「電人N」第2巻 原作・蔵石ユウ先生 漫画・イナベカズ先生 原案・田中空先生
講談社さんのヤンマガKCより刊行です。
さて、肉体を失い、電気を介してあらゆる電子機器を自在に操れるようになった那須。
その身体を失った那須、電子機器を操る力を駆使し、地下アイドルのみさきをトップアイドルに仕立て上げようと画策するのです。
人間の仕業ではない犯罪の数々に警察はお手上げ状態になるのですが、そこに伝説の私立探偵の呼び声高い、「スドー」と言う二人組が参戦し……!?
自らを「N」と称し、みさきの悪口を言うものを次々に殺していった那須。
ですがNは、やがてその行為がみさきがトップアイドルになることに対して、マイナスに働いていることに気が付いたのです。
そしてNはみさきに直接接触し、そう言った行為から身を引くと伝えたのでした。
みさきはアイドル活動を再開する決意をしました。
みさき復帰早々与えられたのは、彼女の所属するグループ、レッフェのCDの販売、そして悪手とサインを行うイベントでした。
サイン会の開始時間は5時。
そして今は5時半になっているところなんですが……
その時点で今だ、お客さんは一人も来ていないのです。
その原因は……言うまでもないでしょう。
直接本人が何かしていないのは誰もがわかっているのでしょうが、日本を騒がせた事件の中心にいるみさきに近づくのも恐ろしいのです。
そして、みさきを恐れているのはお客さんばかりではありません。
実はレッフェ、このイベントでCDを1000枚売らなければ事務所との契約を解消すると言われていました。
……完全に、レッフェとの、みさきとの縁を切ろうとしているわけです。
レッフェのメンバーは、客がゼロじゃどうしようもないと諦観しているもの、もうダメだと悲観してなくもの、誰のせいなんだろうねと皮肉を言うもの……様々です。
と、その中で突然、みさきが立ち上がりました。
何をするのかと思えば、ここにいても売れないから、外に行ってくる、と段ボールを抱えて駆けだすではありませんか!
止めるメンバーの声も聴かず、イベントスペースから街へ出るみさき!
突如街中に姿を現したみさきに、人々はざわつきます。
心ない言葉も投げかけられるのですが、ここでめげている場合ではありません!
こんにちは、レッフェです!CD出ました、買ってください!!
大きな声でそう言うみさきなのですが、誰一人反応はしてくれません。
みさきは自分の方から人々に近づいて声をかけて行くのですが……
人々はみさきが近づくと、蜘蛛の子を散らすように逃げて行くばかりなのです。
それでもみさきは、諦めません。
その理由は……トップアイドルになるためです。
ですがそれは以前のような純粋な気持ちからではなく、姿を消す前のNにこう言われたからなのです。
「貴方が世界一のアイドルになるまで僕は応援する」。
つまりNは、世界一のアイドルになるまでみさきを解放しない、という事……
世界一にならなければ、誰かがNの手にかかって殺されるかもしれない。
自分のせいで誰かが殺されるなどと言う事が、みさきには耐えられないのです!
……が、そんな彼女の心など誰も窺ってはくれません。
懸命にCDを売ろうとしている彼女を見て、ついに「超必死」と小馬鹿にして笑いあう物まで現れて……
それでもみさきにできるのは、世界一のアイドルを目指すこと。
あるいは……死ぬこと、くらいでしょう。
世界一のアイドルになることなど無理だろうと自分でもわかってはいるのですが、それでもやらないわけにはいきません。
不安と絶望、誰もわかってくれない辛さや、どうしてわかってくれないのかというやるせなさ……その気持ちを必死に抑え込み、みさきはとうとう、
土下座をしてまでCDを買ってくれるようにお願いするのです。と、その時でした。
CDください。
そう言って、
スドーの一人が声をかけてきたのです!!しかも一枚ではなく、箱ごと全部ください、というではありませんか!!
涙を流しながら感謝の言葉を告げるみさき。
そしてスドーは、お代です、と封筒を手渡してくるのです。
が。
彼女の手に封筒を渡すその時、その封筒の中からあるものを取り出すのです。
それは……小型のピストル。
スドーは、失礼とみさきを抱え込み、彼女の口の中に拳銃の銃口を突っ込みました!!
そして大声で叫ぶのです!!
そっちから見えてんだろ、姿を現せよ、俺はお前と話がしたいんだ!!
姿を見せないと喉をぶち抜くぞ!!
周囲の人々は、何かの撮影か何かかと囁き合い、その様子を遠巻きに見ているだけ。
そして町は静寂に包まれるのですが……
その時でした。
街頭ビジョンに、道化師のような顔が映し出され、ワタシがNだ、と名乗ったのは!
姿を現したのだから彼女を解放しろ、というNですが……
スドーはそこでいきなり発砲!
誰にも当たらないように撃ってはいるものの、突然の行動に騒然とする町!!
そして誰よりもNが驚いております!!
スドーは言います。
君、那須君だよね?那須忠太君。
君さぁ、たくさん人殺してるけど、なんでそんなことやってるの?
姿なきNを、その尋常ならざる勘と能力であっさり那須であると見抜いたスドー。
追い詰められたかのように見えるNですが……実際みさきを人質に取られている状態とはいえ、彼を縛るものは何もないのです。
体のない彼に、スドーは何か手を用意しているのでしょうか?
スドーが次に打つ手は……
と言うわけで、早くも接触するNとスドー。
所謂普通の「探偵」とは全く違うタイプである彼ら、人間では実現不可能な犯罪をあっさり「じゃあ人間じゃない」と判断で来てしまいます。
よくある作品ならば大きく遠回りして、Nの正体に行きつくまでをむしろメインにするところなのでしょうが、単行本にして一冊ほどでその部分を駆け抜けてしまいました!
そして早くも真っ向から対決し……そして、その初対決から意外すぎる展開が繰り広げられるのです!!
蔵石先生の作品はスピーディーな展開も魅力の一つですが、本作もそのスピード感は変わらず!!
目まぐるしいと言ってもいいほどの展開が待ち受けております!
そしてその先に待っているのは、さらに驚きの新展開……!!
これから先も予想不能の展開が待っていることは間違いなさそうです!!
今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!
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