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今回紹介いたしますのはこちら。

「U12」第8巻 闇川コウ先生 

講談社さんのアフタヌーンKCより刊行です。


さて、地下で思いもよらない味方を見つけることができたかなめ。
ひと時の平和を得ることは出来たものの、やはりこの地下で完全なる安寧を手に入れることは出来ませんでした。
一同は再び脱出のための逃避行を始め、ついに……!?



一同はとうとう、外に出ることができました。
どれくらいぶりでしょうか、久しぶりに外の空気に触れることができる、お日様を見ることができる。
歓喜とともに外に通じる扉を開ける一同。
そこには、確かに地下では感じることのできない開放的な空気と、太陽の日差しが待っています。
ところが、それ以外のものは彼女達が良く知る風景と全く違っているではありませんか!
そこには
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一面に、がれきの街がひろがっていたのですから……!
間違えてどこか知らない場所に出てしまったのか?
そんなこともちらりと脳裏をよぎりましたが、そのがれきの街の中でもいまだ聳え立つ、国会議事堂を見てしまってはその考えも通りません。
ここは間違いなく東京、霞ヶ関。
一同が目指していた目的地です。
この状況が呑み込めない一同ですが、そんな中で一人……かなめだけは、何が起こったのか分かっているようで……
へたりと膝をつき、こう呟きました。
テロよ。
冗談だと思ってた。
アレを本当にやるなんて……

アレ、とは何なのか。
かなめによれば、霞ヶ関全体をターゲットにした対規模テロだと言います。
彼女がいた頃には机上の空論でしかなかったと言うのですが……
そんな光景を見てもう一人のかなめ、鳳は不敵に笑うのです。
ついにやったのね、神の浄化を。
……こんなあまりにも乱暴すぎるテロを、神の浄化などとほくそ笑む行為を許すことができなかったのでしょう。
かなめはナイフで鳳に切りかかりました!!
ですが鳳は難なくそれを受け止めます。
お前みたいに脳内までキマったヤツらの戯言にはもううんざりだ、と憎々しげに吐き捨てるかなめですが、鳳は余裕の表情。
だったらあなたはどうなの、あなたも私たちと同じ民神教、「神の子」でしょ。
かなめもまたあの危険な新興宗教集団、民神教の一員だった……?
ですが、かなめはだからこそあそこがどれだけいかれた場所か知っている、宗教団体なんてのは建前で実際はテロ組織、鳳のようなイカレた妄想集団だ、とまくし立てました。
鳳の取り巻き達は、さっきから言わせておけば、鳳は教祖様の後継者、てめえも信者なら敬え、と猛烈に敵意をむき出して……!!
かなめはそんな取り巻きに言いました。
後継者?笑わせないで。
あなた達は教祖の何を知ってるの?その後継者も。
こいつは
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偽物、教祖の娘でも何でもないわ。
要がこうまできっぱりと言うのですから、何か根拠があっての事でしょう。
ですが取り巻き達は、そんなかなめの言葉など信じるはずもなく。
鳳の方も、じゃああなたは何を知ってるのかしら、と問い返すのですが……
その問答はそこで中断してしまいます。
どこからともなくかなめたちの頭に照射された、レーザーポインター。
誰かに狙われている……!!
かなめはみんなに伏せるよう叫ぶのですが、それすらも許されません。
動くな!!
全員手を出して地面に跪け!!
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そう言って現れたのは……武装した、「警察」の集団。
特殊部隊、SATの面々だったのです!!

刑務所の追手ではなく、警察が来た。
助けを求めれば保護してくれるかもしれない、と言う淡い期待も一同から持ち上がりますが、そうもいかないようです。
SATは明らかに、かなめたちがどんな人物かわかって、それでいて捕まえようとしています。
この戦力差では逃げることもできないでしょう。
対象者以外は全員引き渡す。
そう言って、SATはテーザーガンで一同を無力化し……どこかへと連れて行くのです。

一同が目を覚ますと、それぞれ簡易ベッドの様なものに寝かされ、身体を拘束された状態で並べられていました。
そして、そこにはかなめの姿だけがありません。
一体どういうことなのか?
戸惑う一同の前に、三人の男が現れます。
男たちは、「現日本の支配者」を自称。
そして、かなめだけは公安に引き渡した、と言いました。
それはかなめの驚くべき素性ゆえの処置だったのですが……
かなめの安否よりも今は、支配者たちが拘束した一同にしようとしていることの方を気にしなければならないようです。
彼らがこれからするのは……
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お医者さんごっこ!?



と言うわけで、再び新たな展開を迎える本作。
外の世界に出られれば終わりと言うものではないのは何となく皆さんわかっていらっしゃったと思いますが、まさかここまでとんでもないことになっているとは。
さらに、あの地下の刑務所が警察ともつながっていて、かなめたちが頼れる相手ではないこともわかりました。
かなめたちはどうすれば助かるのか……
そんな絶望の中で現れた、自称現日本の支配者たち。
彼らもまた本作ではもはやおなじみの変態でして。
かなめ以外の面々は彼らの毒牙にかかってしまう……のか!?
彼らの明かしてくれる様々な真実は気になるところですが、かなめなしで一同がこの危険をしのぐことができるのかも気になりますね!!

そしてこの後物語はさらに新展開を迎えます。
先の見えない暗闇のような展開が続き、その暗闇の中で出会うのは変態ばかりと言うとんでもない本作ですが……一体この後どんな展開となるのか!?
完全に予想不可能な本作、とにかく見守るしかなさそうです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!