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今回紹介いたしますのはこちら。

「ギャンブラーズパレード」第1巻 原作・小高和剛先生 漫画・中山敦支先生 

講談社さんのKCDXより刊行です。


さて、「トラウマイスタ」「ねじまきカギュー」の中山先生と、人気ゲーム「ダンガンロンパ」シリーズのシナリオで知られる小高先生がタッグを組んだ本作。
小高先生は人気の高い「ダンガンロンパ」シリーズをはじめとしたゲームのシナリオの印象が強い方ですが、以前からオリジナル作品やゲームの外伝となる漫画作品の原作も務めておられます。
そんな個性派のお二人がタッグを組んだ本作、気になるその内容はと言いますと……?



日本にあるとある島。
その島の高校に、一人の女子が転校してきたのですが……転校初日から遅刻寸前になっているようです。
必死に走っている彼女の名前は、東雲花梨。
なんでも彼女は「不幸体質」なのだそうで、何かと不幸な目に遭ってしまうのだとか。
今日も登校中にカラスにおしっこをかけられて制服が台無しになってしまいましたし、その着替えに入ったトイレの鍵が壊れてい時間閉じ込められる、と言うさんざんな目に遭ってしまったせいでこうなってしまったとのこと。
今までの人生においても、行列に並べば目の前で終了、遊園地に行けば雨、旅行先では風邪、スマホを買うたびに初期不良、と何をやっても踏んだり蹴ったりな目に遭ってしまうのです。
ついたあだ名は疫病神。
この転校を気に、そんな自分を変えようとしていたのですが……

職員室でいきなり先生にお叱りを受けてしまう花梨。
ですがそれほど大きなおとがめはなく、とにかく次からは遅刻しないようにな、と言われるだけで解放されることになりました。
が、その解放された直後、先生が花梨を引き留めてこんなことを言うのです。
土地柄か、この学校ではギャンブルがはやっているが、校内でのギャンブルは校則違反で……
と、その言葉が終わる前に花梨は振り返ってこう答えました。
大丈夫です、あたしギャンブルなんてやらないんで。
その表情には、自身が不幸体質だからギャンブルなんてやるわけがない、と言うような、そう言った感情はうかがえません。
何か、含みがあるようなそんな表情……
それを見て、先生の方も何も言わず彼女を見送るしか出来ないのでした。

大遅刻のせいで、もうお昼休みです。
購買を求めてさまよっていますと、一人の女子にぶつかってしまいました。
そのぶつかった女子の制服は、彼女が持っていたジュースをかぶってびしょびしょに……!
大慌てで彼女に謝り、転校してきたばっかりでこの学校のことよくわかってなくて、よそ見していて……とものすごく説明しまくります!!
花梨はまたやっちゃった、と頭の中が真っ白に。
頭を抱えてうなだれる花梨に、その女子は……
大丈夫、気にしないで、転校してきたばっかりで大変でしょ、私でよかったら案内しようか?お昼も一緒に食べない?と優しい優しい声をかけてくれたのです!!
目から鼻から口から、いろいろな液を出すほど感激&安心した花梨。
彼女に手を引かれながら、たまにはいいことだってあるじゃん、転校初日からこんな優しい子と友達になれて……と、胸をときめかせるのです。
そしてほどなく辿り着いたのは
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何とも言い難い、アウトローかつデンジャラスな香りの漂う薄汚れた小部屋。
そこには、いかにもと言った感じのドレッド部屋の男がふんぞり返っていまして、先ほどの女の子はその男の前に花梨を座らせました。
連れてきたよ、転校初日だってさ!
そう言う女の子に、ドレッドの男はサイコーのカモじゃねえか、と笑い……
俺らと一緒にギャンブルして遊ぼうぜ、と花梨に迫るのです!!
まさかこれは、嵌められた!?
うろたえる花梨、いつの間にか周りはガラの悪い連中で取り囲まれていました。
優しかったはずのあの子も、なんだか恐ろしい顔で、私の制服をこんなにしたお詫びに少しくらい付き合えよ、と悪魔のような表情でにらみつけてきていて……
逃げられない、最悪だ!
もう、このギャンブルを受けるしか、痛い目に遭わずに済む方法はなさそうです……

ギャンブルで戦うゲームは、お互い持っている10枚のコインを奪い合うゲーム。
そしてそのコイン、1枚当たり1万円で換金するとのことで……
ドレッドの男は、「最初は利子なしで貸してやる」ととんでもないことを言いだします。
取り立てはどんな手を使ってもきっちりするぜ、といやらしく笑って。

