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今回紹介いたしますのはこちら。

「鮫島、最後の十五日」第18巻 佐藤タカヒロ先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。


さて、もはや体は限界を超えている鯉太郎ですが、その体とは裏腹に「何か」をつかみつつありました。
連勝街道を突き進む鯉太郎、十二日目の対戦相手は……王虎!
最大のライバルを相手に、鯉太郎は……!?



いよいよその時はやってきました。
鮫島対王虎。
優勝戦線を大きく左右する……と言うだけではなく、序の口時代から激しい戦いを繰り広げ、以前とは違う絆めいた物まで築き上げている二人の戦いは、今日の取組の科で最も注目を断詰めていると言ってもいいでしょう。
対峙する二人は、一見大一番前にしては落ち着いている、用にも見えますが……
虎城はそうではないと見破っています。
期待や喜びがパンパンにつまっている風船の口を必死に抑えている。
手を放せばもう抑えることはできない……
そんな二人の胸の内を。
今まで何度となく鯉太郎に侮辱的な言葉を吐いてきた虎城ですが、今日の彼はそんな過去など感じさせない穏やかな表情で、いい顔をしている、と二人の姿を見守っています。
そうこうしている間に、時間いっぱいに。
会場は一気に、嵐が巻き起こったかのような感性に包まれ、大興奮の坩堝へ。
その異様に当てられた赤ちゃんは泣きだすほどでした。
ですがどうしたことでしょう。
鯉太郎と王虎、二人が塩をまき、土俵中央で腰を下ろすと……
王虎と鯉太郎の放つ圧倒的な存在感に、会場全体が逆に圧倒されてしまうのです。
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今まで泣いていた赤ん坊まで泣くのを忘れ、二人の姿に釘付けになってしまう……
その土俵中央で、とうとう二人の闘士が爆発しようとしていました。
二人は口には出さず、目と目で語りあいます。
さぁ、いこうか。
そして二人は
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真正面からぶつかり合うのです!!
鯉太郎は頭から、王虎は胸からぶつかり合いました。
はじかれ合ってしまう二人ですが、王虎はすぐに右の突っ張りで追撃します。
その強烈極まりない攻撃は、行為太郎を大きくのけぞらせるのですが、鯉太郎も歯を食いしばって耐え、渾身の右のつっぱりで反撃!!
そして鯉太郎は腰を下ろし、必殺のぶちかましを放つ前の動きへ。
王虎は素早くそれに反応し、右手をつきだしてブチカマシを迎え討とうとするのですが……
鯉太郎はそれに対応!!
大きく体を右に翻して変化。
すかさずサイドに回って廻しを取りに向かうのですが……
王虎はその動きを読んでいたのです!
すかさず左手で鯉太郎の顔面を張って弾き飛ばすのです!!
ところが鯉太郎、それすらもぐっとこらえ、強引にぶちかましへ!!
王虎と鯉太郎の額と額がぶつかり合うのでした!!

あまりにも激しすぎる激突。
観客ももはやただただ固唾を跳んで見守るしかありません。
しかし、当の二人はこの状況今まで待ち焦がれ続けていました。
そして、優勝すらもかかったこの激戦を楽しんでいるのです!
そう、これだ。
心臓が破裂するまで、身体が砕けるまで、脳が沸騰するまで、細胞が蒸発するまで。
己の存在を、
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生き様をぶち当てろ!!
二人の沸き立つような感情は、自然と二人の口から漏れだしてしまいました!!
雄たけびを上げる二人……!!
果たしてこの運命の戦いで白星を挙げるのはどちらなのでしょうか。
決着は、間もなくです!!!



と言うわけで、鯉太郎VS王虎と言う宿命の決戦を完全収録した今巻。
彼らの長きにわたる戦いに、決着をつけたと言ってもいいこの戦い、必見と言うほかない熱すぎる戦いとなっています。
絶対的な横綱、泡影に挑む切符をかけて。
宿命の決着をかけて。
二人の中に滾る相撲への思いをかけて……!
目まぐるしく戦局が変わり、やがて迎える圧巻の決着は絶対に見逃してはなりませんよ!!

そうやって最高潮に差し掛かっている本作ですが、皆様ご存知のことと思いますが、作者の佐藤先生が連載中に急逝、未完となってしまいました。
ファンとしては残念でなりませんし、佐藤先生も本作が描き切れずに無念だったことでしょう……
ですがこの決戦を描き切り、翌十三日目の取組までは描いて下さいました。
18年9月に十三日目編に突入する19巻、そして10月に最終話となってしまったお話まで、ひょっとすると未掲載原稿が載っているかもしれない20巻が刊行されるようです。
佐藤先生の生き様と言ってもいいかもしれない本作を、最後まで心に刻み付けましょう……


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!