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今回紹介いたしますのはこちら。

「僕は君を太らせたい」第2巻 原作・茸本朗先生 漫画・横山ひろと先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。


さて、謎の感染症が広まる世界で、自給自足のサバイバル生活を送ることになった木野たち。
茸や鳥獣、魚や虫の知識に明るい木野はその知識をフルに活用し、憧れの存在だった同僚の女性、エリを守りながら、かつ彼女を健康的に太らせようと画策します。
エリはそんな木野の謎の執念や、今までとは違う食生活に戸惑いながらも徐々に受け入れて行くのですが、彼女のうなじには感染症にかかっているあかしである痣が浮かび上がっていて……?
エリには言い出せないまま、新たに野草の知識に詳しい少女、のぞみを加え、放浪の旅はまだ続くのです。



海辺の町で釣りをしていたところ、一同はおばあさんに出会いました。
なかなかの、ただものではない雰囲気を持つおばあさんとともに挑んだ釣り、木野とおばあさんが狙っていた獲物をばっちり釣ることに成功します。
それは……ウツボ!!
怪物然とした狂暴な見た目と、それにふさわしい性格、鋭い牙を持ったウツボ。
釣り上げた際の勢いで、そのウツボはエリの方へまっしぐら!!
その牙がエリへと襲い掛かる……と思われたその瞬間、おばあさんがパッと間に割って入り、ウツボに石で一撃!!
なんとウツボを殴り倒して見せたのでした!!
釣り上げたウツボは、えらから鋏を入れて頸動脈を切って締めます。
こうなるとしっかり調理する場所も欲しいところですが……そこでおばあさんがアドバイスをしてくれたのです。
もう少し進むと赤い屋根の旅館がある、そこは今無人だからウツボを捌くならそこでやればいい。
さらにその旅館には、温泉があるとか。
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ウツボも勿論ですが、温泉があるとなればエリも黙ってはいられません!
一同は満場一致で旅館に向かうのでした!!

旅館に向かう道すがら、明日葉を採取した木野達。
さらに旅館の庭先にレモンが生えておりまして、あとでお礼をできるようにと書置きを残してそちらも採取することにしました。
食材もさらに充実したところで、いよいよウツボの調理です。
かなりの大物だったウツボ、まな板からはみ出てしまう大ボリューム。
これは食べでがありそうですが……まずはこの全身を覆うぬめりから何とかしなければなりません。
取るのが厄介そうなぬめりなのですが、意外と簡単に取れる様子。
酢をかけるとぬめりは白く変わり、包丁などであっさりこそぎ落とせるようになるのです。
その後洗い流せばぬめりとりは完了。
そうしたら今度は頭の後ろと肛門のところまでの三つに切り分けまして、頭の部分は鍋に入れて水から煮立て始めました。
胴体の部分は背開きにして内臓を取り出し、背身と腹身を取り出します。
内臓は切り開いてよく洗い、ぶつ切りに。
この内臓は臭みがなくておいしいのですが、内臓も身も鮮度落ちが激しいのでなかなか食べられない、とは木野の弁。
今回は正真正銘釣り立てですから、そのあたりはばっちり問題なしでしょう。
次は油を引いたフライパンで、腹身の皮側をじっくりと焼いたのち、井戸水で冷やして水けを取り、薄く削ぎ切りに。
背身は骨切りをした後塩コショウして薄力粉をはたき、油でじっくりと揚げます。
そして頭を似ていた鍋に、下処理をした内臓と明日葉を投入、一度沸騰させてから味噌を解くと……
ウツボのフルコースの出来上がりです!
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ウツボのタタキ、ウツボのから揚げ、ウツボの味噌汁。
あの見た目からすると、その味はなかなか想像しづらいところですが……
エリがまず意を決して口に運んだのはタタキでした。
その身はフグのような味わいながら、皮の下に脂がのっていてぷりぷりとした触感が印象的!
から揚げの方は硬い骨が少し気になるものの、やはりパリパリした皮が良いアクセントとなる触感が楽しめます。
区民やコリアンダーシードと言ったスパイスと一緒に揚げるとさらにおいしいらしいのですが、そこは非常時ですから仕方のないところでしょう。
味噌汁の方はすこし人を選ぶ味、とエリは難色を示しますが、のぞみは明日葉の香りと合わさっておいしい、とご満悦。
ゼラチン質が豊富で肌がぷりぷりになるし、スタミナもつくとのことですので、のぞみもエリもさらに箸を進めるのです。

食事の後は……お待ちかねの温泉です!!
久しぶりのお風呂、それも温泉ですから、エリのテンションは上がり放題!!
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温泉を見るなりガッツポーズし、のぞみを抱きしめて勝ったぞ!と謎の勝利宣言をするのでした!!
そんなエリのテンション高い声を聴きながら、つい立て一枚で隔てられた男湯に浸かる木野。
この温泉、無人にしては綺麗すぎる、誰かが整備してるんじゃないか?
そんなことを考えながらあたりを見回しておりますと、物陰から物音が聞こえてきました。
そちらの様子を見に行ってみますと、そこには……あのおばあさんが入浴中で!?
いろいろな意味で予想外、衝撃的極まりないその光景を見て驚愕する木野……!
そんな木野の事も知らず、温泉につかるエリとのぞみ。
ですがのぞみも、声を上げることのできない衝撃的なものを目の当たりにすることになってしまうのです。
のぼせてしまったから一回出る、と温泉から上がったエリ。
その背中の
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大きく広がった、感染を示す痣を……!!



と言うわけで、衝撃的な展開を迎える本作。
……とは言いましても、基本的にはコメディである本作、そんな深刻なお話にはならないのでとりあえずご安心ください!!
今までも感染力の強いこの病気が蔓延する中でなぜか木野達は感染しませんでしたし、普通ならばとっくに重篤化しているはずのエリが何故、自覚症状がない小康状態を保っていられたわけです。
普通の作品なら、エリが特別な体質で、病気の治療の希望の光になったりするのでしょうが……
サバイバル生活を描く本作なだけに、何となく何のおかげでこの状態を保つことができるのかは皆様察することもできたのではないでしょうか!?
あまりにショッキングな光景が待っていた今巻ですが、この後の展開にご期待ください!!

そんな本筋ともいえる物語の展開も気になるところなのですが、本作最大の特色であるサバイバル部分も見どころ満天です。
のぞみを加えたことで、エリと木野だけでは起きなかったであろう展開が起こるようになった……と言う部分に加え、より一層野草の知識が増したのは見逃せない所。
さらにサバイバル慣れした木野と全く慣れていないエリという二つの立場しかなかったところに、サバイバルになれていながらもエリ側の立場にも立てる彼女が加わり、展開に厚みが出るのも好材料と言えましょう!
のぞみの知識が活かされる場面は今のところあまりございませんが、その立ち位置を活かした、ある食材を取り巻くイベントは必見!
その食材の味や調理法、そしてそれを食べるとなったエリのアレコレはまさに本作ならではなのです!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!