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今回紹介いたしますのはこちら。

「もういっぽん!」第4巻 村岡ユウ先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。


さて、南雲を加えて金鷲旗へのムードがさらに盛り上がる一同。
ですが顧問の夏目先生は、県道で全国レベルの運動神経の持ち主とはいえ、柔道を始めたばかりの南雲を試合に出すことは出来ないと判断。
金鷲旗は5人1チームですから、このままですと3人で戦うと言うハンデを負った状態で挑むことになってしまいます。
ですが夏目先生は、もう一人メンバーに心当たりがあると言いだし……?



コンビニでのアルバイトに精を出す少女、姫野。
この作業をしたら上がろう、と言うところで、フランクフルトをにほん注文してくるお客さんが現れます。
そのお客さんは……夏目先生でした。

バイト終わりの姫野を誘い、公園にやって来た夏目先生。
姫野に向かって、真面目ながなしを始めました。
インターハイ予選が終わって、3年生が試合に出られるとしたら残るは金鷲旗だけ。
最後に、姫野もどうかと思ってね。
このままでいいのかい?
……この姫野こそが、夏目先生の心当たりでした。
一度は消滅してしまった青葉西女子柔道部。
その最後の部員がこの姫野だったのです。
部員不足もあり、納得したとは言い難い最後を迎えた姫野の部活動。
最後にその心残りを解消するためにどうか……と夏目先生は声をかけたわけですが、姫野はやんわりと断ってきました。
私もう柔道はいいんだって、てかあの仲良し1年生に渡しなんかが交じれないよ。
確かに先輩たちの引退で一人になって、練習もまともにできないからやめたけど、私別にそこまで柔道に思い入れないっすよ。
高校に入ってからも続けたのはせっかく初段盗ったからってくらいの軽い気持ちだし、対して強くもなかったし。
手かもうしんどいのやだよ、半年以上やってないし。
……そんなことをいいながら、姫野は携帯で、友人である霞ヶ丘柔道部の白石のメッセージを眺めています。
わたし夏まで部活続けることにしたんだ。
……そのメッセージを見ながら、私にはわかんないな、と呟いて……
見てセンセ、髪ようやくここまで伸びた!
寝技で脱かんのだけはマジ勘弁してほしかったなあ。
姫野は立ち上がります。
金鷲旗で5人いるなら私の名前つかっちゃっていいから、4人で頑張ってよ。
先輩は影ながら応援してます、てかやっとバイト慣れてきたからやめたくないし。
そう言い残して、走って帰っていく姫野。
彼女の背中を見送りながら……夏目先生は彼女の最後の試合の時のことを思い出すのです。
壁にもたれかかりながら天井を見上げて……
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最後くらい、スカッと気持ちいい一本勝ちしたかったなあ、と呟いていた、彼女の姿を。

つれない返事をした姫野でしたが、全く気持ちがないわけではありません。
走りながら、夏目先生が今まで自分にアプローチをかけてきてくれた時の言葉を思い返していました。
新入部員が入ってきたよ、一度見学だけでもどうだい。
面白い子たちだよ、彼女たちを見てると、先生も久しぶりに胴着を着たくなったと言うか……
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なんだか、気持ちを動かされちゃってね。
……何となく心に引っかかるものがあったのでしょう。
姫野は、白石にこうメッセージを送り返していました。
アーミン何でその気になったん?

翌日。
未知達の練習の場に、姫野が姿を現しました。
姫野、来てくれたんだね。
夏目船影がそう言うや否や、道がパッと笑顔になり、秘密兵器先輩!?と駆け寄ろうとしました。
サッとそれをキャッチして、ありがとうとお礼を言う夏目先生。
ちょっと見に来ただけですよ、と言う姫野の前で、一同は練習を再開します。
もっかい、もっかい!と積極的に練習に打ち込む四人。
それを見ていると、姫野の中にもこみ上げてくるものがありました。
残り10秒になった試合、夏目先生のまだ10秒ある、諦めるな、もう一回!と言う声。
結局姫野は技を決めきれず、悔しい敗戦を喫してしまいました。
そんなことを思い返していますと、姫野の目の前で、未知が頭から畳にたたきつけられます。
もっかい!とめげずにすぐ練習に戻る姫野ですが、たたきつけられたそこには彼女の頭から抜けた髪の毛が落ちています。
よくやるよ、しんどいし、痛いし、暑いしきついのに。
べつにいいよ、このままで。
今からやるとしても一か月しかないし、バイトも楽しいし、せっかく髪も綺麗に伸びたし。
わたしはもう……
そう自分に言い聞かせようとしている言葉を打ち消すかのように、未知の「まだまだ!!」と言う叫び声がこだまします。
と、その時姫野の中によぎったのは、昨日白石に送ったメッセージの返信でした。
インターハイ予選負けたら終ってもいいかなって思ってたんだけど、久しぶりに場知って極めちゃったんだよね、こないだの青西戦で。
いや久しぶりっていうか、初めてかもしんない。
あんな完璧な、あんな気持ちいい一本。
わたしね、あの子のおかげでもっと柔道好きになっちゃったみたい。
その文面を思い返していた時でした。
姫野の目の前で、
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未知が見事な一本を決めたのは!
気が付けば、姫野は夏目先生の左の袖を握っていました。
さらに逆の手で、襟をつかみます。
そして言いました。
わたし、今のままでもいい。
だけど、まだ一か月ある。
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私も、もう一度……!



と言うわけで、いよいよ5名となった青葉西女子柔道部。
最後の心残りと言う忘れ物を取りに来た姫野とともに、金鷲旗に向かっての特訓が始まります!!
姫野がちょっぴり懸念していた、仲良し一年生の中に交じれるかと言う問題に関しては、なにせ相手があの未知ですから全く問題はないでしょう!
人数が増えれば当然練習の亮もレパートリーも増やせますから、一同のパワーアップは間違いなし!!
金鷲旗に向けて、さらに盛り上がっていくのです!!

そしてみっちりと打ち込んだ練習パートを終えると、いよいよ金鷲旗編へ突入!!
未知達の練習と仲良し風景がメインの日常パートも楽しい本作ですが、試合シーンは試合シーンでしっかりとしているのも素敵なところ!
パワーアップした未知達は、金鷲旗でどこまで駆け上がれるのでしょうか!?
霞ヶ丘との因縁(?)の対決を実現するには、お互いが決勝まで行かなければなりませんが……果たして!?
そして大会直前でもひと騒動あったりと、試合以外の面でも見どころ満天!!
試合もそれ以外も、たっぷり楽しめる一冊になっています!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!