tk0
今回紹介いたしますのはこちら。

「東島丹三郎は仮面ライダーになりたい」第1巻 柴田ヨクサル先生 

小学館クリエイティブさんのHCヒーローズコミックスより刊行です。


さて、数々の名作、怪作を生み出してきた柴田先生。
今までも柴田先生作品には多くの特撮ヒーロー的な存在が出てきましたが、今回はいよいよその特撮ヒーロー、それも公式に許諾を得て「仮面ライダー」をテーマに描く作品を手掛けることになられました。
ですがよくあるスピンオフや外伝と言った「仮面ライダー」漫画ではありません。
ヨクサル先生とともに、仮面ライダーに対する愛の深すぎる男を主役として、ヨクサル先生でなければ描けない仮面ライダー漫画となっているのです!!



東島丹三郎、現在山籠もり中。
ひたすら大木に拳を打ち付け、自らの体をいじめ続けるその理由は……
仮面ライダーになりたかったから!!
こうして生きてきたかれ、気が付けば
tk1
当年取って40歳!!
今まで仮面ライダーを追いかけ続けてきた彼ですが、ここにきて向き合わなければならない現実に直面することになるのです。

彼が訪れたのは、マニア向けのおもちゃの中古売買を行うお店。
彼が持ち込んだのは、合計16箱の仮面ライダーグッズでした。
買い取り総額24万。
購入した総額は、その100倍はくだらないでしょう。
子供のころから仮面ライダーが好きすぎた彼。
仮面ライダーが泥まみれで戦っていたら、自分もたった一人泥まみれで戦った。
本気で仮面ライダーを目指していたのです。
20歳を超え、大人になってなお、その為に体を鍛え続けてきましたが……そんなことをしても仮面ライダーになれるわけはありません。
ですがまるで使命か何かのように、彼は20歳から30歳までの10年間、バイトで稼いでは各地の山々を転々として山籠もりをし続けました。
そして山中をさまよって、何度も叫んだと言います。
ショッカーよ、俺を連れ去り、改造してみろ!!
どんな大きな声でがなり立てても、ショッカーはもちろん現れず。
やってくるのは、熊くらいでした。
普通ならば熊がこうやってやってくればさんざんな目に遭うところでしょうが……
東島は、あまりに鍛え過ぎた結果、いつの間にか熊と互角以上に戦えるようになっていました!!
……熊は撃退できます。
だからと言って、仮面ライダーにはなれない事……ショッカーも仮面ライダーも、テレビの番組にすぎず、実在しないことは本人にだってわかり切っています。
それでも彼は、この生活をやめられずにいるのです。

……仕事は今もアルバイト。
好物のたこ焼きを食べるのが数少ない楽しみの一つです。
ちなみに仮面ライダーグッズを手放したのは、40になったからにはそろそそ卒業したい……と言う理由ではありません。
もし自分が事故や病気で不慮の死を迎えたらと考えた時、蠱毒視した男の仮面ライダーで埋もれた部屋だけが残って、一つ一つ思い入れのある愛する仮面ライダーたちが無造作にゴミ袋に入れられていく、そんな想像上の光景が耐えられなかったからなのです。

そんな決意の処分を行った数日後、とんでもないニュースが世間を、そして東島を騒がせました。
スマホに躍る、「ショッカー現る!」と言うニュースが!!
深夜のコンビニに、覆面をした三人組の男が現れ、奇声とともに店員を殴り倒してレジの金を奪った。
……ショッカーでも何でもない、ただの暴行強盗だ。
その時は東島もそう思ったのですが、その後このショッカー強盗をまねた事件が、全国で数件巻き起こったのです!!
その中の一件では、逆に店員が犯人をぼこぼこにして犯人が捕まったりもしたのですが……
捕まった犯人の言い分を書いた記事を見て、あの東島でさえあきれてしまいます。
ショッカー強盗を見て最初は小馬鹿にしてたんだけど、自分も金に困っていて、家にあった目出し帽をかぶってみて、試しに叫んでみた。
そしたら力がみなぎってきて、自分もやれる気がした!!

