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今回紹介いたしますのはこちら。

「サエイズム」第5巻 内水融先生 

秋田書店さんのチャンピオンREDコミックスより刊行です。


さて、美沙緒たちの目の前で冴がその命を失うと言う劇的な結末を迎えたはずだった本作。
ですがそんな本作にまさかの続巻が刊行されることになりました。
外伝やスピンオフではない、純然たる続編である本作、冴が死んだ今どうやって物語を続けていくのか?
気になるその内容は……!!



あの忌まわしい事件が終わってから1年の月日が流れました。
美沙緒はと言うと……内気でおどおどとしていたあの頃の美沙緒とは全くイメージの異なる、皆にしたわれるしっかり者の優しいクラスの中心人物になっていました。
今まで目立たなかった整った顔立ちも知られるようになっておりまして、男子たちの間では可愛い、清純そう、地味目だけどそこがいい、などと噂されるまでになっておりまして、その人気はもはや不動のものに。
彼女のそんな評価は……まるで在りし日の冴を彷彿させるようです。
ではその冴の死はこの学校にどんな影を落としているのでしょうか?
……実は、冴は1年前から休学していることになっているのです。
冴の家は長年続いている名家。
そんな家の一人娘があんな死を遂げたとあっては……その名声に傷がつくとでも思ったのでしょうか、そう言うことにして煙に巻いている、と言う事なのかもしれません。
学校では冴を心配する声はちらほらあっても、やはり姿を消した人物がずっと話題に上ることはなく。
冴がいないのが当たり前の日常になっていくのです。

そんな毎日の中で、美沙緒はハンバーガーショップでアルバイトを始めていました。
そこでも美沙緒は中心的人物になっていまして、社員からの信頼も厚く、新人のアルバイトの少女の失敗にもフォローを入れてあげるなど、活躍しています。
その日も失敗して社員に怒られてしあった同い年の新人、あすかと一緒に帰り、彼女を励ましていたのですが……
おどおどした印象を受けるあすかにかつての自分の姿を重ねた美沙緒は、彼女の事が気になっているようで。
ついつい彼女に肩入れしてしまい、「一年前の事」を話しそうになるのですが……
そこにまさかの人物が現れたのです。
その人物は、冴との戦いに大きく貢献してくれた女性、蘭。
遠くの大学に進学していたものの、夏休みで戻ってきたのだとか。
初対面の人物にも物凄く遠慮なく近寄ってくる彼女に怯んだのでしょうか、あすかはすごすごと退散してしまいました。
ふたりきりになったことで込み入った話はしやすくなったと言えましょう。
蘭は最近の美沙緒の調子を聞いてきます。
美沙緒はもう大丈夫だと言うのですが……やはりその表情には影があるようにも見えて……
蘭はそこで本題に入ってきました。
かつての冴戦で同じく頑張った古海とシバコー。
そんな二人のやっているバンドのチケットを手に入れたから、冴と戦った「うらリンズ」の同窓会も兼ねて見に行こう、というお誘いに!!

押しの強い蘭のお誘いを断ることは出来ず、また断る理由もなく。
幸いバイトはライブには間に合う時間に終わりました。
蘭との待ち合わせ時間まではあと1時間ほど。
どうやって時間を潰そう、とバイト先の休憩室で事前に渡されたチケットを眺めていた美沙緒ですが、そこにあすかがやって来ました。
そのバンド、今インディーズですごい人気なんだよ、そんなチケットを持ってるなんてすごい、と声をかけてくる彼女。
一年前にたまたま知り合ったんだ、と答える操に、あすかはこう聞いてきました。
それって美沙緒ちゃんがたまに言っている、自分が変われたきっかけになった1年前の事、にかんけいあるのか、と。
……やはりあすかの事を他人とは思えなかったのでしょう。
美沙緒は、自分のことを好きだった女の子が目の前で死んだ、と教えてしまったのです。
沢山ひどいことはされて、怖くて逆らうこともできなかった。
でも周りの人に助けられて、初めて彼女に対して自分の意志を押し通したその日に、彼女は死んでしまった。
いっぱい泣いたけど、今はその人のおかげで自分が強くなれたような気がしてるんだ。
……そんな美沙緒の話を聞いて、あすかは……こう言うのです。
その人の名前って
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真木冴っていうんでしょう?
そしてあすかは、いつの間にか持っていたスタンガンを美沙緒に突きたて、美沙緒の意識を奪ったのでした!!

目が覚めると、美沙緒はあすかの部屋らしい場所で縛り付けられていました。
彼女は今までの印象とはまるで違う、怒りに顔をゆがめた表情でこんなことを言うのです。
てめぇのせいで冴様が死んじゃったんだ。
冴様は黒焦げになって亡くなったんだってね、だから美沙緒ちゃんもガソリンで丸焼きにしてあげるから。
待っててくださいね冴様。今から国木美沙緒を
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あなたの元へ送ります……!!



と言うわけで、まさかの展開で幕を開ける本作。
冴を信奉するものの残党が、美沙緒の命を狙う。
そんな幕開けとなった本作ですが、その調子で物語が進んでいく……わけではないのです!!
衝撃的な幕開けとなった本作ですが、この後さらに衝撃的すぎる展開が待ち受けています!!
帯にもかかれているように……死んだはずの冴が
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美沙緒の前にその姿を現すと言う!!
一体これはどう言う事なのでしょうか。
美沙緒が死んだのは、絶対に間違いがありません。
あんな姿になったのですから、九死に一生を得たと言う事すら考えづらいですし、仮にそうだとしてもあの頃のままの元気で綺麗な姿のままなんてことは絶対にない、はずです。
ただのそっくりさん、と言う事ではない、再び現れた冴。
一体彼女は何者なのでしょうか。
そしてその目的は何なのでしょうか。
復讐なのか、あるいは……美沙緒なのか。
ともかくこの後、4巻までの第1シーズンとはまた違った色合いの絶望を振りまいていく冴。
その絶望の中で、美沙緒や蘭はどんどんと追い詰められていくことに……!!
再び第1シーズンの前半のようなサスペンス色の強いお話で幕を開けた本作、この後の展開も気になるところ!!
新たな冴の目的や正体、追い詰められた美沙緒たち、古海やシバコーの動向、そして真木家の謎。
そんな数々の見どころに、時折内水先生がブッ込んでくるシュールなギャグも相まって、冴のみならず「サエイズム」の完全復活を実感させてくれる一冊になっているのです!!





今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!