肝心の勝負の方式は、×1から×4まで、4つの数字がかかれた4つのカップの、どれか一つにコインを隠し、どれにコインが入っているか当てる、と言うもの。
親がカップに隠し、子が当てるわけですが、そのカップに書いてある表記がそのまま親が賭ける際の倍率になるとのこと。
親は自分でこの勝負を大勝負にするかどうか決めることができると言う事で、そこにただ当てるだけではない、大勝ちしたいか、あるいは負けを最小限にしたいか、と言う思惑も混じった心理戦が入ってくるのです。
最初の親はドレッドの男。
花梨は……そもそも不運体質の自分がギャンブルに勝てるわけがないとうろたえるばかり。
相手の表情や目線なんかで心理を読む……と行きたいところですが、物凄いめふぃから出睨んでくるドレッドの男の表情から何かを感じ取ることなんて、花梨にはできません!
とりあえず、×4だったら最悪だから、と×4を選ぶ花梨。
男の表情が一瞬うろたえたかのように見えましたが……カップの中には何もありません。
それすらも、花梨を追い詰めるための演技だったのでしょう。
お前、負けた時に最悪なのはこれだと思ったろ、後ろ向きの奴が考えることだ、まず最悪だけは阻止しようと考える。
そう言うやつにとって本当に一番最悪な手は、ここなんだよなぁ。
……コインは×3のカップの中にありました。
早くも三枚コインを奪われてしまう花梨。
頑張って取り返したいところですが、周りにはずらりとドレッドの男の仲間が取り囲んでいるわけで。
花梨が周りを気にしていますと、のぞき見が心配か、なら俺がこの時はこの黒い布で目を覆う、カップを当てる時もずっとだ、とドレッドの男は目隠しをします。
さらに、カップの位置も変えていい、俺は右から何番目、などと言う風に口で指定して当てる、とあくまで仲間とのサインでやり取りはしないと言う旨の事を言うのです。
……悩んだ末、花梨は×4のカップにコインを入れました。
そして、カップの場所も向かって左から4,1,3,2とバラバラに変更。
これで当てる確率は完全に4分の一になる、と思われたのですが……
ドレッドの男は、あっけなく一番左、と決断し、すんなりと当ててしまうではありませんか!!
花梨は絶望せずにはいられません。
アタシがついてないんだ、不運体質のあたしが運勝負なんかで勝てっこない!
やっぱりギャンブルなんてやるんじゃなかった!!
と、その時です。
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強烈な爆風と轟音が巻き起こったのは!!
大穴の開いた壁。
そこから……先ほどのギャンブルをしないようにと忠告してきた教師が姿を現したのです!!
蜘蛛手渚。
そう名乗った彼は、花梨の所属する1年B組の担任で、担当は世界史だ、と自己紹介。
そして机を見て、ゲームと現在の状況を把握し……

私が代わろう、とドレッドの男の正面に自ら座ったのです!!
ギャンブル代行だ、私が代わりにやってやろう、負けた分は私が全部かぶる。
そう言って勝手に話を進める先生に、怒り狂うドレッドの男ですが……
蜘蛛手は、その目の前に何やら小さな箱のようなものを突き付けます。
化学教師に作ってもらった爆薬だ、さっきの10倍の威力がある、落とすだけで爆発する。
そう言って脅した後、今度は三つの札束を机の上に置いたではありませんか!!
コイン1枚10万の賭け金でどうだ?
もし私が負けたらこの場で払おう、もちろん三枚残りからのスタートだ。
ただ私が勝っても金はいらない、その代わり、二度とギャンブルには手を出すな。
ギャンブルなんて気にしない、虫唾が走る、こんなものに手を出すのは救いようのない馬鹿だ。
世の中にはギャンブルをかっこいいと思ってしまう落ちこぼれもいるようだが、ギャンブルを題材にしたドラマや漫画を見て見ろ、劣悪以外の何物でもない。
世界を救うヒーローや夢や希望を与える存在なんて出て来やしない、自分のためにしか戦っていない子物ばかり。
小学生同士が「白線から落ちない方が勝ち」と遊んでいるようなもんだ。
私は教師としてそんな世界を正さなければならない。
そのために私は、一人でも多くのギャンブラーをこの世から排除する。
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……ドレッドの男は、やってやろうじゃねーか、と勝負を受けて立つのですが……なぜ蜘蛛手はこんな勝負を提案しだしたのでしょうか。
蜘蛛手は、メガネを外し、背広を脱ぎながら花梨にこう言いました。
わた気が君の負けを帳消しにしたら一つだけ頼み事を聞いてもらうぞ。
大したことじゃない、断ったって言い、それは勝ったあとで話すさ。
そう言い終わるや否や、蜘蛛手は髪の毛が逆立ち、目の色や肌の色がどす黒く変わり、顔には奇妙な形の傷が走り……
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全く別の存在になったかのように、豹変するのです!!
気にするな、これはただの拒否反応だ。
ギャンブルなどと言う下劣な行為に手を染めることを、私の全身が全力で拒否している。
なぜそこまでして、蜘蛛手はギャンブルを行うのでしょうか?
蜘蛛手はこう言うのです。
ギャンブルなんかにハマるクズをこの世から拒絶するため。
そんなクズどもはぎゃんぶれであれば大帝の勝負に乗って来る、だから私は
ギャンブルでギャンブラーを殺す。



と言うわけで、転校早々とんでもない状況に陥ってしまう本作。
この後語られることとなるのですが、この島は丸ごと国営のカジノになっているトバク島。
公営でギャンブルが行われているという土地柄もあり、裏ではアンダーグラウンドな賭け事も蔓延しておりまして……
そこで、蜘蛛手がギャンブラーを潰すために戦う物語となっています!!
そんな蜘蛛手と出会ってしまった花梨。
ギャンブラーとしては向いていないとしか思えない不運体質の彼女は、この島で生き延びることができるのでしょうか?
そして蜘蛛手はなぜわざわざ不運な花梨に頼みごとをしようとしているのか?
ヒロインである花梨には問題が山積み!
まだ見えてこない彼女の背景もこの後語られていくでしょうし、彼女の動向が気になるところです!!

さらに気になるのはやはり蜘蛛手でしょう。
なぜ彼はここまでギャンブルを憎むのかと言う謎は、おそらく本作の軸となる要素のはず!
それが明かされていくであろう物語も気になるのですが、ほんの少し臭わせるだけでまだ語られないこの第1巻でも、彼の底しれない一面が垣間見られます。
この最初の戦いから、とんでもない仕掛けが用意されておりまして……
いきなりの予想外の展開を見せてくれた本作、これからも読者を驚かせてくれることは間違いなさそうです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!