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今回紹介いたしますのはこちら。

「2.5次元の誘惑(リリサ)」第4巻 橋本悠先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。


さて、部の活動実績のためにコスプレイベントに参加することになった奥村達。
ですがそのイベントにはコスプレ四天王と呼ばれている有名コスプレイヤー、753(なごみ)も参加するとのことでして。
話題どころか、参加者全員の目がすべてそちらにさらわれてしまいかねないこのイベントで、さらなるトラブルが……!?



リリサから緊急事態の連絡が入り、慌てて控室に戻る奥村。
なんとリリサ、コスプレ衣装のスカートがなくなってしまったというのです。
家に忘れたのかと聞いてみれば、カバンに入れた記憶はあるのだとか。
このイベントの更衣室はかなり手狭になっていましたので、着替えの際の他の人の荷物に紛れてしまったのかもしれません。
せめて隣の人がどんな人か覚えていればよかったのですが、どうにもリリサの記憶にはないようで……
参加者の数は少なくありませんし、さすがに全員に声をかけて回るわけにもいきません。
とにかく一度落とし物として届いていないかを聞いて来ようとする奥村なのですが、なんとリリサは、もういいんです、と言い出すではありませんか。
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コスプレへの愛が足りないから衣装なんか無くすんです、私にリリエルを着る資格ないです……
大粒の涙をぽろぽろとこぼしながら漏らすリリサ……
彼女は少し前に753に言われてしまった言葉が、どうしても気になっていたのです。
一連の出来事を聞いた奥村は……正直、そんなことでここまで落ち込んでしまうのか、と思ってしまいました。
とはいえそれはリリサにとっては大事なことなんでしょう。
そう考えるとなかなかかける言葉が見つからない奥村なのですが……
そこで、マギノが奥村に、言いたいことがるなら引き下がってはダメだ、とアドバイス。
確かにここで奥村が声をかけなければ、すべてが無駄になってしまうかもしれません。
そして何よりも……
意を決して、奥村は切り出します。
リリサ、もういいなんて言うなよ、忘れたのか?二人で覚悟決めてきたんだろ?
この後に奥村は「部室はどうするんだ」と言いかけてぐっとこらえました。
部室のことはそもそも自分の責任ですし、活動の報告も適当なレポートを出すだけでもどうにかできたかもしれないのです。
そこでリリサは、はっと気が付いて、レポートを出さないと部室が、と彼女のほうから言ってきたのですが、奥村はその言葉を遮って言うのです。
部室なんか無くなったっていい。
嘘のレポートを捨てた時点で、もうこれは部室の問題じゃないだろ。
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リリサはそれでいいのか!?
自分のために、コスプレするために来たんだろ!?
リリサは……自分でもわからなくなっていました。
自分のためにコスプレすることが間違いだったんじゃないか?
リリエルへの愛をコスプレで表現するにしても、同人誌でも、お布施でもできるんじゃないか?
コスプレする意味はあったのだろうか……?
そんなことを自問自答している間に、今までのコスプレが何だったのか、自分でもわからなくなってしまったというリリサ。
奥村はそんなリリサを見て、声を荒げ……
そうになったところで、マギノがそっと止めてくれました。
こういう時は言いたかったことを言えた時点でやめるのがコツなんだ、言いたくないことまで行っちゃう前にやめときな。
……奥村はマギノにお礼を言うと、その場を立ち去ります。
リリサを放っておいてどこに行くのか、とマギノは奥村に問いかけるのですが……奥村から帰ってきたのはこんな言葉でした。
お二人は戻って撮影しててください。
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これはリリサの問題なので。

一人取り残されてしまうリリサ。
そこにやってきたのは……ひそかに様子を見に来ていた羽生先生でした。
羽生先生はそっとリリサの隣に座り、今何を考えているのか、と問いかけます。
先輩のあんな顔はじめてみました、私のせいで起こらせて、失望させてしまいました。
全部私のせいで……最悪です。
両手で顔を覆ってそうつぶやくリリサに、羽生先生は短く返します。
他人の心を予測するな、どうせ当たらないから。
想像するのは大切だがな。
リリサは、色々あったにもかかわらず優しく声をかけてくれる羽生先生に、何故怒らないのかと尋ねます。
すると羽生先生はこういうのです。
先生だからな。
学生時代に私、クラスに仲間が見つからなくて、好きなものを誰にも言えなくて苦しかったんだ。
でも、家庭科の先生だけ、私を応援してくれたんだ。
先生は何言っても怒らなくて、何相談しても「いいわね」「やりなさい」って言ってくれて……
柔らかな表情で語る羽生先生。
リリサはそんな彼女に、先生はそれで家庭科の先生になったのか、とまた質問をします。
羽生先生はそれを聞くと、え?ときょとんとして……そこで初めて、自分がそれがきっかけで教師になったことを知るのです!
安定だからと自分に言い聞かせて教師になった羽生先生ですが、その実夢を追いかけていた結果だった。
やりたいことからは逃げられないんだ。
またもリリサに教えられた羽生先生は、その夢……リリサのような子を応援するために立ち上がるのです!!
リリサの頭をなでてあげた後、私は仕事があるから帰る、いいか、先生は帰ったからな、と繰り返し言含め、足早にその場を去っていく先生。
またまた取り残されたリリサは、先生にも失望された、と思ってしまうのですが、そこでどうせあたらないから先ほどの他人の心を予測するな、という言葉を思い出します。
……この時のリリサは知る由もないのですが……奥村は、あの場を去ったあとマギノ達にこう言っていました。
これはリリサの問題だから、俺たち二人の問題です、俺が必ず李リエルを見つけてきます!
そして今、落とし物の問い合わせをした後、会場にいるコスプレイヤーに片っ端から荷物が紛れ込んでいないか、と問いかけていたのです!!
奥村はリリサに怒ってもいませんし、失望してもいません。
そのことをまだ知らないリリサは、とにかくどうしていいかわからず、うなだれ続けていたのです。
……が。
そこに、現れたのです。
リリサのあこがれの人にして、コスプレ四天王の一角……
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まゆらが!!!



というわけで、とうとうまゆらが復活することになった今巻。
リリサのひたむきな思いに触発され、さらに彼女を応援するという新しい夢のために封印(?)を説いた羽生先生。
あこがれ続けたまゆらが目の前に現れたことは、リリサが立ち上がるきっかけとなるのでしょうか?
ともかくこの出来事がマイナスに働くわけがありません。
とうとう出会った(まあ実際はもう散々あっているんですが)二人は、どんな会話を交わし、お互いの心にどんな感情を生み出すのか!?
イベント編、最初のクライマックスです!!

ですが問題はまだ残っております。
イベントが終わるまでにスカートを見つけることができるのか?
仮に見つかったとして、753というビッグネームのいる会場でリリサは存在感を発揮することができるのか?
イベント編はこの後更なるクライマックスへ一直線!!
リリサ、まゆら、753といったコスプレイヤーたち、そして奥村をはじめとしたサポートをする者たち。
様々な人々の想いがあふれ出すクライマックス、必見ですよ!!

そして巻末には今巻も番外編11Pが収録!
番外編の主役はなんと753。
753の日常とちょっとアレな一面が顔を見せるこちらの番外編も見逃すべからずです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!