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今回紹介いたしますのはこちら。

「教えてブラジャー先生」第1巻 新矢歩世先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスエクストラより刊行です。


新矢歩世(しんやぽよ)先生は、98年にポヨ=ナマステ名義でデビューした漫画家さんです。
成人向け漫画をメインに活動されておりましたが、全年齢向け雑誌にも読み切りなどを発表されていました。
そんなポヨ先生が現在の名義に改めて、18年より連載を開始したのが本作。
自分の知る限りポヨ先生は今まで単行本を一冊しか出していませんので、本作が先生はじめての全年齢向け作品の単行本且つ、巻数表記のある単行本、のはず。
果たして歩世先生として装いも新たに歩み始めた本作、その内容は……?



中高一貫、城遊学園。
その城遊学園の3年2組では、4月からのひと月で担任教師が5人交代するという異常事態が巻き起こっていました。
その原因はおそらく……
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机を蹴り壊してイライラを解消する不良、嵐多純平の存在によるものが大きいでしょう!
その日はすでに9つの机を破壊しておりまして、これで俺の名前がギネスに乗ることは間違いないだろう、とトンチキなことをのたまっておりました。
彼の横暴で粗暴な行動を止められるものは誰もおらず、かろうじてクラス委員長のアマルだけが横やりを入れることができるものの、そんな横槍も嵐多の机破壊を止めるには至りません。
アマルの横やりにさらに苛立ちを覚えた嵐多は、頭突きで10個目の机を破壊!!
クラスのみんなはその様子を伺いながら、心の中でいい加減にしてくれと文句を言うしかないのでした。
そんな者たちの中で、一人壊れた机の前でひざまずき、うなだれている少女がいました。
彼女の机も嵐多によって壊されていたのですが、彼女が心を痛めているのは、机と一緒に砕かれてしまったお気に入りのペン。
前任の教師が可愛いと褒めてくれたペンが、壊されてしまった。
そしてその戦士も心労でやめてしまった……
どちらもその原因は、嵐多にあります。
彼女、仙台まゆそは……こんなやつ、死ねばいいのに!と、殺意を込めて嵐多をにらみつけるのです!!
ですが、憎しみだけで人は殺せません。
嵐多はそのイライラを机にぶつけるだけでは飽き足らず、とうとうあまりにまで手を出してしまいます。
アマルの首をつかみ、片手で軽々と持ち上げて……!
どんどんと閉まっていくアマルの首。
クラスメイトのやめて、死んじゃう、という声も嵐多には届きません。
なんで俺はこんなにイライラしてるんだっけな。
まぁ、いいか。
そんなことを考えながら、嵐多はさらに腕に力を込めていった……その時でした。
なに騒いでるの、席に着きなさい!という言葉と共に、新任の教師が教室に入ってきたのは!!
いらだつ嵐多は、その声の方を振り向きながら、俺に指図するんじゃねえと叫ぶのですが……
その教師、そんな嵐多でも呆然としてアマルをつかむ手を離してしまう格好をしていたのです。
なんと新任教師の彼女、
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上半身がブラジャー一枚!!
一体何を考えているのでしょうか……!?
驚きと、そのあらわになった大きなお胸への興味で一気に静まり返る教室。
そんな状況で、一緒に来ていた隣のクラスの先生に促されてブラジャー姿の教師は自己紹介を始めました。
新しく3年2組の担任になりました、舞裸慈屋一千代(ぶらじや いちよ)です。
ブラジャー先生です!
歳は今年26の25歳、担当は理科、主に生物です。
先生をするのは初めてなので失敗もすると思うけど、一生懸命頑張るのでよろしくお願いします!!
深々とお辞儀をして自己紹介を占めるブラジャー先生。
プルンと揺れるお胸に、男子生徒のみならず、女子生徒もあっけにとられてしまうのです。
一向に反応が返ってこないことに苛立ったブラジャー先生は、全身からプレッシャーを放ちながら、よろしくお願いします!と念押しを行い……
生徒たちはあわてて宜しくお願いします、と返すのでした。

