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今回紹介いたしますのはこちら。

「切子 殺(キル)」 本田真吾先生 

日本文芸社さんのニチブン・コミックスより刊行です。


さて、「ハカイジュウ」以降すっかりホラー漫画家が板についてきた本田先生。
今回の作品は、15年に単行本が刊行された「切子」の続編となっています。
「切子」は単行本刊行後も電子書籍などで順調に部数を伸ばしていったようでして、18年に続編となる本作が連載、単行本刊行となりました。
前作はとんでもない終わり方でしたから、一体どんな風にお話の続きを作っていくのか、前作を読んだ方は気になってしまうところでしょうが……
きちんと今作から読んでも大丈夫な内容になっております!!



佐倉美波の顔は、希望に満ち溢れていました。
京から彼女は社会人。
田舎に住んでいた彼女は、一人都会の企業に勤められることがうれしくてならないのです。
大きなビルの3フロア以上を使用している企業、エガオカンパニー。
そのフロアを確認し、早速エレベーターに向かおうとするのですが、どうにも人ごみに成れていない彼女、行きかう人々に圧倒されて転んでしまい、荷物をぶちまけてしまいます。
不幸中の幸いと言いますか、すかさずそこに警備員さんがすぐに駆けつけ、怪我はないかと声をかけてくれました。
さらにまた別の男性もやってきてくれまして、ぶちまけた荷物んも拐取を手伝ってくれます。
その駆けつけてくれた彼、山崎冬馬と名乗りました。
彼もまた今日から笑顔コーポレーションに勤めることになった、同期生の様子。
思わぬ仲間との遭遇はお互い心強かったのでしょう、警備員さんにお礼を言ったあと、二人は一緒に会社に向かうことになったのでした。

美波と冬馬は、他の数名の新入社員とともに、社長によって全社員へ紹介されることになりました。
一通り紹介を終えた後、社長は社員たちに、みんなには厳しく温かいまなざしで、全力でサポートしてやってくれ、とありがたい言葉をかけてくれます。
……が、その後の光景は、すこしあっけに取られてしまう驚きのモノ!
それでは今日も笑顔全開で、元気の源を全国に届けよう、いつものいくぞ!!
社長のそんな音頭の後行われたのは、全社員が一斉に行う「大笑い」!!
なんでも毎朝全員揃って「笑う」ことが恒例行事なのだとか。
笑うことでNK細胞を活性化させ、健康になろうと言う試みなのだそうです。
健康食品を扱うエガオコーポレーションの社員が不健康では信用問題にかかわる、と、社長。
正直冬馬はこの全社員大笑いにドン引き。
三波は戸惑いこそあるものの、私も一社員として頑張らなきゃ、と一緒になって笑い声を上げるのでした。

美波が配属されたチームは、優しそうな班長の久世原を筆頭に、チャラそうな工藤、いかにもキャリアウーマンと言った感じの黒輪、がっちりとした体形の茂木、美波と年のころ近そうな女性、高梨の5人。
美波もいい人たちばかりみたいだ、と安心したのですが……働き始めるとさっそく違和感を感じ始めるのです。
さりげなく自分の体に触れてくる久世原。
最初こそ優しく指導してくれそうだったのに、昼休みになって美波が冬馬と仲良さそうに話しているのを見ると、猛烈な勢いで厳しく当たってくるようになる黒輪……
初日から辛い思いをしてしまう美波ですが、自分の出来が悪いせいだと原因が自分にあると言い聞かせ、耐えることにするのです。
が、午後になると、黒輪の指導はさらにエスカレート!!
大きな声で罵倒が繰り返され、美波はどんどん縮こまってしまい……
そんな状況を見ていた久世原は、まだ美波はうちの商品も把握しきれていないから仕方ない、自分が倉庫を案内して覚えさせるよと割って入ってくれました。
……ですが、故意かどうかはわからないものの、先ほど自分にセクハラをしてきた久世原と二人きりになるのは少し恐怖感もあります。
とはいえここでむげに断るわけにもいきません。やむなく倉庫に一緒に行くのですが……やはりそこで、久世原の毒牙がふるわれることになってしまったのです!!

