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今回紹介いたしますのはこちら。

「カイテンワン」第4・5巻 柴田ヨクサル先生 

講談社さんのイブニングKCより刊行です。



さて、巫鎖呱コンビとシンが妖怪たちと戦っていく本作。
あまりにもアレな恋愛観を持つシンの積極的なアプローチに戸惑いながらも、何となく距離を近づけていく巫子でしたが、妖怪たちはそんな二人の関係の進展を待ってはくれません!!
次々襲い掛かってくる妖怪と、巫子に密かに思いを寄せていた鎖子の怨念(?)にさらされながら戦い続ける二人の運命やいかに!?



ショッピングモールでの戦いは激戦の末、星組の勝利で幕を閉じました。
その勝利の余韻に浸る巫鎖呱コンビと、その戦いの中で再会したカッパイとともに仲良くお風呂。
ですがそんなところに、またも妖怪の刺客がやってきてしまいます。
それも今まで以上に危険で、そして巫鎖呱コンビに強い恨みを持つ妖怪……ハネツグが!!

お風呂の最中だったため、全裸の四人。
そんな彼女達が服を着る間の時間稼ぎを買って出たのが、三人の家の警備を破った何者かがいると言う知らせを受けて駆け付けた、シンでした!!
そのシンはと言いますと、巫子の裸を見て鼻血を噴射してぶっ倒れそうになってしまいますが……気力の方はそのおかげで大充実!!
かつてないほどの「気」が練れそうな状態です!
対するハネツグはと言うと……こちらも今まで以上にやる気が出てしまったようです。
武装を固めたシンを見ると、かつての自分を殺めた木場の姿を重ねたようで。
俺を殺した奴か?
おかげでいらん妖怪が同居してる。
そう言って、自らの心臓……を補っている、胸の妖怪を見せてきました。
シンは自分の怨敵の弟である、と言う事を聞いても、ハネツグは淡々と語り続けます。
殺された俺はどう思ったと思う?
生き返ってわかったのは、この世に意味などないと言う事だ。
なぁ、人間を救うなら何人救いたい?
どうせ救うなら多い方がいいだろ、神のごとく決めさせてやる。
言ってみろ、何人救いたい?
とりあえず1000人にしとくか。
お前らを殺したら、そのまま1000人殺しにいく。
俺を殺せば1000人救える。
……もはやハネツグの中には、破壊衝動しか残っていないのでしょうか。
実際、人間相手の戦いを慎重に進めようとしている妖怪たちに許可も得ず1000人も殺してしまえば、ハネツグ自身も和を乱す裏切者として扱われてしまうでしょう。
ですがハネツグはそれすらお構いなし。
シンたちを皮切りに、
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人間も妖怪もみな殺しまくる、そんな存在になりたい、と言いだして……!!

