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今回紹介いたしますのはこちら。

「留年!とどめ先輩」第1巻 川村拓先生 

スクウェア・エニックスさんのガンガンコミックスJOKERより刊行です。


さて、「事情を知らない転校生がグイグイくる。」の河村先生の、「かわいい後輩に言わされたい」とともに発売となった最新作となる本作。
他の作品と同じように本作でも平和でのんびりした感じの日常漫画となるのですが、本作では今までの作品の中でとりわけ「ポンコツ」要素が強い作品となっていまして……?


里道信、高校一年生。
新しい高校生活に胸を躍らせていた里なのですが……
入学早々行われた実力テストは、下から数えて6番、というとてもじゃありませんが胸の躍っている場合ではない結果でした。
里は焦ります。
入学早々こんな成績じゃ、あの人みたいになってしまう。
留年先輩みたいになってしまう!

留年先輩という不名誉極まりな仇名をつけられてしまっている彼女は、早稲田とどめ。
病気で休んでいてとか、家庭の事情でとか、素行不良でとか言った原因ではなく、成績が悪すぎて留年したという彼女、里の一つ上の幼馴染でもあります。
知らない仲ではないだけに、成績悪すぎて留年する人はうちの学校じゃめったにいないって聞きましたけど、とストレートに聞いてみもしたのですが、なぜか誇らしげに

うちの学校のレベルが上がってきてるんだね!と胸を張るような人物であります。
挙句の果てに、大好きな先輩と同じクラスに慣れてよかったね、とニヤニヤしだしまして……
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かわいくて、エロスな雰囲気までまとっているビジュアルは最高な、それでいて里を困らせるのが大好きという性格はアレすぎ、という……そんな困った先輩と、里は一緒のクラスになってしまったのです。
こんな人にかかわっていると、自分まで留年してしまうかもしれない!
早く追試の勉強をしないと、とげんなりしている里に、とどめ先輩はそんなにうれしそうな顔しないで仲良くしようよ、といやらしく笑います。
そして、子供のころ一緒にお風呂に入った画像を取り出しまして、何やらよからぬことを言い出したのです!
私はね、これは仲間の証だと思うんだよ、留年仲間のね。
この画像は決してあげなくもないけど、その代わり……明日の追試は全教科白紙で出してくれるよね?
と、まさしく最低の要求をしてきたのです!
なんでそんなことをしなければならないんだと当然の突っ込みを返しますと、彼女はこういいます。
知っての通り私ってちょっと頭が悪いでしょ?
でもプライドは無駄に高いから、年下の後輩には絶対負けたくないんだよ!!
……自分の状況をしっかりと把握した上での、さらに最低な発言……!!
もちろんそんなとんでもない要求を呑むわけにはいきません。
そもそもとどめ先輩が出してきた画像は、一緒に子供のころのとどめ先輩も映っております。
これを公にすれば、恥ずかしいのはとどめ先輩も同じこと。
それを指摘すると、とどめ先輩は顔を真っ赤にしておきながら、そんなことないもん、ととぼけようとするのです。
……ともかく、画像云々の件は置いておいても、里に負けるのは避けたいという気持ちだけは本物。
そこでとどめ先輩、逆に何をすれば明日の追試を白紙で出してくれるのかな?と里に聞いてきまして……
全教科赤点の後輩と、その後輩に負けたくないから邪魔をする留年生。
なんてレベルの低い闘争なんだ、とため息をついてしまう里なのですが、そこでとどめ先輩のかけてきた「なんでもするからお願い」という言葉には思わず反応してしまいます。
とどめ先輩はその反応に気が付き、里くんが何かやらしいこと考えてる、ハレンチだなもー!と小ばかにしてきまして……
そして、言わなければいいことを言ってしまいました。
明日の追試、里くんが全教科白紙で出してくれたら、一つだけ何でも言うこと聞いてあげる!
多少はエッチなことでも、かまわんよ……?
里のことをよく知る幼馴染だけに、優しいからそこまで変なことは言わないだろう、と踏んでそうはいってみたものの、そこは思春期の少年です。
多少ってどこまでなんだ、と気になってしまうのです……が、すかさずその煩悩を振り払い、そうやって僕が勉強に集中できないようにしてるんでしょう?と持ち直します。
そんな作戦なんてみじんも考えていなかったとどめ先輩ですが、そのアイディアに乗っかることにしたようです。
よく気付いたね、そんなかわいいこといわれたら、先輩もっと困らせたくなっちゃうな。
じゃあこういうのはどうかな!
もし明日の追試で里くんが合格点なんて取ろうものなら、
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もれなく私が里くんにエッチなことをします!!
…………沈黙する里。
そして、気が付きます。
全然、困らないんじゃないか?
つまり僕が合格点をとると先輩は僕にエッチなことをする。
僕が存する要素、一つもなくないか!?
もしかしてこの人、
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途中から自分が変なこと言ってるって気づいてないのか!?
僕を困らせようと思って……頭わるっ!
そんな自分の過ちに全く気が付かないまま、とどめ先輩は里が困っていると思い込み、下の追試が楽しみだね、とほくそ笑むのでした。

頑張らない要素が一つもない里、すごく頑張って実力以上の結果が出ました。
自分でもびっくりするこの成果は、とどめ先輩のおかげ……と言ってしまっても過言ではないでしょう。
とどめ先輩は、そんなに私とエッチなことしたかったんだ、まったく男の子なんだからもぉ、とひとしきりからかった後……ようやく自分の持ちかけた約束が、自分に不利益しかもたらしていないことに気が付いたようです。
おろおろしだすとどめ先輩があまりにも不憫で、里はもういいです、なんかもうポンコツ過ぎて……とその約束を自ら放棄することにしました。
ですが引くに引けないとどめ先輩、これは里くんを穂年期にして成績を落とす作戦だから、とすでに破綻してしまっている作戦の説明をしだします。
里は、「嘘でした」っていえば許してあげますから、とそれでも助け舟を出すのですが……
とどめ先輩、
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おっぱい触る……?と顔を真っ赤にしながら、それでもなぜか約束を守ろうとして……!!
意地を張らず一緒に勉強しましょうと、と再度手を差し伸べてもなお、敵と手なんて組めるかぁ、と駄々をこねるとどめ先輩。
里の大変すぎる日常は、こうして幕を開けるのでした!!



というわけで、洒落にならないくらいポンコツな先輩と同級生になってしまった、里の受難の日々を描いていく本作。
すごくアレな先輩やら後輩やらとアレコレする日常ものは数あれど、まさか留年して’(それも成績が悪いと言う理由で!)同じクラスになっての日常とは……里もとどめ先輩も思いもしなかったことでしょう!!
度を越したポンコツの先輩と同級生生活、その良くも悪くも型破りな日々をご堪能ください!

第1巻の中盤あたりでは、とどめ先輩の同級生にして先輩になってしまう新キャラクターも登場。
どこか知的な雰囲気を纏うその新キャラクターですが、彼女もまたとんでもない個性の持ち主なのです!
川村先生ならではの底抜けに明るくおバカで、時々ほっこりさせてくれる持ち味はそのままに、今までに作品にはないハイレベルなポンコツ要素を入れ込んだ本作、これからどうなっていくのかも気になるところですね!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!