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今回紹介いたしますのはこちら。

「ギリギリ遮る片桐さん」第1巻 TALI先生 

富士見書房さんのドラゴンコミックスエイジより刊行です。


TALI先生は10年ごろから活動されている二人組の漫画家さんです。
ガンガンでデビュー後、ゲッサンの新人賞で再デビュー、その後も少年画報社さん、新潮社さん、KADOKAWAさんと様々な雑誌で活躍されております。
現在も本作の他「ナナジン」「モンスタブー」を連載中と、精力的に活動されております。

そんなTALI先生の描く本作、ジャンル分けするのならばラブコメになるのでしょう。
ですが単純なラブコメとは到底言うことの出来ない、独特な内容になっているのです!!



自称・地味で普通の男子、岡田くん.
彼は自身をスクールカーストの底辺、の一つ上くらいの位置にいる人物として、努めて平和に過ごせるよう努めておりました。
目立たず、かといって下手に目をつけられるようなこともしない。
そんな岡田君ですが、ひとつだけ人並み以上に情熱を注いでいる者があるのです。
それは……「巨乳」!
この世で一番巨乳が好きだと豪語する岡田くん、そんな彼の思いが伝わったのでしょうか。
クラスメイトの大木さんという女子が、物凄いおっぱいの持ち主だったのです!!
……岡田くんはモテません。
中の下に位置する男子など、女子からすれば空気も同然。
女子にモテることなどない岡田くんなのですから、「これくらい許してもらえるだろう」と勝手に決めつけ、あることをするのが日課になっていました。
それは……大木さんの巨乳をチラ見すること!!
チラ見に圧倒的なこだわりを持つ岡田くん。決してガン見はせず、その日もチャンスをうかがって素早く「チラ見」しようとします。
ところがどうしたことでしょう。
今だ!と狙いすまして大木さんのお胸に視線を送りますと、そこに見えたのは
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クラスの女子、片桐さんの背中だったのです!!
最近片桐さんは、毎日この位置に立っています。
彼女がこの位置に立つと言うことは、席に座っている大木さんの体が隠れてしまうと言うことで……
岡田くんの全てといってもいいチラ見を封じられ、かといってどうしてそこに立つのかなどと聞けるはずもなく。
岡田君は、悶々としながら机に突っ伏すしかないのでした。

その時の片桐さんはこんなことを考えていました。
「何故なの?」と思っているな岡田くん!?
私は気付いた、岡田君が大木さんをいつも見ていることに。
それも、大木さん本人ではなく、大木さんの「胸」を見ていることに!!
それに気が付いた当初、片桐さんは岡田君の邪なる視線から大木さんを助けるためにこの視線ブロックを行いました。
ですが今はその動機が大きく変わってしまっているのです。
岡田くんの視線を妨げることに成功した時、彼が浮かべるしょんぼりした落胆の表情。
片桐さんはその表情を見て、
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未だかつてない快感を感じてしまったのです!
もっと困って、その表情を見せて!
片桐さんは密かな愉悦を胸に、今日も岡田くんの視線を遮るのです!

が、流石に何度もやっていますと岡田くんの絶望具合も幾分マシになってしまっているようです。
絶望の表情も慣れのせいかそれほどあからさまではなくなっていまして、普通といえる表情をキープしてしまっています。
このままではあの表情を堪能することができなくなるかもしれない。
片桐さんは、さらなる快感を得るために、岡田くんを揺さぶってみることにしました。
岡田くんの視線がこちら(というか大木さんの胸の方に)来ているのを確認し、そこで敢えて振り向き、意味ありげに微笑む……!
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それを見た岡田くん、まんまと片桐さんの思惑にはまってしまいました。
今片桐さん、こっちを見て笑った?
ばれてる!?ぼくが巨乳をチラ見していることがばれてる!?
今までの落胆に加え、今度は羞恥心が加わった岡田くん。
顔を真っ赤にしながら眉毛を八の字に下げ、片桐さんをビンビンに感じさせる表情を浮かべるのです!

再び悦びに震える片桐さんでしたが、そんな彼女の本当の思惑に気が付かない岡田くんは彼なりに思案を巡らせます。
ぼくみたいな中の下の視線を見抜く女子なんていない、ばれるはずがない。
もしかして、巨乳女子にのみ備え付けられていると言う、視線に反応するセンサー……巨乳センサーが働いたのか!?
軒先の防犯ライトよりも敏感だと言うそれによって、自分の視線に気が付いたのか……?
いや待て、片桐さんは巨乳ではない。
では何故!?
いろいろと各方面に失礼なあれこれを考えた末……結局答えは出せない岡田くん。
とりあえず冷静になるために、教室の窓を開けて冷たい風に当たることにしました。
すると突然の突風が吹き込んでまいりまして、
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片桐さんのスカートがそれはもう見事にめくれ上がってしまい、下着があらわになってしまったではありませんか!!
慌ててスカートを抑えて防御を試みるものの、その視線を遮る位置にいただけに、岡田くんにはばっちり見られてしまいました。
引き分け!
この勝負は引き分け!!
片桐さんはそう考え、恥ずかしさやら何やらをごまかすことにするのですが……
岡田くんにとっては引き分けなんかではありません。
いかに世界で一番巨乳が好きであろうとも、女子の下着はまた別の話!
しょんぼりしていたはずの岡田くん、その日は何だかちょっぴり幸せそうな顔で過ごすのでした……



と言うわけで、大木さんの胸を見たい岡田くん、岡田くんのしょんぼり顔を見たい片桐さんの知られざる戦いを描いていく本作。
この後も片桐さんは岡田くんの視線を遮りまくっていくわけですが……もちろんそれだけでは連載漫画にはなりません!!
岡田くんの意外な紳士ぶりが明かされてみたり、片桐さんとの間にまさかのラッキースケベが起きてみたり、夢の中で仮初の巨乳鑑賞をする岡田くんの夢の中までも視線ブロックをせんと目論んでみたり……
そんな二人の攻防のみならず、様々な新キャラクターも登場していきます。
片桐さんの変化を敏感に感じ取り、何かがあったんじゃないかと探りを入れてくる片桐さんの妹・こむぎ。
大木さんレベルの巨乳の持ち主でありながら、その胸を見ることが非常にリスキーであるバイオレンス系少女・スミレ。
そんな二人が相次いで登場し、岡田くんのささやかな幸せはどんどんと困難なものになっていってしまうのです!
そしてそんな中で、片桐さんは自分が岡田くんに抱いている想いが何なのかちょっぴり悩んでみたり!?
ラブコメとは違う何かとして幕を開けたかに見えた本作は、徐々にではありますが、しっかりとラブコメへと変わっていくような、そうでもないような……!!
さらにそこに、ただ見られるだけの存在かと思われていた大木さんにまでちょっぴり怪しい動きが!?
やはりこの作品、ただのラブコメにはならない……のかもしれません!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!