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今回紹介いたしますのはこちら。

「数字であそぼ。」第1巻 絹田村子先生 

小学館さんのフラワーコミックスより刊行です。


絹田先生は08年にフラワーズの新人賞を受賞してデビューした漫画家さんです。
代表作は13年から連載された「重要参考人探偵」。
こちらは17年にドラマ化を果たす人気作となりました。

「重要参考人探偵」をはじめとして、ちょっと変わった切り口の作品を得意とする絹田先生の最新作となる本作は、やっぱりちょっと変わったものを題材にしています。
それはタイトルにもある通り、数字。
ではどんな物語が繰り広げられると言うのでしょうか!?



西の超名門、吉田大学。
その理学部はノーベル賞受賞者を多く輩出しています。
そんな吉田大学にあっさりと入学して見せた男、横辺建己の周りにはさわやかな風が吹き抜けておりました。
初めて体験した大学の授業は、英語。
高校と比べてどれだけ難しいかと少し警戒していたものの、彼にとっては何のことありませんでした。
なにせ彼、一度見たものは決して忘れないと言う記憶能力の持ち主なのですから!!
その能力のおかげで、彼は今までの人生、勉強では全く苦労知らず。
町では神童ともてはやされ、高校では学校始まって以来の天才だと賛美される。
吉田大学理学部に進んで、物理学者になるべきだ、君の前にはノーベル賞への道が続いている!!
そんな言葉に押されるがまま、輝かしい未来を夢見てこの吉田大学にやってきたのです。
彼自身、その未来をこれっぽっちも疑ってはいませんでした。
ここまで順調に来続けてきた。
最初の授業も順調だった。
そしてきっとこれからも順調だろう。
そう思うのは無理もありませんし、彼自身も、彼以外もそう思っていたのです。
……大学に入って二つ目の授業、微分積分額を受けるまでは。

理学部にとって数学はとても大切だ、2年後に選択するどの専門でもその理論を記述するための言葉になる。
そんな先生の話を聞きながら、未来のノーベル賞を思い抱く横辺。
ですがその後続けられた先生の言葉を聞いて、一気に吉田はフリーズしてしまうのです。
まず数字を作りましょう。
……数を、作る?
その時点で横辺の表情が怪しくなりました。
先生がその後、じゃあ定義します、と黒板にチョークを走らせます。
シンと静まり返る教室。
そうだよな、みんなわからないよな、最後まで聞けばきっと理解できるようになるんだ。
そう胸をなでおろす横辺だったのですが……
授業が終わった後の彼は
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真っ白に燃え尽き、常に身に纏わせていたキラキラをすべて失ってしまっていたのです……!!
書かれた文字は一つ余すことなくすべて覚えています。
だと言うのに、その意味がわからない。
わからないことがわからない……
フラフラになっていた彼の目の前で、一人の女性がおもむろに伸びをしました。
そして彼女、こんなことを言うのです。
すっきりした、大学ってこんなにちゃんとやってくれるんだ、今まであいまいにしてたところがやっとわかった、と……!!
そのまま学食に行こうとする彼女。
横辺は聞き捨てならないとばかりに彼女を呼び止め、今の講義が理解できたのかと尋ねてみます。
すると彼女、考えればわかる、理解していればできる、数学は理解する学問だもの、と答えて……!!
その言葉は横辺に相当なショックを与えました。
考えればわかる、理解していればわかる。
その言葉が意味することはつまり、自分は考えてもいないし理解できてもいない、と言う事……!!!
大学の数学と今までの数学は違う。
その違いに気が付かないまま、悲観に暮れた彼は
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2年間、大学に行かずに過ごしてしまうのでした!!
周りを見ればキラキラを纏った吉田大生ばかり。
果たして自分はどうなってしまうのか?
このまま大家さんの犬の散歩係として一生を終えるのか?
そんなことばかり考えて悲観していた彼のもとに、一通の手紙が届きます。
それは、「長期在学者諸君へ」と書かれた封筒。
中を見てみると、そこには卒業したければ先生のところに来なさいと言うようなことが描いてありました。
卒業しないといけないよな、と重い腰を上げる横辺。
それでも、自分に卒業なんてできるのか、と言う不安もどうしても襲い掛かってくるのでした。

勇気を振り絞り、キラキラだらけの吉田大生や、順調にキャンパスライフを送っていたかつての同級生の間を潜り抜け、やっとこあった先生からのアドバイスはこうでした。
友達を作りなさい。
物理は実験が忙しいのに2単位しかないけど、数学は紙とペンだけあればいいからおすすめ。
……そんなことを言われても、その数学が難しいわけで。
それでも数学を何とかしないことには始まりません。
そこで一人じゃどうしようもなくても、二人なら何とかなるかもしれない、と思い立った横辺は、友達を作ろうと決心するのですが……
やはり今のキラキラのない横辺にそれはハードルが高すぎました。
声をかけることすらままならず、結局一人後者にもたれかかってうなだれることとなってしまった横辺。
ところがそんな横辺に、逆に声をかけてきてくれる男が現れたのです!!
ちょっといいですか。
留年……してますよね。
そう声をかけてきた男、北方もまた……留年していました!!
お互いの体からにじみ出る留年オーラ……!!
すぐに二人は握手を交わし、友達に!!
彼の存在のおかげで、横辺はその日初めて4限まで受講できたのでした!!

ですがその後、またも衝撃の出来事が起きてしまうのです。
微分積分額が意味不明で、アレのせいで2年間棒に振った、意味不明だ、北方だって単位取れてないだろう?
北方にそう尋ねたところ、彼はあっさりとこう答えたではないですか!!
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わからないことなかったけど。
数学好きだし。
彼は最初から、あちら側の人間だった……!!
裏切者、と叫んで卒倒してしまう横辺。
そんな前途多難な幕開けをした、横辺の未来への道。
それはノーベル賞への道程ではなく、再履修の道なのでした。



と言うわけで、数学に関してのされこれを描いていくコメディとなる本作。
今まであらゆる勉強を暗記だけで乗り越えてきた横辺が、初めて挫折を体験することになる大学の数学。
横辺だけでなく、ちんぷんかんぷんな方も多いであろう(自分も含めて……)その数学のあれこれを、何も理解していない横辺とともに学んでいくお話なわけです!!
と言いましてもそんなに真面目なお話ではなく、あくまでノリはコメディなのでご安心ください。
今まで暗記だけで神童扱いされてきたため、それが勘違いであったと自信を失ってしまった彼はダメ人間同前にまで落ちぶれてしまいました。
そんな彼のアレっぷりを楽しむ、と言うのが本作の基本なのです!

さらにこの後、横辺には北方以外の様々な友人ができていきます。
その友人たちは横辺と付き合ってくれるだけあって、いずれ劣らぬ変人ぞろい。
横辺だけでなく、そんな彼らのちょっと変わった考え方や行動もまた本作の見どころ!
笑えて学べる(?)本作、数学が苦手な方でもばっちり楽しめますよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!