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今回紹介いたしますのはこちら。

「サバエとヤッたら終わる」第1巻 早坂啓吾先生 

新潮社さんのバンチコミックスより刊行です。


早坂先生は05年に月刊ジャンプの漫画賞を受賞し、翌06年にジャンプの増刊でデビューした漫画家さんです。
その後月刊ジャンプに読み切りを発表するものの、程なく月刊ジャンプは休刊。
そして09年にヤングマガジンの漫画賞を受賞、ヤングマガジンで不定期に「エリちゃんとテルくん」を連載するものの、単行本化には至りませんでした。
さらにその後もジャンプの増刊に読み切りを発表したり、ヤングアニマルDensiで「ファンタジスタアヤちゃん」を連載するももの、単行本化はならず。
そんな折、18年にグランドジャンプで連載を開始した「ゆとりやくざ」が好評を博し、現在まで連載の続く隠れた人気作となりました。

そんな早坂先生が19年よりくらげバンチにて連載を開始したのが本作。
本作はラブコメ的な日常ものではあるのですが、当然普通の日常ものなんかではなく……?



飲み屋で生ビールをかっくらう、鯖江(サバエ)レイカ、20歳。
その正面では、同じ大学の同じサークル仲間の宇治がちびちびと酒を口にしています。
宇治ももっと飲めよ、ビールうめーだろー?と辛気臭い顔をしている宇治に声をかけるサバエなのですが、宇治は違うだろ、と大きな声を張り上げます。
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はあ!?ビールうめーだろ!とキレ返すサバエなのですが、当然宇治の言う「違う」ポイントはそこではありません。
今日宇治がサバエをサシ飲みに誘ったのは、恋愛相談に乗ってもらうためなのですから!

宇治が恋しているのは、同じサークルの桜井さん。
美人でスタイル抜群、性格も優しく誰にでも分け隔てなく接してくれる。
そんな桜井さんの親友であるサバエに、いろいろ聞いて情報を収集、あわよくば的確なアドバイスをもらおうと目論んでいるのです!
だと言うのにサバエ、見せに入ってから一時間以上ただただ飲んでいるだけ。
早く本題に入りたい宇治なのですが、サバエは自分は飲めば飲むほど恋愛相談上手くなるから、と全く真面目に取り合わないのです。
ですがいい加減宇治が苛立っていることに気が付き、ようやくここで話を聞いてくれる体勢に入ってくれました。
同じサークルなんだからガンガン行け、と割と雑なアドバイスをするサバエですが、それができれば苦労はございません。
もういろいろすっ飛ばしまして、自分と桜井さんが付き合える可能性はあるかな、と確信を聞いてしまう宇治なのですが、サバエはゼーロー、とニュース番組的なメロディにのせて絶望的な現実を突きつけてくるのです!
なにせ桜井さんは完璧超人、サークル中の男子が狙っている存在。
彼女からすればより取り見取りなのに、よりによってパッとしない宇治を選ぶとは思えない、と言うわけ。
全く納得せざるを得ない宇治、特に言い返すこともできないのですが、サバエは酔った勢い化何やらとんでもないことを言いだしました。
超美人でスタイル抜群、清楚で性格も超良い。
私だってヤりてーよ!!
この前桜井の家に行って一緒にふろい入って一緒に寝たんだけどさー、私ずっとフル勃起してたから。
何が?という宇治のツッコミを受け流し、サバエはさらにこう呟きます。
ちなみに、ピンク。
……何が、なのでしょうか。
ドキドキして、もしかしてあの部分の……と、恐る恐るその先を聞いてみますと、サバエは囁きます。
パジャマ。
…………嬉しくなくもない情報でした!
そんな宇治の反応に大うけするサバエ。
静かにしろと突っ込む宇治なのですが、その際ちらりと彼女の胸元が見えてしまいました。
なかなか立派なものを持っていらっしゃるサバエ、宇治は何も言えず、そっと目をそらすだけ……
超々酒好きで下ネタ好き、ガサツで無防備。
こんな全く逆のタイプであるサバエと桜井さんが、なぜ親友なんだ?と思わず口に出してしまう宇治なのですが……
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サバエは、え?私清楚だよ?と、臆面もなく言いました。
ゲソを噛みながら……
清楚は口内ゲソってる状態でしゃべんねーよ!と突っ込まざるを得ない宇治。
サバエはうるせーいいから飲め!清楚の酒が飲めねーのか!と清楚ならば絶対に言わないであろう言葉を、清楚ならば絶対言わないであろう一人称で発してくるのでした。

