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今回紹介いたしますのはこちら。

「ゲゲゲの鬼太郎」第2巻 原作・水木しげる先生 漫画・松本しげのぶ先生 

小学館さんのてんとう虫コミックススペシャルより刊行です。


さて、ゲゲゲの鬼太郎アニメ第6期放映に合わせるように始まったこちらの「鬼太郎」。
ですがアニメ版のコミック化と言うわけでも、原作を現代風に味付けしてリライトしたと言うわけでもなく、松本先生版の独自の鬼太郎となっているのが本作です。
今巻も松本先生版鬼太郎ならではの鬼太郎ワールドが繰り広げられております!!



街の子供たちは恐怖に怯えていました。
それは、最近頻発する子供の行方不明事件のせいです。
おつきみ山でかくれんぼをすると攫われる。
子供たちの間でまことしやかにそんな噂がささやかれ……鬼太郎の友人であるゆうたは、その真相を探ってもらうべく鬼太郎に相談しようとしていました。
ところが鬼太郎、なんだかテンションの高い日だったようで、その話題を聞くなりじゃあかくれんぼしよう!と仲間の妖怪たちを引き連れておつきみ山へと向かってしまいます。
これは妖怪の仕業かもしれないのに、と不安がるゆうたなのですが、鬼太郎はお構いなし!!
有無を言わさず、おつきみ山でのかくれんぼが始まってしまうのです。

鬼太郎が鬼になって早速始まるかくれんぼ。
ですが鬼太郎は、一つ目見っけ!カッパ見っけ!からかさ見っけ!と次々に妖怪たちを発見してしまいます。
それもそのはず、鬼太郎の頭には妖気を感知して見つけ出してしまう妖気アンテナがあるのですから、どんなに上手に隠れてもその妖気を辿ってあっさりと妖怪を発見で来てしまうのです。
これじゃあかくれんぼにならないと半ギレの妖怪たち、妖気アンテナはなしだよ!と大きな絆創膏を張り付けて鬼太郎のアンテナを封印。
これでようやくイーブンになったようです。
ゆうたはアンテナなし状態が初体験の鬼太郎に、かくれんぼの必勝法は「もういいよ」の声が聞こえたほうを探すんだ、とアドバイスを送るのですが、ご自慢のアンテナが封じられた鬼太郎は不満げな顔のまま。
アンテナも必勝法もいらない、自力で全員見つけてやる!と意地を張って再び鬼に挑むのです。
……が、なにせ今までやったことのないアンテナなしでの妖怪(ひとり人間ですけど)探し、勝手が違うようで、全く妖怪たちを見つけられません。
一つ目なんかは、鬼太郎ってアンテナないと全然ダメなんだな、とほくそ笑むのですが……油断していると、みいついけた、という声がかかってしまいます。
やっぱり鬼太郎はすごいんだな、と隠れていた場所から出てきて声の方を振り向きますと、
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そこには……!!

