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今回紹介いたしますのはこちら。

「少女ファイト」第15巻 日本橋ヨヲコ先生 

講談社さんのイブニングKCより刊行です。


さて、春高ベスト8に挑む戦いにコマを進めた黒曜谷。
次なる対戦相手は前年度覇者のシード校、金糸雀です。
ですがその金糸雀も、青磁の雨宮が張り巡らせた策にはまってしまっているようで……!?


ナオと厚子と、かつてチームメイトだったモカ。
彼女は厳しくルールを徹底させられる金糸雀の中で、禁じられているお菓子を密輸していました。
そしてその身露をしているという証拠となる画像が、一部に送り付けられたことで、モカはもちろんのこと、金糸雀全体に不穏な空気が広がってしまったのです。
その全ての出来事の裏で糸を引いていたのが雨宮。
そんなことを知るはずもない金糸雀の面々は、どうしても動揺してしまうのですが……

試合が始まる前から、ナオと厚子の気分はモヤモヤしたまま。
かつてぽっちゃりしていたモカを、いじめていた……わけではないのですが、もっと自己管理しろだとか、自覚なくよく食べるキャラ扱いしてしまっていたことが、モカから恨みを買っていることにつながっていた事を知ってしまったからです。
強い敵意を抱くモカ……
そんなモカからすれば、厚子とナオはいつものような「悪役扱い」ではなく、悪役に他ならない。
そう考えると、どうしてもすっきりしないのです。
さらに厚子は、義理の母親、千花の問題も抱えていて、集中しきれないのは無理もない状況……
なのですが、試合前の練の言葉にほんの少しながら救われるのです。
今日は最速で50点取ろう、厚子が1分でも早く知花に会えるように。
厚子を思う気持ちはチームみんな同じ。
更なる団結を固め、試合に挑むのです!!

練は開幕から猛烈な勢いで飛ばします。
厚子はそれを見て、しみじみと思うのです。
自分は知花の問題で動揺しているのに、春高に関して大きなトラウマを抱えているはずの練はもう自分を支えるくらい強くなっている。
認めるよ、もうこれは素直に、憧れだって。
黒曜谷を卒業しても本気でバレー出来る環境に進みたい。
それなら一生追いつけなくても、背中を追い続けることはできる。
「来年がある」じゃダメだ、「今」結果を出すしかねえ。
だから、かまってちゃんの相手してるヒマなんか1ミリもねーんだよ。
厚子もその想いのまま強烈なバックアタックを決めていきます。
そして、レシーブしきれなかったモカを一瞥すると、挑発するようなポーズを取り、
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悪役上等だぜ、繊細チンピラ!とまさしくヒールの振る舞いをしてみせるのでした!!
精神状態を完全に立て直している厚子に対して、金糸雀はボロボロ。
まず、もともと潔癖症の気があったものの、仲間と共同生活をして支え合っていくにつれ、徐々に改善していっていた菱井に影響が現れてしまいます。
お菓子の密輸のことからモカに対する不信感がどうしても湧いてしまい、わかりあっていた仲間のくれたものだから触れていたパスも、汚いもののように思えて触れなくなってしまいます。
そして、その様子をみてモカの方も、どうして自分をゴミを見るような眼で見るのか、動じて急に潔癖が再発しているのか、といぶかしんでしまい……
このままでは、ガタガタに崩れてなにもできず金糸雀は負けてしまう。
そう考えた総部長の舞棚は、タイムアウト中にすべてを明らかにするしかないと考えました。

タイムアウトを取り、モカに持ち込んだお菓子をコーチたちの前でひろげさせる舞棚達。
ここで怒るのは、お菓子を密輸して、次の総部長選抜を動かすための賄賂にしていたこと、ではありません。
何故お菓子を禁止にしているのか、と言えば、栄養管理をして部員たちを健康にするため。
だと言うのに自分の都合だけで、他のメンバーの体を考えずにお菓子を配っていた、と言う事に、なのです。
モカはとっくに過食を克服している、と言い切れます。
ですが……その心の方は、何も変わらないデブのままなんだ。
そう言われると、モカは泣きだしてしまうのですが……
ここで、さらにこう諭されてしまいました。
泣いたところで状況はよくならない、でもお前の努力だけは信用できる。
だからもう被害者ヅラして生きるのはやめろ。
黒曜谷だけが悪じゃない、モカも、モカのデブを弄っていた自分も含めて、
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春高にいる登場人物、全員悪人なんだよ。
……その言葉に心を動かしたのは、モカよりもむしろ菱井の方でした。
その通りだ、自分だって汚い。
ずっと正しかった人間なんかいない!
菱井はモカを追い詰めた責任は自分にもあると宣言し、モカが賄賂を配ってまで自分を部長にしようとしていた選挙戦から降りると宣言。
こうして、試合外のごたごたを一気に片づけてしまったのです!
なんとか精神状態を立てなおした金糸雀……
前年度覇者の意地を見せる、とコートに向かった彼女たちは、今までとは違う戦いを見せてくれることでしょう!!

対する黒曜谷も、このタイムアウト中に金糸雀のお菓子密輸事件やら、モカとナオと厚子が知り合いだった件などを明かし合い、ガタついてしまうのですが……
そこは由良木がしめてくれました!
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お前らは甘いんだよ、脳内お花畑か。
ここまで来て、正々堂々試合できるなんて思うなよ。
春高は人生の縮図だ、理不尽な不幸も仕組まれた罠もあって当然なんだよ。
感情が揺らいだらすぐに呼吸を整え、リラックスして姿勢を正し、常に体を動かせ。
この戦場で、負の連鎖に巻き込まれるな。

こうして、黒曜谷と金糸雀の戦いは、本格的にスタートすることになります。
ようやく行われる真っ向勝負、果たして勝つのはどちらでしょうか!?


と言うわけで、黒曜谷VS金糸雀が繰り広げられる今巻。
かつての因縁めいた関係と、知花のことで厚子の精神状態は厳しいものとなったいましたが、様々な出来事や仲間のおかげで比較的すぐに気持ちを立て直すことができました。
対する金糸雀もガタガタになりつつありましたが、それもまた仲間と積み上げてきたもので立ち直りつつあります。
その全てのが元凶は、青磁の雨宮と言っていいでしょう。
大会が進むにつれ、徐々にその策略は凶悪になっている様子。
この後、雨宮はどんな卑劣な罠を仕掛けてくるのか?
試合以外にも不安は募るのです……!

そんな雨宮の動きも見逃せませんが、もちろん試合もすごいものに!
今回の黒曜谷のキーパーソンは間違いなく厚子とナオ。
二人の動きを中心にした、すさまじい戦いに注目必至です!!
この戦いの後に始まる新シリーズも、今度はあのペアに焦点を合わせてのドラマが描写されまして、そちらも見逃せないところ。
続巻が出るのが待ち遠しい、ドラマの数々が繰り広げられるのますよ!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!