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今回紹介いたしますのはこちら。

「十字架のろくにん」第1巻 中武士竜先生 

講談社さんのKCDXより刊行です。


中武先生は15年にマガジンの新人賞の奨励賞、16年に同賞で佳作を受賞しデビューした漫画家さんです。
「聲の形」「不滅のあなたへ」の大今良時先生のアシスタントを経まして、20年より本作の連載を開始。
めでたく単行本刊行となりました。

そんな中武先生の初連載にして初の単行本刊行となる本作、サスペンス系の復讐劇となる作品です。
気になるその内容はと言いますと……




とある公園。
そこで、一人の少年が、5人の少年によってたかっていじめられていました。
投げつけられ、けりつけられ、おもちゃの銃の的にされ。
さらには失禁するまで首を絞められる……
いじめられているのは漆間俊。
そしていじめているのは、至極京をリーダーにした少年たち。
いずれも12歳と同い年なのですが、そのイジメ方は少年たちがしているとしてはあまりにも悍ましいものばかりでした。

俊は5人から「実験体A」などと呼ばれ、それはもうすさまじいいじめを受ける毎日を過ごしています。
ですが俊、余計な心配をかけないよう、家族にはいじめられていることをおくびにも出さず、努めて明るくふるまっています。
両親はもちろんなのですが、何よりも、弟の翔に弱っている所を見せたくないと言う思いが強いようです。
お兄ちゃんお兄ちゃんと慕ってくれる可愛い弟。
そんな彼のために、今日俊は捨て猫を見つけてきていました。
橋の下に捨てられていた猫、拾って飼うのは難しいですが……二人でこっそり面倒を見よう、と約束します。
なんだかワクワクしてきた、とにこやかに笑う翔。
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そんな弟の笑顔は、いじめによって消耗した旬の心を何よりも癒してくれます。
翔の笑顔を壊さないためなら、どんなにつらくても嘘をつく。
そんな決意とともに、いじめに耐える悲壮な覚悟を決める俊なのでした。

……京が俊を「実験体A」と呼ぶ理由。
それは、こんな湯葉見切った目的のためでした。
彼は、人間ができることで一番すごいことは「人を殺すこと」だと考えています。
それも、仇を討つだとか、誰かのためだとか、何かを奪うためだとか、そう言った理由もなく、ただ「殺す」ためだけに殺すこと。
裕福な家庭で両親の愛を受けて育ち、友達にも恵まれた。
そんなじぶんが、理由のない、渇きのない殺人を行う、最初の人間になる。
……その犠牲として最初に選ばれたのが、ほかならぬ俊。
直接的に人を殺す、間接的に人を殺す。
そのどちらも試そうとしているらしい京なのですが、まずは手始めに「弱そうな奴」を「間接的に殺す」ことを考えました。
実験体Aはどこまで追い詰めれば自殺するのか。
……京が俊をいじめるのは、全て俊を自殺に導くためだったのです!!

目的が目的だけに、そのいじめは度を越したものばかりになるわけです。
京は俊が猫の面倒を見始めたことを知ると……
早速殺してしまい、山中に放置すると言う非道の行いを働きました。
そして俊にはすでに殺してしまったことを教えず、山に子猫を捨ててきた、早くしないと獣に食われるかも、とだけ囁いて……
さんざんと探し回った末に見つかったのは哀れな亡骸。
哭きながらその遺体を埋め、帰ろうとした俊なのですが……
夢中で山を探したせいで、自分がどこにいるのか分からなくなってしまいました。
困惑してしまう俊。
そこに突然、得体のしれない人影が近づいてきました!!
姿を現したのは、顔に大きな傷のある、猟銃を持った老人。
その顔からも何か言いようのない圧力の様なものを感じさせるその老人ですが……なんと彼、俊の祖父です。
その異様な雰囲気もあるのでしょうか、俊は自分の祖父ながら若干苦手にしていまして。
さらに両親も祖父には近づくなと固く教え込んでいました。
ですがここでは救いの神も同然。
俊はおじいさんに連れられ、無事家に変えることができたのでした。

その日の事。
俊は皆に隠し通していた心の消耗を、翔に見破られてしまったのです。
そして翔は、僕のために何か隠してたくさん頑張ってるんでしょ、もう大丈夫だよ、と俊に抱き着いてきて……
とうとう俊は全てのことを両親に打ち明けたのでした。