と、そんな風にふざけている時でもついつい目に入ってしまうサバエの谷間。
思わずそのたびに黙ってしまう宇治ですが、サバエはその宇治の行動に気付いていまして。
お前巨乳好きだもんな、桜井も巨乳だもんな、とにやりと笑うのです。
ちなみにHカップ、だったかな。
桜井さんを好きなのはそこが理由じゃない、と反論していた宇治ですが、その情報は聞き捨てなりません。
え、桜井さんそんなに?と赤面してしまう宇治に、サバエはさらっとこう言いました。
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私。
お前かよ!と突っ込む宇治ですが……今目の前にいるサバエがHカップ!?と思わず硬直してしまいます。
サバエはそんな宇治に、さわりたい?別に触ってもいいけど、減るもんじゃないし、とまたも清楚にあるまじきことを言いだしました。
ですが宇治、ここは慎重。
触ったら桜井さんに言う気だろう!と冷静に受け流そうとするものの、サバエはこんなこと言ってどうすんだよ、とはっきり策謀の無いことを表明するではありませんか!
この辺り、ウソはついたりしないサバエ。
じゃあまあ、ちょっとだけ……と、宇治は恐る恐る手を伸ばすのですが、そこでサバエは携帯の画面を見て大騒ぎを始めました!!
終電の時間が過ぎてる、とのことです。
お前こっから三駅だっけ、ヤバくね?と宇治の心配を始めたサバエ。
現実に引き戻され、タクシー代痛いな、といろいろな意味でショックを受けてシュンとなる宇治……
サバエはそんな宇治にこうささやくのです。
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じゃあウチ近所だし、泊まってく?
……泊まったら、我慢できるでしょうか。
なんだかんだ可愛く、Hな胸をもち、無防備で、なんだかんだ自分に好意的……
そんなサバエの家に泊まりでもしたら、宇治に我慢できるでしょうか!?
いや、我慢できるはずがありません!!
ヤッたら桜井さんとは終わる……
ヤッたら終わる、ヤッたら終わる、ヤッたら終わる……
何度も何度も何度も何度も自分に言い聞かせ、宇治はギリギリのところで踏みとどまりました。
いや、歩いて帰るわ……
魂から絞り出したその言葉!
サバエは宇治のそんな葛藤など露知らず、マジか、じゃあ来週の金曜また飲もうな!!と元気よく飲みの約束を取り付けるのでしたとさ……




と言うわけで、サバエと宇治のあれこれが描かれていく本作。
基本的に本作は、桜井さんに好かれるためにサバエから情報をもらおうとする宇治と、それを口実に飲みに行きたがるサバエの日常を描いていきます。
と言っても宇治はサバエを桜井さんのために利用していると言うわけではなく、ちゃんと友達関係を築いていまして。
腹を割って話せる一番親しい友人と言いますか、とにかく気付けばいつでも二人は一緒にいるような……!?
そんな二人の会話劇が楽しい作品になっているのです!

本作の最大の売りはやっぱりサバエのキャラクター。
可愛い……と言えば可愛いのですが、なんだか一癖も二癖もあるその性格は独特の一言。
宇治をからかいながら、好きな酒をかっくらう……だけではない、あれ?と思うような一面もちらりと見せつつ、やっぱり彼女らしい雑な感じでお話を締める、彼女ならではのキャラクターは癖になること必至なのです!!

そんな彼女の魅力がたっぷり楽しめるわけですが、この第1巻ではなんと描き下ろしの番外編が4話、ドーンと42P収録されているのもすごいところ!
ウェブ連載は手軽に全話見られるところが魅力の一つなわけですが、そんなウェブで全話読んだ人でもこれだけの量描き下ろしが楽しめるならばスルーはできないでしょう!!
その他幕間のカットも収録で、たっぷり楽しめる一冊に仕上がっていますよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!