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今回紹介いたしますのはこちら。

「ハケンの忍者アカバネ」第1巻 みなもと悠先生 

秋田書店さんのチャンピオンREDコミックスより刊行です。


さて、キュートな女の子が登場する作品を得意とするみなもと先生の最新作となる本作。
「かみさまドロップ」「わがままハニィホリック」と、女性キャラの可愛さだけではないシリアスなドラマも同時に描かれていく作品が続いておりましたが、本作はもっとぐっと気軽に読める作品になっているようで……?



社内で「人材の墓場」「シカバネ課」などと揶揄されている「赤羽課」。
色取ユタカは、本日よりこの課の主任になりました。
配属前の上司にはなぜか妙に嫌われ、酷いパワハラを受けながらなんとか仕事をしてきたユタカ、窓際部署への左遷、という状況にもほんのわずかな希望を抱かずにはおれません。
今までに比べれば新しい部署の方がマシ、ということもあるかもしれないのですから。
とにかくユタカは意を決し、赤羽課の扉を開けると同時に頭を下げ、自己紹介を始めようとするのですが……
そんな彼の頬をかすめるように、苦無が突きたてられたではありませんか!!
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それを投げてきたのは、この赤羽課所属の女性社員のようです。
もはやファンタジーの領域な気のする苦無、それを投げてくる彼女たちは何者なのでしょうか。
実は彼女達、この会社オータム&フィールド製菓が、戦国時代に亞鬼多家という武将の一族だったころから使えている「赤羽忍軍」の末裔。
今もなお亞鬼多家に、オータム&フィールド製菓に使える赤羽忍軍から送られてきているというくノ一……現代では、人材派遣会社アカバネスタッフから送られてきている派遣社員だと言うのです!
赤毛の背の低い活発そうな女の子が赤羽アカネ。
なんとも艶っぽい物腰が目を引く美女が桃谷なでしこ。
黒髪ロングのマジメそうな印象を受ける女性が紫ゆかり。
ほとんど口を聞かない、気の弱そうなメガネの彼女は緑橋うぐいす。
ただ忍者だと言われてもとても信じられない彼女達ですが、あっと言う間に忍者相続に着替えて見せた早業と、普通持っているはずのない苦無から、彼女たちが忍者だと言うのは疑いようもない事実のようです!!

アカネは、くノ一でありながらSNS映えを気にする今どきの女の子でもあります。
そんな彼女、携帯を見つめていたかと思えば、突然ユタカについてくるよう指示します。
早速仕事だ、行くぞ上司!と、ちょっと部下らしからぬ言葉遣いで強引に豊を連れ出していくのですが……
その様子を見送ったなでしこたちは、こうささやき合うのです。
これはいつものパターンかしらね。
赤羽忍軍頭領の娘、赤羽アカネによる誰も耐えられない上司教育……

私服でライバル会社の新作試食イベント会場に来るよう命じられたユタカ。
何をするかはわかりませんが、主任としての初仕事に気合を入れて挑もうとしていました。
ところがそこに現れたアカネは、かわいーもの、おいしそーなものいっぱいあるよ、とまるで遊びに来たかのように呼び跳ねながら現れるではありませんか!
そして彼女、可愛い鳥型のお菓子を豊かに差し出してきます。
もしかしてこれを自分に暮れるのか、入社以来こんなに優しくしてもらったのは初めて、とうっすら涙を浮かべてしまうユタカなのですが……
アカネは冷静にそれを否定するのです。
何言ってんの、撮るんだよ!
かわいいウチとかわいいスイーツ、映えないわけなくない?

その後もなぜか行われるのは、茜のSNS用撮影ばかり。
これではまるで遊んでいるみたいじゃないか、と彼女に問いかける豊かなのですが、あまりに驚いたせいなのか、彼女の持っていた綿あめに顔を突っ込んでしまいました。
アカネは仕方ないからもう一回買ってくる、それを食べてていいよ、と立ち去ろうとするのですが、ユタカはあくまで真面目。
ライバル会社のなんて食べませんよ、と答えるのですが……
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おいしいのになぁ、とアカネはユタカの顔にくっついた綿あめをなめとったではありませんか!!
とんでもない行動に慌てふためくユタカ!
ナメてる、完全にナメてる、仕事も僕のことも……!
何なんだよ一体赤羽課って!!
声に出せない声でそう叫ぶ豊の想いは、誰にも届くことなく空へと消えて行くのでした。

