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今回紹介いたしますのはこちら。

「餓獣」第2巻 小池ノクト先生 

講談社さんのヤンマガKCより刊行です。


さて、地下鉄線路内で閉じ込められ、得体のしれない怪物たちに襲われてしまう志隈たち。
逃げ惑う中で重傷を負ってしまう物が出てしまい、志隈は救助を求めるために脱出路の捜索に出たのですが……



一人捜索隊からはぐれてしまった志隈ですが、そこで思いもよらない人物と遭遇します。
志隈をはじめ、クラス中の生徒たちから疎まれていた不良、成田です。
しかも成田、この非常時にもかかわらず、協力しようなどと言うつもりは微塵もないようで。
自分が抱えていた数々の荷物を強引に志隈に持たせると、どんどんと歩いて行くのです。
そしてその先には……脱線してしまっている電車がありました。
よほどの衝撃だったのでしょう、その車内には多くの犠牲者が閉じ込められたままになっています。
成田はそこで何をするのかと思えば、なんと亡骸から財布を抜き取り、現金を奪い取っているではありませんか!!
この非常時にやることは火事場泥棒。
成田は志隈をにらみつけて、手伝えとまで言い出して……!!
いくら成田が恐ろしい存在でも、さすがにそんなことは手伝えません。
強引に押し付けられていた荷物をその場に下ろすと、いやだとはっきり断りました。
すると返ってきたのは、有無を言わさぬ鉄拳!
さらに倒れ込んだ志隈に、じゃあ死ね、と落ちていた瓦礫を叩きつけようとして……!!
と、その時です。
遠くの方から、コーンコーンと何かを叩くような音が聞こえてきました。
それを聞いた志隈、とっさに手近にあった瓦礫を拾い上げて成田に投げつけ、好きをついて立ち上がります!!
そして自分も近くの金属を叩き、同じような音を立て始めました。
志隈の記憶が正しければ、この音は救助に来たものが生存者がいるかどうかを確かめるために立てている音!!
自分も同じように音を立て、助けてください、と大声で叫ぶのですが……
依然返ってくる音は変わらず。
とにかく音の方に行けば誰かいるはず、と志隈は音の方に駆けだすのでしました!!
成田の方は、誰かいるとなれば面倒になる、と考えたのでしょう、志隈を諦めて立ち去ってくれたようです。

成田は暗い中を一心不乱に音の方へ向かっていきます。
ところがどうしたことか、たどり着いた先は単なる行き止まり。
救助どころか、先ほどまでしていた音まで聞こえなくなってしまうのです。
ここにいます、けが人がいるんです、誰か!!
一縷の望みを託して叫び続けると……物音が再び聞こえ始めます。
ですがその音は、明らかに異様。
今までのコーンコーンと言う定期的に響く音ではなく、
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コココココココ……と何かを連打するような音になり……!
と同時に、脱線した機体が揺れ出します。
まさか、ここにも怪物が!?
戦慄する志隈でしたが、その時思いがけない音が聞こえてきます。
うう、痛い、助けて。
ボロボロの車体の割れた窓の隙間から伸びてくる……小さな手。
まさかこのボロボロの機体の中に、生存者がいると言うのでしょうか!?
痛い、お母さん、どこ?
そう言って泣いている、小さな女の子でした。
すぐに電車のドア越しに駆け寄る志隈なのですが、その隙間から辛うじて見えてくる少女の体は、
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大きく傷ついていて……もう助かるとは思えない状態でした。
志隈は少女の手を取り……すぐに助けを呼ぶから、と声をかけることしかできません。
もう君は助からない、ということなどできるはずもなく……
いい加減なことを言うな、こんなのアリかよ、オレ、なにもできねえよ……
自分の無力感に苛まれる志隈なのですが、そこでそのまま苦悩している時間はないようです。
ミシ。
きしむような音とともに、
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怪物が現れたのです……!!
通路の半分は脱線した電車で埋まり、後は行き止まり。
逃げ場のない絶体絶命の状態で、志隈は絶望する以外のことができません。
声にならない声で上げることもできず固まっている志隈に、ゆっくりと迫る怪物!!
そして怪物は、志隈の目の前に迫り……
そのまま志隈を無視して踵を返します。
志隈に、気が付かなかった……?
安堵する志隈なのですが、その時先ほどの少女が再びお母さんを呼ぶ叫び声を揚げ始めてしまいました。
静かに、と志隈が制止する間もなく、怪物は志隈を乗り越えて電車へまっしぐら!!
少しだけ開いていた扉をこじ開け、少女の体に牙をつきたてたのでした……

またも襲い掛かってきた絶望の中で、志隈はある可能性に気が付きました。
今まで襲われてきた人々も、騒いだ人ばかりだった。
俺のことが、見えていないのか……!?
怪物は志隈の目の前で、少女の亡骸を引っ張りだして貪っています。
目の前で悠々と食事をする怪物。
無惨に罪もない少女を貪る怪物に、怒りを抑えられない志隈の脳裏に、こんな考えがよぎります。
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今ならこいつを殺れるんじゃないか!?




というわけで、地下鉄内での脱出行の続き本作。
今巻ではとうとう怪物の弱点と思われる、目が見えていないらしいと言う新事実が発覚しました。
ここをついて怪物を倒す、琴ができればいいのですが、現実はおそらくそう甘くはないでしょう。
体を覆っている装飾品の隙間から見える特徴から察するに、この怪物は熊に近いものに見えます。
仮に熊だとして、不意を突いたとはいえ満足な武器も持たないものが無効化するほどのダメージを与えられるでしょうか!?
ともかく弱点を知り、チャンスを目の前にした志隈に選択の時が来たことは間違いなさそうです……!!

そして、志隈以外の動向も目が離せません。
救助を待っている雄大達、志隈とはぐれてしまった睦月達それぞれの話が同時展開。
そして成田のように一同と別行動しているメンバーも登場し、それぞれの意思の元それぞれの目的を果たすために行動!
ホラー作品によくある人間同士のごたごたとはちょっぴり違う、どこかちょっぴり外れた信念のもとにそれぞれキャラクターたちが動き回るのです!
グロテスクな描写や容赦ない惨劇、予想外の展開……
小池先生らしさ溢れるモンスターパニックは。これからも目の離せない展開が続きます!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!