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今回紹介いたしますのはこちら。

「あえじゅま様の学校」第3巻 鈴丸れいじ先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。


さて、あえじゅま様と死と隣り合わせの学校生活を過ごさせられてしまうことになった朔。
朔たちは何も知らないものの、あえじゅま様の起こす惨劇はネットで拡散、日本中を騒がす事件となってしまっていました。
それを捜査する警察、そしてその村に自分達の組から抜け出した者がいることを知って始末に向かう極道と、二つの勢力が村へ向かい……
様々な思惑が絡み合うこの自体、一体どのような結末を迎えるのでしょうか……?



どうしたことか、最近のあえじゅま様は朔のことをザクと呼び、いつも大事に持っているバッグの中から大切にしていると思われる宝物をくれるなど、心を開き始めていました。
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醜怪な見た目をしていて、人間を食う化け物であるあえじゅま様。
ですが、自分に手を振って挨拶してくれたりもするあえじゅま様を、朔はだんだんと憎めなくなってきてしまうのです。
そんなあえじゅま様ですが……この村に近づきつつある警察がその正体に近づこうとしていました。
警察が会っていたのは、シャムス様と呼ばれるペルシアで栄えた部族の血を引く老婆。
もはや寝たきりになってしまっているそのシャムス様は、40年以上前に血縁者とともに日本にわたり、あえじゅま様の住む村に流れ着いたのだと言います。
そのシャムス様は、あえじゅま様の正体を明かし、そしてあえじゅま様を救ってほしい、と……その全てを語ったのです。
人間を食うような化け物を救ってほしい、とはどういうことなのか?
当然警察の面々はそんな疑問を抱くのですが……
シャムス様は、いきなりこんな衝撃的な真実から明かし始めました。
あえじゅま様は、
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9歳の女の子なのです、と。
かつてあえじゅま様のくらす村では、過疎を打破する一手としてふぁっがと言う珍しいキノコの栽培をしようとしていました。
シャムス様の一族はその時、滅亡寸前の状況。
ですがファッガの栽培方法を知っていまして、その栽培方法を教える代わりにと村に移住を申し入れたのです。
が、ファッガは日本の気候では生育しない、ということを知っていながらもそれを隠して。
ファッガの栽培が上手くいかない日々が続きますと、やがて村の人々も苛立ち始めます。
役に立たない外国人たちを追いだそう、と息巻く村人たち。
一方で、追い出すのは酷だし、彼らが来たことで人口が増えて過疎に歯止めがかかったことは事実だと受け入れを提案する者もいます。
次第に村人たちはその二派で対立をはじめ、険悪なムードになってしまいました。
そんな険悪な二派の仲裁に入っていたのが、駐在である友永光二郎。
村を愛していた光二郎は献身的に村に尽くし、村人からも信頼されていました。
そしてシャムス様たちにも分け隔てなく接し、双方から慕われていたのですが……やがて、外国人排斥派の方から、こんなことがささやかれ始めるようになってしまいます。
光二郎は誰にでもいい顔をするから信用できない。
さらに悪いことに、ほとんどが農家などの自営業だった村人は、光二郎が収入の安定している公務員であると言うことも気に入らなかったようで。
その嫌悪の感情は村全体に広がり、そしてその矛先は幸二郎の娘、月子に向いてしまいます。
子供たちに無視されてしまう月子。
嫌がらせはエスカレートし、光二郎の家は誹謗中傷の落書きがされ、あげく買い物もできないような状態に追い込まれてしまったのです。
やがて光二郎は、妻と子だけでも村から逃げてもらうことを決意しました。
このことは誰にも言うんじゃないぞ、と妻と月子に言い含める光二郎。
ですが月子は、誰も相手にしてくれないこの村で唯一話し相手になってくれた、おじさんにその事を明かしてしまったのです。
おじさんは、そうか、寂しくなるなぁとつぶやいた後、友達の証に渡したいものがあるんだ、と月子を連れて山小屋へと向かったのです。
……そして月子はそのまま、何度も何度も暴行され……手足を縛られ、生きたまま、焼かれてしまいます。
燃え盛る山小屋を見つけた村人たちは、誰一人手を貸そうともせず、静観するだけ。
光二郎は顔に酷いやけどを負いながらも月子を山小屋から連れ出したのですが、すでにその体は全身が黒焦げになっていて、その命は失われていたのです……

絶望と怒りに震える光二郎。
そんな光二郎に手を差し伸べたのは、シャムス様の双子の姉であるマフターブ様でした。
マフターブ様は、世話になった光二郎のために月子をよみがえらせる秘術を使ってくれたのです。
秘術であり、禁忌とされていたその蘇生術は、七日七晩の儀式を終え、八日目の朝……月子は蘇ります。
ですがその術はやはり、禁忌とされるものだったのです。
月子は……
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魍魎と融合し、穢れに侵食され……「復讐」を意味する、アエジュマとなって蘇ったのでした。
その翌日、光二郎の妻は自殺。
光二郎の怒りはより大きくなり、村人への復讐心を強めていきました。
何の関係もない配偶者が殺される、もしくは何の関係もない配偶者に殺される。
村人たちにそんな復讐を遂げるため、村人に子や孫が生まれて成長するまでの間、潜伏することとなります。
その間に、宗教法人を作って資金の調達を行って……

光二郎は今、村の住職としてあえじゅま様の事件を先導していました。
全ての黒幕は住職だったわけです。
復讐はようやく結実し始めた……とおもわれたのですが、そこに住職も予想していなかったものがやって来てしまうのです。
それは、佐伯という極道の一団。
極道の一団がただ現れるだけならば、あえじゅま様もいる以上どうとでもなるでしょう。
ですが……その佐伯こそが、月子を殺めたあのおじさんなのです。
この件に逆らったものをすべて殺すつもりである佐伯。
あえじゅま様はかつての記憶などほとんど残っていないかと思われていたものの、朔と出会って以来人間性を取り戻しつつあるようにも見えます。
その状態で、佐伯にあってしまえば……!?
光二郎、佐伯、月子、そして……朔。
血潮の飛び散る惨劇の学園生活は、とうとう終わりの時を迎えようとしているようです……!



というわけで、クライマックスを迎える本作。
あえじゅま様の正体が9歳の女の子の月子であると判明し、この学園生活は光二郎が村人の血縁者を集めて復讐をするための行動である事がわかりました。
そしてついにこの後、あえじゅま様、光二郎、朔、佐伯、警察が一堂に会することとなります。
そこで、全ての出来事に決着がつくこととなるのです。
果たして日本を震撼させたあえじゅま様事件はどのような結末を迎えるのでしょうか。
光二郎の復讐、あえじゅま様になった月子、あまりにも邪悪な佐伯の欲望。
その中に立たされた朔の決断は!?
衝撃の真実の先にある、衝撃の結末は、ぜひとも皆様の目でご確認ください!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!