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今回紹介いたしますのはこちら。

「PINGKONG(ピングコング)」第1巻 コミック・ジャクソン先生 

小学館さんの少年サンデーコミックスより刊行です。


ジャクソン先生は、野澤昌宏名義で14年に読み切りを発表、18年に現在の名義に改めて活動している漫画家さんです。
初連載、初単行本となる本作、気になるその内容はと言いますと……



双子の姉、タクミの影響で卓球を始めた少女、コトミ。
コトミはみるみると実力をつけて行き、瞬く間に天才少女としてその実力が認められるまでになっていきました。
ですが先に卓球を始めていたはずのタクミは、一向に芽が出ることはなく。
コトミへの嫉妬なのか、自分へのふがいなさなのか。それ以外の気持ちなのか。
とにかく……ある日、タクミは「変わって」しまったのです。

全日本卓球選手権大会、地区予選。
女子ダブルス第1回戦に、コトミとタクミの二人で出場していました。
練習通りにね、タクミ!
そうコトミに声をかけられたタクミは……
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ゴリラでした。

この大会に出場するために、コトミは卓球協会の会長に、土下座でお願いしていました。
試合に出してください、と。
コトミはタクミだと言い張るものの、そのタクミと呼ばれている女性はどう見てもゴリラ。
勿論出場は認められない……と言われるかと思いきや、会長はコトミの目に確かに宿る本気の闘志を感じ取りました。
彼女達はまぎれもなく、卓球選手だ。
そう言って、特別に参加を許されたのです!
……が。
どこからどう見ても、ゴリラです。
360度どこから見てもゴリラ。
ゴリラに間違いありません。
戸惑いを隠せない相手選手ですが、ゴリラだけに注意していていいわけではなさそうなことにも気が付きます。
なにせコトミは。ここ半年ほど姿を消していたものの、その実力は折り紙付きの天才少女。
この相手選手、花京院は今回の戦いで優勝候補と囁かれている選手なのですが、一年前の試合ではスコンクを食らわされておりました。
そのコトミのサーブは相変わらず強力……
ではありましたが、半年のブランクのせいなのか、あるいは花京院の成長の成果なのか。
あっさりと返されてしまうのです!!
絶対の自信をもってサーブを打ち返す花京院なのですが、今度はコトミではない方の存在を忘れておりました。
ゴリラは高い知性にすさまじい腕力、俊敏性を併せ持つ、最強の呼び声もある動物。
その動物が、人間の打つ球を返せないはずがないのです!!
凄まじい力を込めて、振り上げられるラケット!!
撃ち返されたその球はすさまじい球威とともに……明後日の方向へ飛んでいき、会場の壁にめり込みました……
とりあえず得点ゲットの雄たけびを上げた花京院、その後も調子に乗って得点を稼いでいきます。
というよりも、ゴリ……タクミの返す球は全て一球目と同じようにホームランばかり。
撃ち返すだけで勝手に得点が重なっていくのです。
ゴリラだからそう言う競技だと思っているに違いない!!
卓球の出来ないゴリラは、ただのゴリラ……!!
花京院は早くも勝利を確信するのでした。

在りし日のタクミは、コトミよりも強い卓球への情熱を持っていました。
ですがコトミが結果を出し続けるなか、スポーツ自体向いていなかったまであるタクミは、めちゃくちゃに周囲から悪口を言われるようになっていきます。
そうしていくうちにコトミは、そんなタクミと自分が同じ顔である事が恥ずかしくなり、嫌気がさすようになってしまったのです。
今思えば、コトミよりもタクミの方がずっとつらかったはず。
「同じ顔でいたくない」。
コトミが一瞬でもそんなことを思ってしまったから、
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タクミはゴリラになってしまったんだ。
どうしてそんなことになったかはわかりませんが、とにかく自ら命を断とうとしたコトミはゴリラになりました。
ひとつだけ確かなのは、タクミがゴリラになったのは自分のせいだ、という事。
コトミは己の愚かさを悔いて泣き……そして、決めたのです。
タクミに罪滅ぼしをする。
彼女の夢だった、卓球での優勝を勝ち取る、と!!

気付けばコトミたちは追い詰められていまいた。
ですが敗北寸前のその時、コトミは気が付いたのです。
タクミはいつでも、コトミのために卓球をしていたことを。
そう、
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この試合もそうだと言う事に!!
ゴリラとなってなおコトミへの想いを抱き続けていたタクミ。
これは罪滅ぼしではない。
恩返しなんだ。
その事を知ることができたコトミは、吹っ切れたようです。
今までこの試合で打ってきたものとは全く違う、半年前よりもはるかに強力になったサーブを放っちました!!
それでも花京院は何とかそのサーブを返して見せるのですが……
吹っ切れたのは、コトミだけではありませんでした。
ゴリ……もとい、タクミも
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物凄い勢いで、ボールを叩き込んだのでした!!
終わってみれば、コトミたちの勝利でした。覚醒したコトミとタクミの前では、優勝候補の花京院ですら太刀打ちできなかったのです。
が、ここで大きな課題もわかってしまいました。
全国優勝を目指すにはまだまだ足りないものは多いのですが……何よりもまず。
ゴリラパワーで会場を破壊してしまわない、加減、を……


と言うわけで、双子の姉がゴリラ化すると言う衝撃のスタートを切る本作。
その設定が設定ですから、当然本作はギャグマンガになるわけです。
ですが結果はゴリラであるものの、そこに至る背景やらを考えるとシリアスなドラマが描かれるのも必然。
シュールなギャグ漫画であり、双子の姉妹の絆を描くヒューマンドラマであり、卓球も忘れず行うスポーツ漫画でもある、ハイブリッドゴリラコメディといえましょう!
……といっても基本はゴリラがらみのテンション高めなギャグがメインであることは間違いありません。
ゴリラをギャグに用いる漫画家さんといえば古賀亮一先生ですが(DEBの独断による)、本作が座を脅かす存在になるかどうか……
というのが見どころかどうかは置いておきまして、ゴリラと準ゴリラ(?)の織りなす真面目なのにシュールなシーンの数々が楽しめるのです!!




今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!