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今回紹介いたしますのはこちら。

「DeスポファイターZ(ディースポファイターズ)」第1巻 音木ひろし先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。



音木先生はあまり情報がないのですが、Vジャンプで16年から18年にかけて「ドラゴンボールフュージョンズTHE MANGA」を連載されていた漫画家さんです。
残念ながらそちらの作品は単行本化されなかったのですが、連載終了後ほどなくして本作の連載を開始。
めでたく初単行本刊行となりました。

そんな本作はどんな作品かと言いますと、音木先生の前作と同じように、ドラゴンボールのゲームとのタイアップ系作品となっています。
そのゲームは18年に発売された格闘ゲーム、「ドラゴンボールファイターズ」なのですが、本作はその世界観をそのまま使った外伝、と言う類の作品ではなく……?



西暦20XX年に発売された、電話にもタブレット端末にもなる高性能デバイス「ビューティーフォン」。
そこに装着してゲーム機化させるコントローラー、「BV-X(バトルビュークロス)」が登場すると、世界中で一気にあるものの熱が急上昇しました。
それは……eスポーツ!!
それはエレクトロニック・スポーツ、所謂テレビゲームの腕前を競い合う競技です。
今や老若男女みんながゲームを楽しむこの時代では、eスポーツで生計を立てるプロゲーマーは大人気の職業に。
世界王者ともなれば、発言力は一国の大統領にも匹敵するとまで言われているのです。
そしてその数あるゲームソフトの中で、最も盛り上がりを見せているのが本格格闘ゲーム……「DBFZ」こと、「ドラゴンボールファイターズ」!!
その世界王者であるシンドウもまた、数多くのファンたちから羨望のまなざしを浴びるのでした。

そんなシンドーに憧れる少年、マモル。
彼もまたプロゲーマーを目指して奮闘しているのですが、その近道ともいえる全国大会、TFT(チームファイターズトーナメント)の日程が近づいていました。
ですが問題なのはその大会、3人1チームでのチーム戦である事。
まずはチームメイトと集めなければいけないわけです。
チームメイトをどうしようかと悩でいたマモルですが、何やら心当たりがある様子。
ところがその心あたりに会いに行こうと言うその道中で、いかにも荒くれものと言った風情の三人組に絡まれてしまいました。
鐘をかけてファイターズで勝負しようぜ、と持ち掛けてくる荒くれたち。
当然そんなことを受け入れるわけにはいきませんが、荒くれたちに逆らうのも恐ろしく……
そうこうしておりますと、そこに一人の男が乱入してまいりました!
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路地裏のサイヤ人、などと言う通り名をつけられた喧嘩好きの男、ケンゾーです!!
ケンゾーは瞬く間に荒くれをぶちのめすと、勝った!!と笑います。
その様子を見ていた守は、噂通りの強さだ、とつぶやき……!!

マモルが探していた人物こそ、このケンゾーでした。
マモルは噂に聞くケンゾーの「勝ち」への精神こそが必要だと思いたち、ケンゾーをチームにスカウトしに来たのです!!
ゲームには興味のないケンゾーでしたが、無類の甘いもの好きである彼にお菓子をあげることで話を聞いてもらうことはできました。
ケンカの「勝ち」の先には何かあるの?
ファイターズなら、その先に勝ち負けだけじゃない楽しさがあるんだ。
そう語りかけるマモルなのですが、ケンゾーはこう返してきます。
他人の「楽しい」を、自分の物差しで測るんじゃない、と。
まったくもって正論ですが……オレはオレのやりたいことをやる、ゲームなんてなよなよしたものはやらない!と荒々しく言い放ったところで、またもそこに乱入してくるものが現れたのです!!
「ゲームなんて」?「なよなよ」?
ゲームを愛する者として、今の発言は無視できん。
俺とゲームで勝負しろ、ゲームを低く見たお前をたたきつぶす。
そう言って現れたのは……まさかのシンドウ!?
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どうやらたまたま通りがかったようなのですが……
ケンゾーからすれば、全く知らない縁もゆかりもない男にすぎません。
ですがそれでも、ケンゾーはゲーム勝負を受けてたつというではありませんか!!
ゲームで勝ったら、今度はケンカで勝負しろ、と言う条件付きで!
シンドウもまたそれを受け入れ……
何で戦おうと負ける気はない!と、ケンゾーをしても驚くばかりの圧力を放つのでした!!

