたかを導きます。
そこには豪華な蓮のうてながあり、そして見事な着物に身を包んだ、一体の木乃伊があったのです。
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それは行者がただ一人救う事の出来なかった最後の一人、最愛の娘とのこと。
天下を取った時にはこの娘に会えるはずだったのですが……最後の最後で焦りが出てしまい、失敗をしてしまったのです。
そこで天下の道も潰え、娘と会うことも永遠に叶わなくなってしまいました。
やさしい心と猛きここをの両方を持っている賢い娘じゃった、この娘を先に選んでいたなら……
悔やんでも仕方ない、己に器量が足りなかったのだ。
そう遠くを見る行者……
話を聞いたたかは、いよいよ天下取りを本気でなさなければならないと感じたのでしょう。
その秘宝を教えてくれと三つ指を付いて頼むのですが、行者はまだ早い、と全容を語ってはくれませんでした。
ですが、今は、とこんなことを教えてくれたのです。
満天かを覆い尽くす巨大な雲があったとせよ。
そこに出でたただ一滴の雨だれを思うてみよ。
ただ一滴の雨だれが、天より落ちる。
お前はこの広大な天下の、いずちかに落つるであろう。

何を意味するかよくわからないその言葉。
たかはその言葉を胸に、屋敷に戻りました。
あの日以来、まともに会話すらない夫と二人だけ屋敷。
与一郎は俳人のように子供のでんでん太鼓を打ち鳴らすばかりです。
いらだちが募ったたかがその太鼓をやめるように言うと、与一郎は太鼓を放り捨てるのですが……
今度はひたすら涙を流し続けるのです。
床についても、となりの布団からは与一郎の鳴く声が聞こえてきます。
ただ泣いても何もならないのに。
苛立ちとともにその声を聞いていると、与一郎が突然たかに声をかけてきました。
お前は悲しくはないのか?
子供らがあんなになったと言うのに、涙の一つもこぼさないとは。
やはり心の冷たい女だなぁ……
たかの頭にカッと血が上ります。
泣いて子供が戻るなら、私は、私は、あなたなんかの5000万倍激しく泣きますよ!!
……と言えたら気分は楽になるかもしれません。
ですがいくら与一郎がこの体たらくとはいえ、武家の妻としてその言葉だけは清でも言えないのです。
たかは悔しさのあまり耐えきれない涙をこぼし……
やがて、眠りに落ちるのでした。

一滴の雫が、天から滴り落ちます。
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その雫が落ちたのは……ここではないどこか、でした。
体は動きません。
ですが、視える天井がい参る場所とは違う場所だと言うことを如実に示しています。
周りには見知らぬ女性たちが大勢寝ていて、背中の感触から自分が帯を締めたまま寝ていることを感じさせました。
やがて、身体が動きます。
いや、動かした、というよりも、動かされた、というべきでしょうか。
勝手に動いた目で見える視界から、自分が見たことの無い服を着ていて、肌の色が妙に黒っぽいことが見て取れました。
御女中衆の寝所らしい場所に寝ている、1人の女中。
それが今のたかのようです。
やがてその部屋に一人の老女が現れ、たかの入っている女を「お慶」と呼んで、早く来るように命じました。
女は鏡を手にして前髪を整え始めましたが……
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やはりその女性に見覚えは全くありません。
お慶は手早く身支度を整えて、老女の後をついて行くと……何やら高貴な人がいるらしい離へとたどり着きます。
そこには見たことがない……ものの、その特徴的な見た目から、隣国の支配者の次男と思しき男がおりました。
そこで巻き起こったトラブルを対応にお慶は呼ばれたようなのですが……
そのトラブル対応は夜明けまで続きました。
そして夜が明けるとともに、たかは自分の体で目を覚ますのです。
……夢、ではないでしょう。
これはつまり、行者の言っていた「天下を取る力」の一端、という事……?
そんな思案に浸る間もなく、たかは与一郎が先に起きだし、身支度を始めていることに気が付きました。
すぐにその身支度を手伝うのですが……本来今日は寝坊などが許されない大事な日なのです。
結堂家の新当主として家臣の挨拶を受ける日。
足軽筋の与一郎が、家臣にきちんと認められるかどうか……
たかの天下取りの力も気になりますが、このイベントも決して外すことはできない大一番!
果たして与一郎は、たかは、新たな当主として認められることができるのでしょうか!?



というわけで、早くも第2巻の登場となった本作。
勿論本作の主役はたかではあるのですが、この第2巻では様々な人物に焦点が当たって行きます。
陀国の支配者である太上帝と、その長女。
隣国の黒蛇家の長男と次男。
たかの宿った少女であるお慶と、彼女が使える黒姫。
そして、与一郎の新たな部下となるはずの、家臣たち……
それらの思惑が密接に絡み、天下の行く末を混沌とさせていくのです!!
さらに本作の鍵となる「竜」もその姿を見せ始めます。
本当に存在する「竜」ですが、その竜の様子も何やら……?
「天下を取る力」の全貌も明かされていき、そのささやかながらも確実に天下に近づくことのできる能力を知ったたかの動向も気になるところ!
そんな都留先生のユーモアに富みながらも、その背後にしっかりとした知識を感じさせるストーリーは、まさに予測不可能でエキサイティング!!
今後の展開も楽しみでなりませんね!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!