倉庫の中に誰も来ないことを確認すると、久世原は
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美波を背後から抱きすくめ、こんなことを囁きました。
騒がない方がいい、私の鶴の一声で、君みたいな新人の首簡単に切れる。
田舎のお母さんはさぞかし大変だっただろう、旦那さん亡き後女手一つで、三流とはいえ大学にまで通わせてくれたんだ。
研修の時から君には目をつけていた、お母さんが現在体調を崩していて、そんな状況で弟さんの大学受験が控えているのは調査済み。
お母さんを楽させたいなら頑張って働かないと。
大人しくできるだろう……
……と、そんなとき、倉庫内に誰かの声が聞こえてきます。
何か悲鳴みたいのが聞こえましたけどとその声……これでは久世原もことには及べません。
問題の先送りにしかならないものの、美波は何とか久世原を振り切ってその場から逃げ出したのですが……倉庫の扉の前には声をかけたはずの人物の人影はありません。
それもそのはず、声をかけたであろうその人物は……何故か身を隠して、一連の様子を監視していたのですから!

すっかり興を削がれた久世原、苛立ちながら倉庫から出ようとします。
ですがどうしたことでしょう、久世原の目の前で突然倉庫の扉が閉まってしまい、鍵がかけられてしまいました。
しかし鍵と言うのは中からなら普通たやすく開けられるもの。
鍵の開閉をするつまみをまわそうとした久世原なのですが、そのつまみが何者かによって切り取らているではありませんか!
何やってる、開けろ、佐倉君いるのか、いるなら開けろ!!
今ならまだ許してやる!!
開けろ!!!
会社にいられなくしてやる!!
そう怒鳴り続け、ドアノブをガチャガチャと弄り回す久世原。
一向に開かないドアに苛立ちを募らせていたせいでしょう、自分の背後に迫るモノに気がついていません。
倉庫の奥から現れ、ゆっくりと近づいて来る……異常な身長の、やせぎすのセーラー服の異形。
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切子が近づいていたことに……!!
そして、久世原は見るも無残な姿にされてしまいます。
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全身の骨を砕かれ、小さなダンボールに無理やりねじ込まれた、残酷極まりない姿に……!!

そんな恐怖が幕を開けた社内で、一人ほくそ笑んでいるものが居ました。
その人物が見ているのは、携帯に表示された怪しげなサイト、「切子がキル」。
そのサイトにはこんな文面が表示されていたのです。
あなたの周りに許せない「悪」はいませんか?
社会に蔓延する「悪」を正義の執行人「切子」が責任を持って粛清いたします。
その人物は、そんなそら恐ろしい文面を見てほくそ笑んでいるようです。
と言う事はこの人物こそが、あの凄惨な殺人を行った異形……切子を再び呼び出した人物、と言う事なのでしょうか……!?




と言うわけで、「切子」の新章が幕を開ける本作。
前作では恐怖の中少しずつ謎解きが行われていく印象でしたが、本作ではもうちょっとお話がシンプルになり、クリーチャーパニックホラーと言った装いになっています。
次々に襲われていくエガオコーポレーションの社員たち、そしてなぜか社内から外に連絡する方法ががなくなっている……
クリーチャーに襲われてしまう恐ろしさが存分に堪能できる一冊になっています!!!
そんなシンプルな構造になった本作ですが、謎がないわけではありません。
切子はなぜこの会社に現れたのか。
一体黒幕は何者なのか。
前作のアレからどうなってこの状況になったのか?
そんな様々な謎が徐々に明かされていく、謎解き的なお楽しみも用意されているのです!!

そして本田先生ならではの描写も満載。
本田先生の緻密な絵柄で描かれた、切子の惨殺シーンは圧巻の一言!
さらにハカイジュウでも時折見られた、度肝を抜かれるぶっ飛んだ展開も用意されていまして……
正直自分は笑ってしまったラスト近辺……必見です!!




今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!