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今回紹介いたしますのはこちら。

「2.5次元の誘惑(リリサ)」第3巻 橋本悠先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。


さて、初めての写真集販売もなんとか成功と言っていい結果を納めた奥村達。
はじめの一歩を踏み出したことから、二人の関係の方も前進していった、かのように見えたのですが……



それはあまりに突然のことでした。
とある研究会が部活動に格上げになったため、「部」としての要件を満たしていなかった漫画研究部は研究会に格下げ。
それに伴い、部室を明け渡さなければならない……
そんな通達が、生徒会から届いたのです。
この部での今の活動はほとんどリリサのコスプレだけ。
その活動すら、部室がなければできません。
活動の場が制限されるだけならまだしも、この部室は今まで歴代の漫画研究部の面々が後輩へと受け継いできた、貴重な資料……フィギュアやら薄い本やらが満載!
その保管場所がなくなってしまうことも意味しているのです!!

実は漫画研究部、3年前から分の要件を満たしていなかったと言います。
ただ先輩から引き継いだだけで、そう言った事情を全く知らなかった奥村は、自分のせいでこうして部の存続が脅かされてしまったことを悔い、頭を抱えます。
が、そこで声を上げたのがリリサでした。
研究会になるから部室を使ってはダメ、というのなら、今からちゃんと部としての体裁を整えれば追い出されずに済むかもしれない。
漫画だったらここから、オタクならピンチでこそ前を向こう!
奏前向きな発言をした後、彼女じゃこう付け足しました。
やるだけやってみて、それでもだめだったらですけど……
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もし部室がなくなっても、先輩はいなくならないでくださいね?
私まだ、先輩とコスプレがしたいです。
そんなリリサの想いを受け、奥村は立ち上がりました。
面白くなって来たぜ!とアニメキャラのセリフを引用しながら生徒会室へ直行!!
部室のことは部長の俺が何とかして見せる!と息巻いて直談判に挑むのです!!

……が、意外に生徒会長は柔らかい態度で受け入れてくれました。
漫画研究会がそう急に部の要件を満たして申請が通れば、今の部室を延長して使用することに問題はない。
と、あっさりとこちらの求めている条件を飲んでくれたのです。
しかも、3年前に定年退職でいなくなった顧問の先生の代わりを見つけること、というまずしなければならないことも親切に教えてくれました。
部の活動のレポートなどの細かいことはあるものの、とにかくまず顧問を見つけてから。
引き受けてくれる人が見つかったらこの書類に印鑑をもらえばいい、今の各部活動と顧問の先生のリストがこれだから参考にしてくれ、というような、アドバイスに後押しまでしてくれたのです!
この学校の生徒会はよくある漫画の悪役生徒会のように、漫画研究部に櫛で潰そうとしているわけではありません。
生徒会長はにっこりと笑って、
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あくまでルールを運用しているだけ、相談をしてくれれば全ての生徒の味方です、と温かい言葉をかけてくれるのでした。

とはいえその顧問の先生を見つけるのが難しいわけです。
既にほかの部の顧問をやっていて手いっぱいだから、二人目の子供が生まれたから顧問まで手が回らない、となかなか首を縦に振ってくれる先生が見つかりません。
名前を貸してくれるだけでもいいと言ってみても、顧問を引き受けたからには手続きやら書類やらでいろいろあって、そう簡単なことではないと返されるのです。
途方に暮れかけておりますと、見かねた一人の先生が、新任の羽生まゆり先生なら今はフリーなはずだ、と教えてくれました。
家庭科教師の羽生まゆり。
黒髪のロングヘアーで、切れ長の瞳に眼鏡が知的な雰囲気を生み出している、美人の先生です。
そんな風貌から早くも男子生徒に人気がありまして……
お願いに行ってみても、群がる他の男子生徒同様、まだ仕事に慣れるのに精いっぱいだからごめんね、と軽くあしらわれてしまうのです。
ですがすごすごと帰ることになる、その直前に奥村は羽生先生の顔に何かを感じたのです。
どこかで見たことがるような気がする。
その記憶を手繰っていきますと、たどり着いたのは……リリサのバイブルともいえるコスプレCG集、「魔乳サキュバス」でした。
奥村はそれに気付いた瞬間、思わず「魔乳……」と呟いてしまいます。
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瞬間、羽生先生はピクリと体を震わせ……
人気のない家庭科室へ、奥村を連れて行くのでした!!

薄暗い家庭科室で、羽生先生は自分があの魔乳サキュバスのコスプレイヤー「まゆら」であることを認めます。
ですがどうしてもその事を触れられたくないようで、物凄い剣幕でどこで知ったのか、と奥村に迫ってきて……
事と次第によっては研ぎたての包丁の味を試すことになる、ととんでもないことを言い出すのですが、このピンチはチャンスでもあることは間違いありません。
コスプレイヤーのまゆらならば、今のコスプレをしている漫画研究部に理解を示してくれるでしょうから!!
事情を聞いた羽生先生、部活でコスプレ、最高かよ、と明らかに惹かれているような様子を見せるのですが……
このままでは眉らに憧れてコスプレを始めたリリサが、コスプレできなくなってしまうかもしれない、と懇願してくる奥村にこう返してきたのです。
だったらなおさら引き受けられない、あの子には会えない。
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私はコスプレを裏切ったから。



と言うわけで、今まで実は存在すらしていなかった顧問の先生を探すことになって今巻。
その顧問の先生の候補は、なんとリリサの憧れのコスプレイヤー、まゆら様だったわけです!!
こうなれば話が早い、と思いきや、いきなり断られてしまい……
ですが奥村も漫画研究部とリリサを守るためあっさりとは引き下がれません!
この後、ちょっとばかりダーティーな手段を講じて交渉をしていって……!?

顧問が見つかったとしても、他の要件……活動報告もすんなりいくとは限りません。
かつての漫画研究部は高校生の漫画コンクールで好成績を残すなど、人数が少なくても認められる実績を作っていました。
ですが奥村には残念ながら漫画の才能はないようですし、何より二人が今したいことはコスプレなわけで。
どうやってそれを漫画研究部の活動として認めさせるのか、という問題もあるのです。
突然幕を開けた部存続のための戦いは、必筋縄ではいかなそうです!!

さらに今巻では、今まで素人そのものだった奥村がある人物に撮影の手ほどきをしてもらうなどの展開も。
新たなイベントへのチャレンジや、大物新キャラクターの登場など、見どころ満天!
ついでに描き下ろしの特別篇も13P収録し、ついでに「券」まで発行される大充実の内容なのです!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!