……が。
その日の事は思いもよらない所に届いてしまっていました。
開放されたはずの前部署の上司が現れ、ユタカが茜に顔をなめられている様子を写した写真を突き付けてきたのです!!
どうやら同じイベントに敵情視察に行っていたらしい前部署の社員がその場所に居合わせ、撮影したのだとのこと!
真昼間からサボって敵陣地でデートとは、シカバネ課はやることが違うなぁ!!と怒鳴りつけ、がみがみとしかりつけてくる上司……
アカネも一緒に叱られておりますが、何やら涼しい顔。
今までもこう言ったことが良くあったようで、今までの上司は「こいつが一人で勝手にやったんだ」「なんで一緒に怒られなければならないんだ」と不満を並べ、大体がこれでやめてしまったらしいのです。
とはいえアカネも辞めさせてやろうと思ってやっているわけではなさそうでして、一応ユタカに可哀想だと言う感想は抱いています。
が、どうせ今日限りで顔も見ない相手だから関係ないか、と冷たい瞳で見つめるのでした。
しかしそこでユタカが言った言葉は、茜の予想とは違うものだったのです。
すみません、上司の僕の責任です、ですから今回はどうか……!!
アカネのことを全く悪く言わず、すべて自分のせいだと責任をかぶる。
ユタカのそんな様子を見て、アカネは……

落ち込んだ様子でとぼとぼと廊下を歩くユタカ。
そんなユタカの前に、アカネが現れ……コーヒーを渡してくれました。
今度は勘違いではなく、本当に豊のために渡してくれたもののようです。
そして彼女は、ユタカに先ほどの件の説明をしてくれました。
アカネのSNSのアカウントは会社の上層部と繋がっていて、お客さんの目線に近いアカネの意見を参考に企画を打ち建てているのだとか。
つまりあれは遊んでいるだけ、自分のSNS映えを機にしていただけ、に見えていた、潜入捜査の様なものだったのです。
嫌な思いさせてごめんね、かばってくれてありがと。
そう謝ってくれたアカネですが、実はユタカ、あそこでああいったのはいままでの条件反射で出てしまっただけだったりします。
ですがユタカがアカネをかばってくれたことは間違いありませんし、ユタカの誠実な人柄もまた間違いないところ。
アカネはそっと豊かに顔を寄せ、こうささやくのです。
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忍者は尽くすよ?自分が「この人」って決めた人には……ね。
またまた予想外の言葉を聞いたユタカ、彼女の顔が近づいたこともあって、また戸惑ってしまうのですが、その瞬間にはもうアカネの携帯のカメラが光っていました。
上司の顔、全然映えない!鼻の下のびのびじゃん!
お色気攻撃はくノ一の得意中の得意なんだから、いちいちコーふんしてたら身が持たないぞ!
そう言って、茜はさっさとその場を立ち去ってしまうのです。
ユタカの下に残ったのは、彼女のくれたコーヒーだけ。
ですがそのコーヒーは、彼女の信頼の証ともいえるもので……
このコーヒーにちゃんと報いられる上司になりたいな。
そんなことを考えるユタカなのでした。

ちなみにその日のアカネは、なでしこやゆかりにすぐ気付かれてしまうほどうれしそうにしていました。
アカネの興味はほとんどがSNSの映えに関してですから、「いいね」がいっぱいついたのか、と彼女達は尋ねてくるのですが……
なんでもないよーだ!と答えるアカネのSNSには、こんな投稿がされているのでした。
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新しい上司ちゃんいいカンジ!よろしくねー!



というわけで、まさかのくノ一OL達の集う課の主任になったユタカ。
この後、各キャラクターの掘り下げを行いながら、仕事に励んでいくことになるのです。
赤羽課の皆さんは誰もかれもが個性的すぎる面々となっておりまして、それぞれ異なる魅力を持っています。
ユタカはそんな彼女達の個性的すぎるアレコレに振り回されながらも、彼持ち前の誠実さと懸命さで打ち解けて行き、その距離を縮めて行きます。
ハーレム型のラブコメとなっている本作、早くも今巻の内に赤羽課の皆さんの信頼は勝ち取ることができる様子のユタカですが……
恋愛対象になっているか、という点に対してはこれからでしょう!
おそらく鍵となるのは、赤羽課の皆さんがユタカのことを、さん付けだったりはするものの「上司」と呼んでいること!
この呼び方を名前なり名字なりに変化させようとするその時が、ラブコメのヒロインとしてのスタート、なのかもしれません!!

……そんな本作ですが、実は今巻の内にその呼び方云々をすっ飛ばしていきなりユタカに恋愛感情を抱くヒロインが登場します。
性格的にも、技の特性と言いますか能力と言いますか、そう言った類のもの的にもかなり癖のある特徴を持ったそのヒロイン……個人的にはイチオシです!!
彼女の立ち位置的にいろいろ不憫な目にあってしまいそうですが……彼女が幸せになることを願わずにはいられません……!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!