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今回紹介いたしますのはこちら。

「地獄楽」第10巻 賀来ゆうじ先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。


さて、島に幕府からの第2陣がたどり着いた前巻。
島から出ようとする蓮、仙薬をもって逃げようとする画眉丸たちと、3つの戦力が入り混じる大混戦となるのでした。



三つ巴の戦いが幕を開けました。
蓮が犠牲をいとわず、最低限の人数を残して島に残っていた道士たちを総動員し、島から出るための総力戦に挑む。
その覚悟とともに館を出るのと同時に、戦いははじまったのです。
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いの一番に巻き込まれたのは、ヌルガイや巌鉄斎、亜左兄弟とその浅ェ門たち。
一同にとっては道士たちも、上陸してきた石隠れ衆も「敵」という点では同じ。
幸いこの島での厳しい戦いの中で手にしたタオの操作と、今まで戦ってきたてんせん様が強すぎたおかげで、雑兵を相手に引けを取るものはいません。
ですが普通に戦えば負けることはないにしても、あまりにも数が多すぎ、あまりにも戦況が混とんとし過ぎています。
付知は、いちいち相手にしていてはいけない、これはもはや合戦と同じだ、と逃げることを提案。
その性格上、巌鉄斎は逃走を拒否する……かと思われたのですが、むしろ付知よりも積極的にこの場から逃げようとするのです。
それは、巌鉄斎がかつて体験した「戦(いくさ」の経験ゆえでした。
いくさは「戦い」とは違う、、力比べの領域を超えて、生きるも死ぬもただの運になる。
面白くもないし誇れもしない、ただのクソがいくさだ!
いくさで生き残るやつは、逃げる奴か部下に戦わせる奴、そして……
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天が味方する狂人……!

上陸第2陣を率いる浅ェ門のリーダー、殊現。
殊現は、自らそのいくさの中に飛び込んでいきました。
大挙して押し寄せてくる、騎兵の道士たち。
殊現はそんな大軍を前にして、散っていった浅ェ門の仲間のことを思って血涙を流し……
そして、その激情のままに騎兵を切り屠っていくのです!!
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あっという間に、無傷で騎兵を片付けてしまう殊現。
さらに、首だけでなく弱点のへそを狙え、と仲間へ的確なアドバイスまで送りました。
あまりにも鮮やかな戦いに、すごすぎる、合戦経験でもあるのか、と他の浅ェ門もあっけにとられるばかり。
そんな問いかけに、殊現はこう答えるのです。
これは合戦ではない、処刑だ!
幕府御様役に手をかけた逆徒の粛清だ!!
逃げ場も塞ぎ皆殺しにする!!

その頃、島を出るため船に荷を積み込んでいた蓮のもとに、石隠れ衆が辿り着いていました。
あの蓮をして、そこに来るまでの気配を感じ取ることのできなかった石隠れ衆……それを率いるのは、画眉丸の次に「がらんの画眉丸」の名を継ぐことになっている忍、シジャでした。
シジャは次代の画眉丸の名を継ぐ資格のあるものなだけに、その実力は折り紙付き。
そしてその実力以上に異様なのは、現画眉丸に対するゆがんだ愛情です。
石隠れの里に暮らしていたころ、画眉丸の邪魔になりそうだ、画眉丸の気分を損ねそうだと思ったものを勝手に殺して回っていたシジャ。
そんな彼は、画眉丸に面と向かって……画眉丸を愛している、画眉丸の名にふさわしいのはあなただけ、あなたになら殺されてもいい、いや、殺したい、自分が本当に殺したいのはあなただけだ……と、頬を染めて語ったこともあるほど、自分勝手な愛を募らせているのです!
そんなシジャですが、今回の仕事自体に特に何の感情も抱いてはいないようです。
蓮が何を企んでいようと関係はないし、付き合う気もない。
ですがこの水門で待っていれば、か眉丸がやってくるのは間違いない……
そんなことをつぶやきながら、蓮たちに向かってゆっくりと歩いていくのです。
蓮はシジャを他の有象無象のように、道士たちに銘じて排除しようとしました。
ところが……
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シジャは、一瞬で道士たちを消し炭にしてしまうのです!!
その様子を見た蓮、シジャが他の雑魚たちとは違うことを察したようです。
帽子を脱ぎ、警戒心を強め……戦う構えを取りました。
シジャは顔色一つ変えず、部下たちに命じます。
一隻残して全て焼き払え。
コイツは……俺がやる。




というわけで、三つ巴の戦いが本格的に幕を開ける今巻。
まずぶつかり合ったのは、蓮とシジャでした。
どんなに腕利きの忍であろうとも、タオを操るてんせん様を相手に一筋縄ではいかない……と、だれもが思ったことでしょう。
実際、何もないところで一対一で戦えば、タオに対する理解のないシジャが蓮に勝つことは……おそらくできません。
ですがシジャは、画眉丸がかつて言っていたこと、そして今現在の状況や自分の狙いを生かして、独自の戦法で戦うことによって、てんせん様である蓮を自分の土俵に引きずりおろして見せるのです!!

そしていくさからの離脱を狙う巌鉄斎達もやはり戦いの渦からは逃げられないようです。
彼らの前に立ちはだかるのは、やはり山田浅ェ門たち。
同じ浅ェ門仲間ならば説得の余地があるかとも思われますが……
あの殊現の様子から見るに、その目は限りなく薄いといっていいでしょう。
異様な雰囲気をまとう殊現だけでなく、他の浅ェ門たちももちろん腕利きぞろいのはずで、誰一人として油断してはならない相手。
様々な勢力、様々な思惑が入り混じるこのいくさ、果たしてどんな展開を迎え、どんな結末となるのか?
目の離せない展開は続きます!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!