両親は事態を重く見て、すぐに転校の手続きに入ってくれました。
表ざたにしたところで、俊があの5人から心にもない謝罪を受けるだけ、いじめはなくならないと確信していたのでしょう。
転校までの1か月間、俊は学校を休むことにします。
が。
京がそのくらいで俊を諦めるはずがなかったのです。
その日撃破数日後に怒ってしまいます。
俊のお母さんと翔が、車でお父さんを迎えに行きまして、その間に俊は買い物に行くことになりました。
その買い物の帰り道、京のいじめっ子仲間である三人が俊に声をかけてきます。
彼らは、俊の母親たちがいつもこのくらいの時間に父親を迎えに行くことを知っていました。
それを確認したうえで、京からだと言いながら携帯電話を手渡してきたのです。
電話口の京はこういいます。
実験の途中で逃げ出すのは許さないよ。
いつも実験体Aの親がお通る道、いつ事故ってもおかしくないよね。
……それだけ言うと、京は電話を切りました。
京ともう一人のいじめっ子仲間は、崖の上に立って、父親を乗せて帰って来る母親たちの乗る車が通る道を見下ろしています。
そして、車の目の前を狙って……いじめっ子仲間を突き飛ばしたのです!!
目の前に突然子供が転落してくる形になった、母親たちの車。
とっさにその子供を避けようとして急ハンドルを切り……車は、崖そこへと真っ逆さまに落ちて行ってしまい……
崖下に落ちた車の中で、俊の両親は完全に意識を失ってしまった様子。
幸い翔はほぼ無傷で済んだようなのですが……
そこで終わらせないのが京という少年の恐ろしさです。
すかさず崖下におり、車のドアを開けると……
手にした石でもって、翔を頭を何度も何度も殴りつけたのです!!
そして翔もその意識を失うと、今度はその車に火を放つ京……!!!
いつか彼が言った通り、自分の手で直接的に人を殺そうと言うのに……からの顔には、感情というものが一切見て取れません。
始まったよ。
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そう言いながら、顔についた返り血をなめるのでした……

両親は死亡。
翔は一命をとりとめたものの、一生寝たきりかもしれないと言う重傷を負わされてしまいました。
自分の心の勝機を保させてくれた、大切な大切な家族。
それを一気に失い、俊は……自らその命を断とうかとも考えました。
ですが……その時に頭によぎったのが……祖父の存在です。
俊は祖父を頼り、祖父の下で新たな生活を送ることにします。
しかしそれはあくまで体裁を保つための嘘。
俊の狙いは、あの時に祖父が持っていた、猟銃なのです!!
祖父の目を盗んで猟銃を手に取った俊!
ですが猟銃を手にしていた姿が、祖父に見つかってしまったのです。
返せ、それをどうするつもりだ!?
そう尋ねてくる祖父に……俊は言いました。
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これで、お父さんお母さんを殺して、弟をあんな姿にした奴らを殺してやる!
警察には言わない。
この復讐は、誰にも渡さない。
その顔には、もはや京たちへの復讐心以外見て取ることはできません。
それを見て祖父は……こう言うではありませんか。
猟銃なんて使ったら、全員殺す前に捕まるわ。
それに今の俊だと、たとえ家族の仇が相手でも殺した罪悪感に一生苛まれる。
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それじゃつまらん。
ワシは第二次世界大戦中発足した日本の秘密部隊、「北山部隊」で人の殺し方を叩き込まれた。
ワシが鍛えたろ。
確実に、苦しみを与え、復讐できるように。




というわけで、絶対に許すことのできない家族の仇を殺すため、祖父の指導のもと怪物へとっ変貌する旬の物語を描く本作。
祖父の指導のもと、俊は身も心も鍛え上げ、復讐を実行に移すための力を手に入れるのです。
……が、その際に祖父と一つだけ約束することになりました。
いざ復讐をしようとしたときに、相手が万が一「改心」していたら、復讐を諦めて許すこと。
復讐のことだけを考えている俊からすれば簡単にはのみ込みづらい条件でしょうが、本当に自らの行いを悔い、反省し、改心しているのならば許すことが正しいのかもしれません。
俊は、あいつ等が改心なんてするはずがない、と信じているようですが……

そんな怪物と化した旬ですが、復讐の相手であるいじめっ子たちも怪物ぞろいです。
人を殺すことに対し、眉一つ動かすことの無い京の恐ろしさはもちろんの事、その手下の様なものだと思われていた他の4人も異常な性質を持っているものばかり。
この第1巻では、その中の一人である千光寺克美にスポットライトが当たることになるのですが……
やはり千光寺と言う男も、ただものではないのです!
その千光寺と俊の邂逅がどうなり、俊の復讐はどうなるのか。
いじめっ子は5人、ということはタイトルの「ろくにん」には俊も含まれていて、「十字架」には罪の報いを受けると言う意味が秘められているとすれば、その結末は……?
怪物同士の復讐劇、異様なるドラマをその目でご確認ください!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!

















……ところで、この後本作のヒロインらしき人物も登場するのですが、名前が「東千鶴」なのは正直どうなんでしょうか!?
いや、名前自体はいいんですけど、どうしてもあのベテラン女優がよぎってしまうんですが……!!