ただでさえ危険だったハネツグが、さらに危険になって帰ってきた。
こうなれば是が非でもこの場でハネツグを倒すほかありません。
前回の戦いは、木場や天狗たちの強力な戦力がいた状態でしたが……
今回は妖怪はカッパイだけ。
三人とシンは、ハネツグの攻撃をまともにもらえば一発でお陀仏でしょう。
とはいえ、不利な点ばかりではありません。
シンは先日の戦いでの功績が認められ、ついに人間兵器の装備が完全にそろっていました!!
いくらハネツグと言えど、完全装備の人間兵器の最大の技を食らえば……無事では済まないはず!!
シンは構えを取って、戦闘態勢に入った……と思った直後、ハネツグのパンチがシンにさく裂していました!!
なめてるのか、と吐き捨てたハネツグは、すぐさま巫子にパンチを放ちます!!
が、そこはカッパイががっちりガード!!
すかさず頭突きを見舞ってハネツグの動きを止め腕をキャッチ!!
そして、その腕を思いっきり自分の方に叩きつけるように振り下ろすアームブリーカー一閃!!
見事ハネツグの腕を追って見せたのです!!
が、すぐにハネツグはカッパイを蹴飛ばして距離を取ります。
そこに巫子が飛び蹴りで攻撃するものの、あっさりキャッチされて投げ飛ばされてしまい、あらためてラリアットで攻撃を仕掛けたカッパイも、折れたはずの腕を巨大に変形させたハネツグのラリアットで返り討ちにされてしまいました。
その攻撃の隙をついて延髄切りを見舞う巫子ですが、これも効果なし。
今度は鎖子呱子コンビによる、洞窟土竜召喚で勝負を仕掛けるのですが……
ハネツグは、全身を異形化させる必殺形態、T-MAXを発動!!
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あっさりと洞窟土竜を粉砕してしまうのです!!
その圧倒的すぎる破壊力にあっけにとられる一同。
鎖子呱子はすかさず布袋蟹を召喚したものの、洞窟土竜以上にあっさりと潰されてしまい……!!
あまりにも強すぎるハネツグ。
こうなればもう、頼りになるのは巫子の夢に潜っての攻撃以外なさそうです。
カッパイの決死の攻撃で、ダメージこそ与えられなかったもののほんのわずかな隙を作り、夢に潜ることに成功。
夢の中は
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今まで潜ってきたどの相手とも違う雰囲気で、血の海の中に、その血でできた出来の悪い人形のような姿のハネツグがたたずんでいるだけの世界でした。
夢の中の相手は、妖怪としての力や、霊能力や不思議能力の類は一切使えません。
あるのは、人間並みの力だけ。
ここで勝負を左右するのは、心の強さなわけですが……
そこもまた、ハネツグは並ではなかったのです!!
どれだけ巫子の攻撃を食らっても、倒れることはなく。
がっしりと巫子の足をつかんだかと思うと、抵抗する巫子の攻撃もお構いなしにそのまま巫子の体を血の海の中に沈め、窒息させようとしてくるのです!!
夢の中での敗北は、=死。
それは術者である巫子にも公平なルールで……!!
今まさに、その死がやってこようとしている巫子。
夢の中での戦いは、当人しか知ることは出来ません。
仲間たちはいつも通り、巫子が勝利することを祈る……いや、確信にも似た思いで待っているだけ。
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の、はずでした!!
絶妙なタイミングで、シンはハネツグを蹴飛ばして巫子との接触を断ち、夢潜りを強制的に解除!!
見事救って見せたのでした!!
愛しているから彼女のピンチがわかった、と言ってのけるシン。
そのラブパワーはさすがと言わざるを得ませんが……
状況は全く変わっていません。
それどころか、夢潜りですら倒せないと言う事実がわかり、さらに悪化したと言わざるを得ないでしょう。
果たしてこの最悪の敵、どうやって倒せばいいのでしょうか……



と言うわけで、今巻も激しい戦いが繰り広げられる本作。
どんどんと加速していく激戦が楽しめるわけですが、残念ながら本作は今回同時発売の第4・5巻で完結となってしまいました。
そんな事情もありまして、このハネツグ戦が本作の事実上のラストバトル。
過去の因縁もある相手と言うわけで、そう言った因縁面でも、実力面でも、それにふさわしい相手になっていると言えましょう!!
強大にもほどがあるハネツグをどうやって倒すのか!?
ヨクサル先生らしさが爆発する、予想外でダイナミックでドラマティックな展開はまさに必見です!!

そしてハネツグ云々はもちろん興味深いものの、気になるのが巫子とシンの恋愛模様ではないでしょうか!
勿論そのあたりも、決着がつけられますのでご安心を。
シンと巫子、不器用すぎる二人の恋愛はどうなるのか!?
鎖子の気持ちはどうなってしまうのか!?
そちらもいろいろな意味で見ごたえ満天の内容になっております!!

ついでに蘭丸の悲願がらみも一応解決。
織田信長の復活、と言う要素が、連載が続いていたらどう作用していたのか気になるところですが……
それでも、ちゃんと物語の結末にかかわる形で収束しております!
おそらく打ち切りとなったであろう本作ですが、ヨクサル先生の剛腕で一つのキッチリしたフィナーレをまとめているのはさすがと言わざるを得ません!!
「巫鎖呱」シリーズのエンディングとなるであろうそのラスト、その目でご確認くださいませ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!