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今回紹介いたしますのはこちら。

「號鉄のジョニー」第1巻 友美イチロウ先生 

リイド社さんのSPコミックスより刊行です。


友美先生は同人活動などを行いながら、00年に商業デビューした漫画家さんです。
エロス要素を売りにした漫画や、ハイテンションでシュールでパロディ満載なギャグマンガを得意とされている友美先生なのですが、本作はまさかの超本格的バイオレンスアクション!
気になるその内容はと言いますと……?


1948年。
敗戦から3年経った今も、人々は渾沌とした世の中で苦しい生活を強いられていました。
そんな世の中で、たった一人でもたくましく生きている少女、チヨコ。
彼女はその日も、ひったくりをしていたのですが……
そんな時、市場のショバ代を廻るいざこざに遭遇してしまいました。
今この市場を仕切っているのは、義士会という勢力。
その義士会の若頭格を務めている、蛇原と言う男がまた危険な人物なのです。
顔の左半分が火傷の後か何かでただれている蛇原、なんでも爆弾にやられてしまったのだとか。
やられてしまったのは顔だけでなく、左腕も失ってしまったようで。
今彼の左腕は義手になっており、その義手は大ぶりの仕込み刀が仕込まれているのです。
義士会に許可なく商売をしようとしていた男をその刀で脅し上げ、さらにその刀を振り上げて宣言する蛇原。
このマーケットは俺たちが預かっている、商売するものは誰だろうとあがりをよこせ、金がない奴は食い物を出せ、食い物がなけりゃ服でも居ればでもいい!
その代わり、何かあったらこの蛇原に言えよ?
……恐怖で人々を押さえつけ、搾取をしているらしい蛇原。
ここで彼らに逆らえるものはいない……と思われたその時、いやでも目立つ男がその場に現れます。
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見上げるような巨体に、包帯だらけの体、見たことのない軍服、そして白髪。
誰であろうと、一目見ればその男がただものではないことがわかります。
蛇原もそれを感じ取った様子。
近寄ってみればその男も義手をつけているようで、ますます興味がわいたのでしょう、蛇原は男を義士会に入らないかとスカウトしてくるのです!
義士会に参加しているのは蛇原のように、戦争で体を持っていかれた者達ばかり。
そんなメンバーがそれぞれ義士会から武器を仕込まれた義肢を与えられ、さらにその力を強化、市場の支配を強めているのです。
スカウトされと男はと言いますと、いきなりその義手で蛇原の胸元をつかみ上げました!!
まるで生身のように動く義手に驚く蛇原ですが、男はかまわずこう尋ねてきました。
イシイと言う男を探している。
……義士会の組長の名も、石井。
蛇原は素直にそれを伝えますと、男は蛇原を投げ捨ててこう言うのです。
ジョニーだ。イシイにお前の息子が来たと伝えろ。

ジョニーによって、とりあえず市場の騒動は収まりました。
チヨコはそんなジョニーに感謝し、蛇原との小競り合いで傷ついてしまったジョニーの義手に包帯を巻いてあげました。
それは義手だぞとジョニーは言うものの、チヨコは義手でも汚したら直さないと、とにっこり。
この荒れ果てた町でもやさしい心を忘れないチヨコに、何も答えないジョニー。
その表情は全く変わりませんが……もしかしたらジョニーはこの時、安らぎのようなものを感じたのかもしれません。

蛇原は石井に、ジョニーの件を報告していました。
ですが石井はジョニーのことを知らない様子。
人違いでしょうか?
石井は蛇原が最近やり過ぎじゃないかとやんわりと注意するのですが、蛇原はと言うと

いきなり石井のこめかみに刃物をつきたてたのです!!
俺は惚れたら一途なもんでね、ジョニーがオヤジの大切なヤツじゃないなら、俺がいただきますぜ。
そう言う蛇原の目は、尋常ならざる光を宿していたのでした……

