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今回紹介いたしますのはこちら。

「ゆこさえ戦えば」第1巻 福井セイ先生 

小学館さんの少年サンデーコミックスより刊行です。


さて、「すうの空気攻略」の福井先生の最新作となる本作。
前作は田舎から出てきた少女が都会の空気を読むために奮闘する日常漫画でしたが、本作もとある少女日常を描く作品、ではあるのですが……?



あたり一面に張り巡らされる、氷の刃。
氷を操る悪魔から「氷結(フリーズ)」の能力を授けられた男の力です。
このままだとあっさり勝負がついちまうぜ、いい加減そっちも力を使ったらどうだ?
そう言って男は、全身黒づくめの……明らかに人間ではない怪物……悪魔に向かって歩いて行きます。
黒い悪魔は、迎え撃つこともせずその男に応えます。
そう言うわけにはいかないな。
なんせ我が力を与えた人間は……
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今、授業中だ。
新王子ゆこは、古文の授業にいそしんでおりました。
先生にあてられると、一生懸命竹取物語の一節を読み上げます。
ありうがとう、よく読めてたぞ、と褒められて自分の番を終えたゆこは小さくガッツポーズ。
そんな日常の一コマを過ごすゆこが、あの黒い悪魔に能力を与えられた少女だと言うのですが……?

で、戦いの真っ最中に「授業中」という場にそぐわない言葉を聞いた氷の能力の男はと言いますと、思わず黒い悪魔に聞き返していました。
授業ってあの学校の授業のことか?
俺たちって今生き残りをかけて戦ってるよな?
なんで授業うけてるんだ?
そんな氷の男の問いかけに……黒い悪魔は、こう返すのです。
我も……聞きたい……

今日の朝のことでした。
ヘッドホンで苦手な古文の授業の予習をしながら登校していたゆこ。
するとにわかに空が曇り始め、その暗雲の中からゆこに向かって黒い稲妻が落ちたのです!!
稲妻の直撃を受けてしまったゆこですが、とくにけがはなさそう。
一体何が起きたのか、きょとんとしておりますと……
そこに、不敵な笑いとともにあの黒い悪魔、「ギギラ・キングレイ」が現れたのです!!
ギギラはゆこに、自分は「獄炎(フレア)」の力をお前に与えたものだ、と名乗るのですが……
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ゆこは何も気にせず、そのまま学校に歩いて行きます。
どうやらヘッドホンをしているせいで、ギギラに気が付かなかったようです。
ギギラの方は大見得を切ってこれでは立つ瀬がないわけですから、あわててゆこの前に回り込んで存在をアピール!
ようやくギギラに気付いてヘッドホンを外したゆこに改めて名乗るのですが……
私は高校生、新王寺ゆこです、ギーちゃん、とお辞儀して名乗ったあげく、ギギラをギーちゃん呼ばわりするではありませんか!!
……呼び方はともかく、これで本題に入れます。
ギギラがゆこに能力を与えたのは、「悪魔凱戦(ディアブロイル)」の参加者に選ばれたため。
ディアブロイルとは数百年に一度行われる、496名の悪魔とその悪魔に選ばれた人間が戦う、バトルロイヤルです。
最後まで勝ち残った悪魔は魔界最高の栄誉を得ることができ、悪魔界の歴史に名を刻まれます。
そして人間の方には、なんでも一つだけ願いをかなえてもらえると言う凄いご褒美が待っているのです!!
とんでもないことを明かされたゆこですが……
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そうなんだ、でもわたしはいいや、授業とかあるし、と丁重にお断りして学校に向かってしまったのです!!
ギギラは、それでもいずれ戦わざるを得なくなる、とほくそ笑んでいたのですが……
その後、これから敵が襲ってくるよと脅してもまったくゆこは取り合ってくれませんでした。
結局そのまま今に至るわけです……

魔界では屈指の実力を誇るギギラなのですが、このディアブロイルではパートナーのエネルギーが無ければ能力を使うことができません。
そのエネルギーを得るには、パートナーの人間の意識が少しでも自分に向く……それだけでいいのですが……
ゆこは古文の授業に超集中中!!
少しだけでもいいからエネルギーを送れ、学校の教室という遠くから送ってもまともな攻撃にはならないだろうが時間稼ぎくらいにはなるかもしれない!
あの黒い稲妻移行、二人の間はその稲妻が紐のようになって繋がっています。
ですからギギラの声も聞こえているはずなのですが……
集中しまくっているゆこは全く気が付かず。
防戦一方のギギラ……さすがの彼でもこのままではやられてしまいます!!
追い詰められたギギラは、頼む小娘、頼む、ゆこ!!と、とうとう今まで読んでいなかった名前まで読んで助けを求めるのですが……
やっぱり気が付きません。
が、そこで古文の授業が終わりました。
授業が終わったところでようやく気の抜けたゆこ、ふとギギラのことを思い出しました。
そう言えばギーちゃんは……と、すこし黒い稲妻の向かっている方を見た、その瞬間でした。
なんか物凄いエネルギーがギギラに向かって行き、
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凄まじい一撃で大逆転したのは!!
氷の男と悪魔はもちろん、ギギラのびっくりのその一撃。
どうやらゆこは、とんでもない才能を秘めているようです。
……この物語は、悪魔とその宿主たちの血を血で洗う壮絶な戦いに、日常を懸命に生きる少女輸古が……巻き込まれて、行かない物語なのです!!


と言うわけで、独自の切り口で描かれる、能力バトル日常漫画となる本作。
物凄い才能を持ちながら、決して自分からは戦おうとしないゆこ。
そんな彼女の扱いに苦心しながら、ギギラが彼女を戦わせようとしつつ、なんとかかんとかやり過ごす様子が描かれていきます!
ゆこは何故ここまで頑なに戦おうとしないのか?
彼女は学校簿勉強に毎日の家事にと大忙しで、それに加えて学校のお友達と遊んだりもすれば時間がない、とそう言うわけです。
勿論彼女がそこまで毎日の暮らしに一生懸命なのにも事情があるようですが……そのあたりはおいおい明かされていくでしょう!!
今はゆこの一生懸命な日常と、ギギラのから回る頑張りをご堪能ください!!

そんな本作、福井先生の得意とする(?)真面目で純真な少女の頑張りが今回も発揮!
ともすれば天然にも見えるゆこですが、ときおり見せる寂し気なところややさしさ、そしていつも一生懸命なところが読者をほっこりさせてくれること間違いなし!
ギギラもゆこを宿主に選んでしまった以上危害はくわえられないのですが、徐々に困惑しているだけではない感情もわいてきたような……?
この後新キャラクターも続々登場し、新キャラとゆこの魅力は増大!
一応能力バトルなのに福井先生らしい、ゆったり楽しい空気が楽しめるのです!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!