そうして始まった二人の戦い。
ドラゴンボールファイターズは、3人のキャラクターを選んでチームを組み、先に相手のチームを全員倒した方が勝ちと言うルールの格闘ゲームです。
シンドウが選んだのは、ヒット、純粋ブウ、ベジータSSGSSのチーム。
対するケンゾーは、ナッパ、クリリン。ゴクウSSのチームです。
シンドウは世界大会で戦ってきた男ですから、明確なコンセプトのあるチーム選びなのでしょう。
ですがケンゾーがセレクトした基準は、「カン」だと言います。
その時点でシンドウはレベルの違いをはっきり察知したのでしょう。
ハンデをやる、と言いだしました。
本来三人やられれば負けと言うルールを、一人やられた時点で負けでいい、と!
当然怒りに燃えるケンゾーですが……そこは流石と言ったところでしょうか、試合が始まれば一定の冷静さは取り戻したようです。
試合開始の合図とともに、ケンゾーは目にもとまらぬ指さばきでボタンの連打を始めました!!
ゲームのセオリーもくそもないめちゃくちゃなものではありますが、そのスピードは目を見張るものがあります。
連打で出たナッパのコンボが、シンドウのヒットにさく裂しました!!
が、それはシンドウの作戦だったようです。
見たか馬鹿め、と笑うケンゾーに、シンドウはこう言いました。
ああ、見た、見えすぎた。
素人は動きが遅いからな。
シンドウは相手の背後に瞬間移動して攻撃を放つバニッシュムーブで一気に間合いを詰め、反撃を開始!!
プロをナメるな、と瞬く間にケンゾーのナッパをしとめてしまったのでした!!
そのすさまじいスピードに驚愕するケンゾー、そのケンゾーにシンドウはわざわざ声をかけてきます。
お前の二体目止まってるぞ、ショックを受けてるなら早く切り替えろ、二度も待ってやらないぞ、と!
屈辱的な言葉を浴びせられたケンゾーは、怒りのままに捜査を再開するのですが、なすすべなし……
二人目のクリリンも、あっさりダウンさせられてしまうのでした。

もはや勝負は決したも同然……と思われたその瞬間、ケンゾーはいきなりタイムを求めてきました。
本来認められるはずもないタイムですが、シンドウは王者の余裕でそれを許します。
そのタイムで何をするかと思えば、マモルから再びお菓子を強請り、物凄い勢いで貪り始めたのです!!
腹いっぱいお菓子を食べたケンゾーは、これでようやく集中できそうだ、この勝負に勝つことによ、と
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今までとは格段に違うプレッシャーを放ち始めたではありませんか!!
これこそがマモルがケンゾーに見出した才能!
どんなピンチも何とかしてくれる、そんな悟空のような雰囲気……!!
勝負を求める熱い心、そして価値を求める飽くなき気持ち!!
その熱気がゲームに伝わり、ケンゾーの最後の一人、悟空が猛然とシンドウのヒットへと襲い掛かったのです!!
とっさにバニッシュムーブで迎撃するシンドウ!
ですが覚醒したケンゾーは、それを待っていたのです!!
バニッシュムーブを放つ時のシンドウの指の動き。
それを頭の中で反復することで完全に見切り、バニッシュムーブを迎撃したのです
そしてその勢いのまま、超必殺技へつなぎ……ヒットを撃破!!
特別ルールで、ケンゾーが勝利を収めたのです!!

シンドウは堂々と、完敗だ、好きなだけ殴れ、と負けを認めました。
ところがケンゾーはシンドウとは逆方向に歩いて行き、マモルの元へやって来たかと思うと、
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オレ、コイツのチームでゲームやる、と言いだしたではありませんか!
驚く二人に、ケンゾーはこう続けます。
次は三体全部倒す、そん時までケンカはとっとけ、と。
ケンゾーからすれば、ハンデをもらったうえ、一人目が倒された後の棒立ちの隙を見逃されるなどの手加減もされた上での勝利などすっきりしなかったのでしょう。
そして、おそらくそれ以上に……
ゲームが、楽しかったのか?
そう問いかけ、去っていくシンドウ。
そんなシンドウの背中に、ケンゾーはにやりと笑いながらこう返すのでした。
バカ言え、俺はただ「勝負」してーだけだ!



と言うわけで、ケンゾーのDBFZ挑戦が始まる本作。
この第1話は導入と言うことで、ゲーム自体を全くと言っていいほど知らないケンゾーが、eスポーツの道に入っていくきっかけを描くプロローグ的な内容になっています。
第2話からは、バンダイナムコエンターテイメントさんの企画協力という完全バックアップを活かした、DBFZと言うゲームの説明を交えたeスポーツバトルストーリーになっていくのです!
連載誌が最強ジャンプと言うことで、そのターゲット層は小学生と言ったところ。
格闘ゲームと言うジャンルは覚えることが多く、その覚えることを漫画の題材に取り入れながら、丁寧に説明していってくれます。
ゲームの説明自体はDBFZの基本やごく簡単なコンボなどのまさしく入門用の内容なのですが、そのアレコレを覚える為に行われるのが、いかにもと言った感じの老人に仰々しい装置で特訓してもらう、と言った児童漫画らしい展開です!
現れる敵もなんだかすごい個性を持つキャラクターばかりで、見た目の派手さもしっかり内包。
タイアップでありながら、きっちり児童向け漫画している作品と言うわけです!
ガチのDBFZプレイヤーからすると本作内の攻略は正直アレな部分はあるのですが、小学生の入門用としては十二分でしょう。
掲載誌の問題もあって、おそらく次の単行本は丸1年後になってしまうのが残念なところですが……
DBFZの今後一層の盛り上がりも祈りながら、次巻の発売を待ちたいところです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!