ジョニーがチヨコの相棒である犬のズタを撫でていたところに、蛇原は現れました。
手土産に、と持ってきたのは石井の首。
いろいろあって、探してる人をやっちまった、と言いながらも再び組に勧誘する蛇原。
ですがジョニーは、俺の探しているイシイはお前に殺されるようなタマじゃない、とその石井が人違いである事を明言したのです。
意味のないプレゼントほどみじめなものはない、フラれたぜ。
そう呟いた蛇原は……
殺気を感じて跳びかかってきたズタを両断!!
そして手に入らねえならぶっ殺してやるよ、と仕込み刀を構えたのです!!
と同時に、一斉に襲い掛かってくる義士会の面々!
男たちはジョニーに一期に組みついて動きを止めようとしてくるのですが……
ジョニーが口でぎじゅにつながったひもを引っ張ったその瞬間!!
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義手の中からチェーンソーが現れ、組みついた義士会の男を両断してしまったのでした!!
だったらと脚に組みつく別の男ですが、足には掘削機のような大きな杭が装備されていて、瞬く間にその男も餌食となってしまうのです!
ジョニーの凄まじい力におびえて逃げ出そうとするものも現れましたが、それは蛇原が許しません。
逃げ出した男は蛇原が容赦なく切り殺します。
戦って死ぬか、逃げて死ぬか、二つに一つだ!
そう叫ぶ蛇原に追い立てられるように、義士会の面々は次々にジョニーに襲い掛かり……ほとんどは死んでしまったものの、何とか左腕の義手を肩口からもぎ取り、さらに膝をつかせることに成功したのです!
勝機と見た義士会の面々ですが、跪いたのは跳びかかられたふぁめーじによるものではありませんでした。
義足だった膝がぱっくりと口を開け、そこから強烈な爆炎が放たれたのです!!
まさに一網打尽、残った義士会のメンバーは蛇原だけ。
とはいっても、左腕の義足を失い、爆炎を放った代償なのか、立ち上がることもできないジョニー……依然ピンチは続いています。
なめやがって、俺達は負けるわけにゃいかねえんだ。
体が焼けようと、腕がもげようと負けるわけにゃいかねえんだよ。
じゃねぇと奪われ続けるんだよ、なめられ続けるんだよ。
この国みてぇによォ!
だから負けられねえんだよぉ!!
蛇原は立ち上がり、ジョニーのほうへと近づいていきます。
必死に外れたジョニーの義手を持ち上げて持っていこうとするチヨコ。
ですが重い義手は持ち上がりすらしません。
周りの人々は、ただその光景を見ているばかり……
チヨコの必死の呼びかけもむなしく、蛇原は刀を振り上げ……
おめぇの体は俺がもらってやるぜ!!
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そういって、ジョニーの心臓に刀を突きたてたのです!!!



というわけで、鋼鉄の四肢で悪党を蹴散らすジョニーの旅路を描いていく本作。
この後ジョニーは「イシイ」を探し、旅を続けていくこととなります。
その行く先々では、荒れ果てたこの国で暴れまわる悪党と遭遇し、それを容赦なく片づけていくのです。
ジョニーの体には様々な武器が装備されていまして、その武器を駆使した戦いはド迫力そのもの!!
情け容赦など無用な、ダイナミックでグロテスクな描写が満載となっているのです!!
そんな血潮飛び散るバイオレンスな戦いとともに、注目したいのは行く先々で出会う人々のドラマ。
辛く苦しい生活の中でも、あるものは気丈にふるまい、あるものは現実から目を背けながらも、心の奥底では未来を見ている……
様々な人々の、それぞれの戦いも見逃せないものとなっております!!
さらに注目したいのは、得体のしれないジョニー自信の背景。
彼はいったい何者で、なぜこんな体になっているのか?
話が進むにつれて明かされていくことになるわけですが、間違いなく残酷で壮絶なものであろうそのドラマも必見です!!

人間ドラマとバイオレンスなバトル、そして一服の清涼剤となるチヨコの健気さやかわいらしさ……
そんな様々な要素が詰め込まれた本作、見どころ満点に仕上がっていますよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!