ところで仮面ライダーばかりの人生を送ってきた東島でしたが、趣味がないわけではありません。
全国のお祭りや縁日を調べて出かける。
そんな趣味を持っていたのです。
子供のころ、地元のお祭りに、毎回2000円のお小遣いをもらって出かけて行った彼。
当時の東島にとって、2000円自由に使えると言うのはお祭りの時だけの破格の豪遊で、お祭りの何もかもが輝いてみえ、朝から晩まで、端から端まで何度も往復したと言います。
ですがそんなある時のお祭りの日、父親がいつもの倍、4000円くれたときがありました。
本当に踊りながらお祭りに行った東島でしたが……
それ以来、父親は行方をくらませてしまったのです。
……いろいろとあったお祭りでしたが、それでも東島にとってはお祭りはいい思い出。
好物のたこ焼きも、お祭りで食べるのが一番うまい。
東島はそう心の中でつぶやきながら、お祭りの様子を見ながらたこ焼きを頬張るのでした。

と、そんな時でした。
東島の目の前に、
tk2
件のショッカー強盗が現れたのは!!
お祭りを荒らし始めるショッカー強盗を見て、東島がまずとった行動は……お面屋さんで仮面ライダーのお面を買う事。
そして……変身、と唱え……
tk3
お面をつけただけの仮面ライダーとなって、ショッカーの前に立ちはだかったのです!!!
唖然とする周囲の皆さん。
同じく唖然とするショッカー強盗は、なんだお前、と東島に問いかけますと……
東島から帰って来る答えは、当然校です。
仮面ライダー。
……仮面ライダー、と名乗ることにどれだけ憧れたでしょうか。
昔、子供のころは仮面ライダーごっこをしている子供がたくさんいましたが、そこには決して混ざらなかった東島。
何故ならば、当時もの仮面ライダーは、「ごっこ」ではないのです。
本気なのですから!!
大粒の涙をボロボロとこぼしながら、行くぞショッカー!!と叫び……パンチ、そしてライダーキックでショッカー強盗を蹴散らす東島!!!
そしてそのまま、その場から逃げ出すのでした!!

望んだ形ではないものの、夢をかなえた東島。
翌日、スマホで「羅仮面ライダー現る!」と写真付きのニュースを見ると、その感動はひとしおです!!
思いもよらない仮面ライダーへの道が始まりそうな東島ですが……そのニュースを見て、異を唱える一人の女性がいたのです。
えー、コレ、私が最初にやろうとしたのに。
ショッカー強盗を最初に倒すのは、私だったのに。
tk4
お面だけの仮面ライダーなんて、冗談じゃない!!
そう叫ぶ彼女の格好は……まさかの、電波人間……!?



と言うわけで、師仮面ライダーとなった(?)東島。
この後もなぜか東島はショッカー強盗と出くわし、お面だけの仮面ライダーとして撃退していくことになります。
そこにこのタックル的な女性が絡んできまして、物語は熱狂的なライダーファンとタックルファンの二人とショッカー強盗の織りなすアクションコメディになる……
と、誰もが最初は思ったはずです!!!
ところがどっこい、今巻の中盤からまさかすぎる展開が待ち受けておりました!!
アクションコメディと言うくくりは変わらないようですが、この後マジかよと呟いてしまうような衝撃的な出来事が巻き起こり、東島を取り巻く状況も一気に変わっていくのです!!
このお話をどうやって転がし、どうやって終結させるのか?
全く予想できない展開が待っていく本作、本格的に目の離せないお話になっております!!
おなじみのヨクサル節も、ド迫力のアクションも、脱力のギャグも、ムッチムチの女性キャラも、そしてライダーへの愛も溢れる本作、仮面ライダーファンはもちろん、ライダーに興味のない方でも何故だか引き込まれる魅力にあふれる一冊なのです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!