夕方のおつきみ山に響く、一つ目の叫び声。
そこにいるのか!?と声をかける鬼太郎ですが、返事は帰ってきません。
それでも探し続けてはみたものの、誰一人として見つけることはできず……
みんなかくれんぼうますぎだろ!と今度はこっちが半ギレの鬼太郎、頭の絆創膏をはがしてアンテナを解禁してしまうのですが……どうしたことでしょう。
おつきみ山のどこからも、
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妖気の反応がないのです!!
異常な事態をようやく把握した鬼太郎、慌てて大声を張り上げて皆を探すのですが、やはり返事は帰ってきません。
そんな鬼太郎の焦りを感じ取ったのか、そこに目玉のおやじが駆けつけてきてくれました。
事情を聞いた目玉のおやじは焦ります。
夕方にかくれんぼすると、かくれ妖怪が現れるのじゃ!
かくれ妖怪はかくれんぼのエキスパートじゃ、陽気すら消すこともできるのじゃ!
かくれ座頭、かくれぼーさま、ことりぞ、様々なかくれ妖怪がいるが、奴らは姿を見せずに背後から近づき、「隠れ里」……異次元へ人を連れ去る。
二度と現世へは帰れなくなるのじゃ……
そんな衝撃の事実を聞かされた鬼太郎は、最悪の事態を想像してしまいました。
ゆうたが食べられる……?
たまらず駆け出し、ゆうたを探し回る鬼太郎!!
ゆうた、出てこい、かくれんぼは終わりだ、出てこないと大変なことになるぞ!!
必死な鬼太郎の声は……まだ隠れていたゆうたにも届きました。
が、ゆうたはそれをかくれんぼに勝つための作戦だと勘違いし、勝つのはぼくだ!と一層身をかがめて隠れてしまいます。
するとその時。
背後から何かが近寄ってくるような音が聞こえ……ゆうたがそちらを振り向きますと、そこには
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妖怪の姿があったのです!!
ゆうたの悲鳴を聞きつけて、すかさず駆け付ける鬼太郎!!
すかさず髪の毛針で攻撃を仕掛けるのですが、その妖怪、「かくればばあ」は瞬く間に姿を消してしまいました!!
消えた!?と驚く鬼太郎ですが、目玉のおやじによるとこれは消えたのではなく、「かくれた」のだそうで、どこにいるか見つけ出さなくては倒すことはできないとのこと。
かくればばあは妖気すらかくしてしまい、どこにいるか全くつかめない状態。
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こちらから攻撃はできず、油断をすれば死角から攻撃を食らい……かくればばあは一方的に鬼太郎を痛めつけます!
どうすれば隠れている敵を見つけることができるんだ!?
焦る鬼太郎ですが、その時頭に「必勝法」がよぎり……!!



と言うわけで、残念ながら今巻で完結となる本作。
6期鬼太郎に合わせての連載だけに、アニメの終了と単行本収録に切りのいいところで連載を切り上げる判断がされたのでしょうか……
全2巻となってしまった本作ですが、見どころは満天。
むしろこの第2巻から松本先生独自の鬼太郎像が確立してきたきらいさえありまして、その味わいが色濃く出ているのが今回紹介したエピソードです。
アニメ6期のクールな鬼太郎でも、3期の正義感の鬼太郎でも、原作の世捨て人的な鬼太郎でもない、小学生の子供のような気まぐれでやんちゃでいい加減、そんな鬼太郎が描かれています。
それだけに失敗も多いものの、決めるところはしっかり決める!
そんな松本先生版鬼太郎ならではの鬼太郎像が楽しめるわけです!
さらにそれに加え、今巻では原作には出ていない妖怪が多数登場しているのも面白いところ。
影鰐にかくればばあ、さらにペロリ太郎と言ったかなりマイナーな妖怪相次いで登場したかと思えば、原作になじみ深い妖怪が、原作にはなかった妖怪とタッグを組んで活躍するなど、今までにない妖怪との戦いが描かれていきます。
その原作に出てきた妖怪でも松本先生オリジナルのデザインにブラッシュアップされていたりしまして、原作ファンも新鮮な気持ちで楽しめることでしょう!
加えて、鬼太郎と目玉のおやじ以外の仲間妖怪の影が薄めな本作ですが、鬼太郎シリーズには欠かすことができないあのキャラクターも最後の最後で大活躍!!
原作ファンが新鮮に楽しめ、さらにリスペクトもしっかりと持っていることを感じさせてくれる内容となっているわけです!!

児童向けにシンプルでテンション高め、わかりやすいギャグの多めでありながら、妖怪との戦いに一捻り加えられているなどの捻りもあり、且つ原作へのリスペクトも忘れてはいない本作。
子供向けと侮ってはならない、鬼太郎シリーズの名に恥じない作品になっています!
アニメ版ファンも原作ファンも楽しめることうけあいです!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!