自己紹介が終わり、隣のクラスの先生がそそくさと立ち去っていきますと……さすがのブラジャー先生も大量の机の残骸に触れてきました。
その机を壊した当事者である嵐多は、絶賛困惑中。
なんで女がブラ一丁なんだ、パーティーなのか?サプライズ的な何かなのか?
いや、さっき先生って言ってたぞ、何を教えるつもりなんだ、もしかして保健体育の実践的な?
そんなことを考えて固まっている嵐多に、ブラジャー先生はこういうのです。
ねえキミ、このぐしゃぐしゃなの片付けてくれない?と!!
嵐多はその言葉を聞いて、即座にぶち切れ!!
なんで俺がそんなことしなきゃならねえんだ!?とブラジャー先生をにらみつけるのです!!
クラスの面々は、よく言ったと称賛するものもいないではありませんが、大半は荒れそうだとおびえ、余計なことをするなんてやはり新人だ、と落胆。
そんな一同の想いを知ってか知らずか、ブラジャー先生はこう続けるのです。
そんなの当り前じゃない、だって君は一番力持ちそうで、頼りになりそうだからだよ!
……おだてて操縦する作戦でしょうか。
意外に策士じゃないかとクラスの面々の評価も改まっていくのですが、いくら嵐多でもそうあっさりとはノリません。
誰がそんな手に乗るか、と拳をぽきぽきと鳴らす嵐多ですが……ブラジャー先生はさらにとんでもない指示を飛ばすのです!!
ってことで嵐多君、早速中庭にじゃんじゃん捨てちゃってよ!
にわかには信じられないその言葉。
嵐多は面白いと笑い、教室の壊れた机をつかんで、開いた窓からどんどんと机を投げ捨て始めました!!
あまりの出来事にただその光景を見守るしかないクラスメイト達は、ますますブラジャー先生の意図がわからなくなって行ってしまいます。
嵐多は仲間と共にノリノリで机を投げ捨て続け……教室の中には、机の残骸がひとつ残らずなくなります。
ですが嵐多の勢いは止まりません。
綺麗になったから授業を始めようというブラジャー先生を無視して、壊れていない机まで掴みあげて投げ捨てようとするのです!!
全部、もっとなくなっちまえ!!
机を高々と持ち上げて、窓から投げ捨てようとする嵐多!!
そこで動いたのは……まさかのまゆそ!!
まゆそは窓際に立っている嵐多を突き飛ばし、嵐多を壊れた机と同じように、中庭に突き落とそうとしたのです!!
無くなるのは、お前だ!!
その手が無防備な嵐多の背中に届こうとしたその直前でした。
ブラジャー先生がまゆそを追い越して、
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嵐多を突き落したではありませんか!!
嵐多が持っていた机はそのまま落下。
そして嵐多も机と同様地面に落ちてバラバラに……なるかと思われましたが、その手をブラジャー先生が掴んで、落下を阻止していたのです。
なにしやがんだ、と叫ぶ嵐多。
ブラジャー先生は言います。
ダメじゃない、まだ壊れてない机まで捨てちゃあ。
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キミもまだ壊れてないけど、捨てられてみる?



というわけで、着任早々とんでもない出来事を巻き起こすブラジャー先生。
彼女は教員試験を三年連続で落ちているとの事で、なるほど型破りと言いますか、むちゃくちゃにもほどがある行動をとってきます。
それでも彼女には彼女なりの考えがあるようで……
この後、ブラジャー先生と嵐多、そしてまゆそを中心に物語が本格的にスタートすることとなるのです!!
ブラジャー先生は教師としての適性は正直未知数と言いますか、そもそも恰好からして失格と言っていい人物かもしれません。
ですが彼女の時折はなつプレッシャーや、この後所々で垣間見れる彼女が並ではない過去を持っていることなどから、嵐多のような振り切れた不良にも引けを取らない人間であることがわかります!
そんな彼女が、このあとひと月で教師が5人交代するという問題山積のクラスをどう動かしていくのか……
型破り教師物は昔から漫画界に数多くありますが、本作ほど格好も行動もイカレ……もとい、予測不可能なのは珍しいのではないでしょうか?

そして本作ならではと言っていい要素が、クラスの生徒たちの方にもあったりします。
嵐多のようなワルは、普通の漫画ならば根は良い奴で、先生やクラスメイトとの交流をきっかけに更生していくのがセオリーでしょう。
ですが嵐多は妙に素直だったり、純情だったりするところはあるものの、実はいい奴だった的な部分が今のところほとんどないのです!
それに加えて、クラスメイトの方もまたちょっぴり特殊。
不良とはいえクラスメイトの嵐多を4階から突き落とそうとしたまゆそも普通じゃありませんし、クラスメイトも曲者揃いと言いますか、名前の出てくるようなキャラクターにいわゆる「いいやつ」がいないのが面白い所!
こういう漫画でそういうこと言っちゃう!?と思うような……嵐多以外の生徒の動向も注目なのです!!
そしてその嵐多も今巻の中盤で予想を超えるとんでもない行動をとって……!!
その行動が、本作のこれからの展開を決めるのです!!
ポヨ先生のセンスが光る、とんでもないキャラと展開のオンパレードが楽しめる本作。
型破りだけど実はいい教師、と言うお馴染みの形からも少し外れた独特の内容、本作でしか味わえませんよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!