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今回紹介いたしますのはこちら。

「教えてブラジャー先生」第3巻 新矢歩世先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックス・エクストラより刊行です。


さて、上半身がブラジャー一丁の何より格好が破天荒すぎる教師、ブラジャー先生の教育を描いていく本作。
問題児ぞろいの3年2組でしたが、ブラジャー先生の独特過ぎる教育のおかげで、徐々に平和になり始めた、かに見えたのですが……?



3年2組の廃組、そして全員退学。
そんなとんでもない議題の採決が行われようとしていました。
いきなり突き付けられたかのように見えたこの議題、実は嵐多がクラス長になってから一度も生徒会に参加していなかった、その間の生徒会でずっと議論が行われてきたものなのだとか。
そしていよいよ採決、というところでわざわざ嵐多、まゆそ、アマルとブラジャー先生を呼びつけたのでした!
前もってたっぷり議論されただけあり、この議題……嵐多達以外は全員賛成!!
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なすすべなく、3年2組の廃組と全員退学が決定してしまったのです!
そもそもこの議題を通したのは、本来小学6年生の年齢ながら飛び級でこの学校に進学し、生徒会長を務めている旋風雀怒でした。
優秀過ぎる彼女はありとあらゆる勝算をその身に浴び続け、何をやっても満たされない状態になっていました。
そんな彼女が最も喜びを感じるのが……努力して積み上げたものが奪われて壊される時に浮かべる、絶望の表情を眺める時!
その欲望を叶え、且つ目障りな連中を処分できるこの議題、彼女にとって一石二鳥と言うわけです。
それにしても、いくらなんでも生徒会が決めていいような領域ではない気がします。
立ち会っていた先生もさすがに驚いたようなのですが……なんと教頭先生が許可を出しているとのこと!!
3年2組の生徒に苦杯をなめさせられていたこともある教頭先生も、ここぞとばかりに生徒会長の意見になったのでしょう。
体裁上は、わが校は生徒たちの自主性を重んじている、その学校の水が集められた生徒会が時間をかけて決めた事だから許可できないわけもない、ということのようです。
実際、3年2組は数々の問題を起こしてきました。
ブラジャー先生が来る前の事件はもちろんのこと、就任後でも嵐多達の乱暴な振る舞いや欠席の多さ、切れやすいまゆその起こした数々のあわやという事件未遂の数々、渚やアマルの行った暴行や暴言……挙げればきりがなぃ……
当学園にふさわしいとは思えない、他の生徒に精神的肉体的負担をかけ続けるのなら、やめてもらって効率の学校に通ってもらった方がいい、と生徒会長は言い切るのです。

ブラジャー先生のおかげで、3年2組は間違いなくいい方向に向かっていました。
だと言うのにここでこの仕打ちはあまりにも無慈悲というもの。
絶望するまゆそたちなのですが、ここで生徒会長が突然こんなことを言い始めました。
露出や暴力などの問題行動はあるが、担任のブラジャー先生も、曲がりなりにも依然やめて行った3年2組の担任の誰よりも長くクラスを求めていた実績がある。
だから特別に生徒会長特権で選択肢を与えてあげる、と。
その選択肢とは、次のうちの二つのどちらかを選べるというものでした。
1、担任を退いてほかのクラスの補佐としてこの学校に残る。
2、比較的問題の少ない生徒の退学を特別に取りやめ、代わりに自らが辞職する、
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さぁ、どちらかの誓約書にサインを!!
2枚の紙を叩きつけてブラジャー先生に迫る生徒会長!!
とんでもない急展開に。まゆそたちはたまらず、わるいのは自分たちで先生は悪くない、自分たちのことをちゃんと見て受け止めてくれるいい先生だ、とフォローに回りました。
そしてアマルは、本人不在の一方的な議論の末にその責任をブラジャー先生に押し付けるなんて卑劣だと生徒会長たちを糾弾するのです。
さらにアマル、生徒会長はその小さな体で懸命に努力して今の立場や名誉を手にしたから選挙に大勝するほど皆の心を動かしたんだ、それなのに就任2~3ヶ月で同じような達成感を味わおうとこんなことをするなんて、権力に毒されて利用されているとわかるはずだ、と説得に回りました。
が、生徒会長は全く相手にしないのです。
これは生徒会で決めたことで教頭先生は見届けただけ、貴様こそ憶測で人を持ち上げたり貶めたりするなんて、マスコミかSNSの陽じゃないか、と。
そう冷たくあしらいはしたものの、生徒会長は会長選を自分と争ったアマルの能力を評価しているそうで。
先ほどのブラジャー先生に与えた選択肢も、その選択次第で救済される側に回してやろうと思っていた、といいます。
なにせアマルのウチは貧乏です。
生徒会長の救済……学費完全無料の超進学クラスへの進学、は喉から手が出るほど欲しいはず。
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もはや生徒会長はその傲慢さを隠そうともせず、私に従い、ひれ伏し、足元で負け犬の表情で働くのならば考えてやってもいい、と笑うのでした……

が、その時。
ブラジャー先生はそこでようやく口を開きました。
皆ヒートアップしすぎじゃない?
未弐井くんも想像力たくましすぎ、教頭先生のような聡明な方がそんなことするわけないでしょ?
それに、休載されるとか去れないとかどーでもいいでしょう!
だって私は、
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全員退学で自分が残る方を選ぶんだから!!
ブラジャー先生は、しっかりと記入した1の誓約書を見せつけるようにひろげて……!!




と言うわけで、完結を迎える本作。
少々急な感じにはなってしまいましたが、しっかりと完結に向けたラストエピソード、廃組編が描かれています。
まさかの裏切りのような行為に驚き戸惑う3年2組の生徒たち。
今までの先生の行動からしても、自分たちのことを裏切るなど露ほども思っていなかった彼らのショックは大きいようです。
特にこんな時……嵐多が冷静でいられるでしょうか!?
ブラジャー先生の破天荒教育、果たしてこの後どうなってしまうのでしょう。
怒涛の展開から、まさかのバトルシーンを経由して驚きのラストシーンへと繋がっていくラストエピソード……必見です!!

残念ながら完結となってしまった本作ですが、その内容は巻を追うごとに読み応えある者になっておりました。
この第3巻では、最初のエピソードで新キャラクターが登場。
1話でしっかりとその新キャラクターの人となりを現し、今まで目立っていなかった他の3年2組の生徒たちにスポットライトをあて、さらに教頭先生との因縁も作って、ついでに(?)サービスシーンも追加して、ということなしのエピソードとなっております。
そこから生徒会長が登場しての最終章に繋がっていくのが流石でして……
ますます脂がのって来たところでの連載終了は残念です……
が、先生の次回作に一層の期待をしてしまうところ!!
お早い新作の発表をねがうばかりですね!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!