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今回紹介いたしますのはこちら。

「SHIORI EXPERIENCE ジミなわたしとヘンなおじさん」第12巻 長田悠幸先生・町田一八先生 

スクウェア・エニックスさんのビッグガンガンコミックスより刊行です。


さて、伝説を作るための一歩として、大規模イベントBTLに出場することとなった紫織たち。
その第1次予選で、さらに人気バンドであるタピオカズの帯同バンドの座をかけての勝負もすることとなってしまいます。
その相手は、紫織たちと因縁のある、パワーあふれるバンドBLACK BUS。
果たして紫織たちは勝利を収めることができるのでしょうか……?



BTL第1次予選。
紫織たちシオリエクスペリエンスと、BLACK BUSにとって、大事な大事なイベントではありますが、この大会に挑むのは当然その2バンドだけではありません。
その参加者が揃ってから出演順のくじ引きをすることになっておりまして……
下馬評的には本命と言っていいであろう、BLACK BUSが会場入りした時には、既にいくつかのバンドがすでに入場して待っておりました。
その中に、シオリエクスペリエンスも含まれています。
BLACK BUSの姿を見て、紫織はまず声をかけていきました。
お久しぶりです、以前三菱学園の日の先生のライブでご一緒させていただきました、軽音部顧問の本田紫織です。
今は「シオリエクスペリエンス」と言う名前で活動しています、その節はお世話になりました、今日はよろしくお願いします。
BLACK BUSのリーダー、黒井は……最初ピンと来なかったようですが、すぐに思い当たり、お久しぶりです、よろしくお願いしますと頭をペコリ。
他のメンバーも何となく覚えていたようですが、だからと言って数あるたまたま一緒にステージに立ったことのある凡百のバンドの一つでしかなく、彼らに特に何か思うことはなさそうです。
そんな簡単な挨拶を終えた頃、また一つのバンドがやって来ました。
ヤンキー然とした髪形に、包帯や血が流れるようなゾンビ的なメイクやタトゥーを施した、インパクト満天のバンド、「ガーターキー」。
彼らの鋭い目つきは、そのうちにある高い実力を予感させます。
彼らに続いて入ってきたのは、浅黒い肌に上半身裸、おまけに裸足と違う方面にインパクト満天なリーダーが率いる、「赤潮界隈」。
こちらは元気よく、大きな声で気安く挨拶してきました。
そんな赤潮界隈に、おっきいこえですね、まいくいらないんじゃないですか、と何やら棘のある言葉を投げかけて行く小柄な女性ボーカルが率いるバンドが「ドリルヒルズ」。
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今回の予選は、この5バンドで争われることになるのです!!
BLACK BUSは、そのバンド立ちを素早く値踏み。
今回の予選を1位で抜けたら、「タピオカズ」とツアーを回る。
以前のライブで実力がわかっているシオリエクスペリエンスはないとして、俺ら以外で迷ってる候補が、この3バンドの中にいるってことか。
BLACK BUSは早くも臨戦態勢に入るようです!!

5バンドがくじで引いた順番で演奏し、投票によって最大得票を獲得したものが第2次審査に進む。
そんな戦いの運命をかなり左右するのがこのくじ引きです。
トップで演奏すると、会場がまだ温まっていない分やりづらさが否めません。
最後の演奏は、既にお客さんがつかれていることもあり、それもまた乗り切れない恐れがあります。
理想は、場も温まり、お客さんもそれほどつかれていない3番目と言ったところでしょうか。
全員の思惑が交錯する中、全バンドにくじが渡り……一斉に開かれました!
トップは……赤潮界隈。
そしてドリルヒルズ、BLACK BUS、ガーターキー……トリがシオリエクスペリエンス、と言う結果になったようです。

1~4番のバンドはいったん楽屋へ。
まずはシオリエクスペリエンスがリハーサルを行います。
そんな彼女達を見て、高校生バンドがトリなんてプレッシャーがかかってかわいそうだ、でもトップよりはマシかもしれない、いや高校生ならトップで滑っても若気の至りで済むだろう……などと赤潮界隈のメンバーが口々に会話をしていました。
ですがそのリーダーは、一人BLACK BUSの方に向かって行き、話しかけていたのです。
君らのライブ一度見たことあるよ、すげぇかっこよかった。
でもブラバスはここ1年でどっと人気上がってんだろ、なのに何でコンテストに出る必要があるんだ?
そう問われた黒井は、前回1次で落ちた雪辱を晴らすため、と答えるのですが……
実はその前回、ライブ中にメンバーと喧嘩をして失格になった、と言うとんでもない落ち方をしていたBLACK BUS。
赤潮界隈のリーダーは、さすがブラバスだと笑うのですが、続けて今日は仲良くやってくれよ、不戦勝で一次審査突破じゃ赤潮界隈の名が廃る、
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俺らは実力で「ブラバス」ブッ倒してぇんでな。
そう凄む赤潮界隈とBLACK BUSの間に、ドリルヒルズのリーダーも割り込んできました。
ちょっとまってぇ、それってうちらがんゆーにないってことぉ?
おもしろぉい、きゃらがめいそうしちゃってるいろものぞんびーずならともかく……
とまた棘のある言葉を投げかけていますと、そのいろものぞんびーずことガーターキーのリーダーがその場にあった灰皿を蹴り飛ばしました!!
ガーターキーっす、あんまなめんとってください。
そう言ってにらみつけてきまして……楽屋内はまさしく一触即発!!
そんな空気を振り払うかのように、黒井は椅子の上に立ち上がり……
悪いですけど
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勝つのは俺たちです、と宣言するのでした!!!
が。
その瞬間の事でした。
リハーサルの様子を映しているモニターから
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とんでもない音が流れだしてきたのは!!!
一触即発だった楽屋の面々は、みな一様にモニターを振り返ります。
高校生バンドとは思えない、とんでもなさすぎる完成度に、あっけに取られてしまう一同。
ジミですら、おいおいまだリハだぜ、とリハーサルらしからぬパワーを認めるほどのその一曲を聞いて……黒井は確信するのです。
シオリエクスペリエンス……
こいつらだ……!




と言うわけで、BTL一次予選が開幕する今巻。
今までにない大規模なイベントと言う事もあり、今までの本作は1巻ごとで切りのいいところまで収録する形で単行本になっておりましたが、流石にこのシリーズは2冊に別れるようです。
今巻ではこのライブ開始前のちょっとした前哨戦と、ライブの前半までを収録しています。
赤潮界隈、ドリルヒルズ。
どちらもその自信にそん色ない実力の持ち主だけに、決して侮ることは出来ない彼らの演奏が披露され……そして、BLACK BUSの出番がやって来ます。
本作の主役であるシオリエクスペリエンスのメンバーには、あのプリンスでさえ(失礼!)それぞれドラマが用意されていました。
そんなそれぞれの試練を乗り越えて作り上げられつつあるこのシオリエクスペリエンスの実力は、もはや疑うもののないレベルにまで上がり、さらに上に向かっています。
そして……そんなドラマは、BLACK BUSにも用意されていて……!!
BLACK BUSの印象深い背景も描写され、あちらも負けられない戦いになっていることがわかる今巻。
紫織たちにも紫織たちならではの魅力があることも改めて描写されることもあり、今まで以上の感情移入は必至!
ドラマを背負う者同士の戦い、まさに必見ですよ!!




今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!