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今回紹介いたしますのはこちら。

「放課後少女バウト」第3巻 藤田かくじ先生 

竹書房さんのバンブーコミックスより刊行です。


さて、西東京予選大会に挑む辰乃、苦戦しながらも勝ち上がっていきました。
放てるようになる打撃も徐々に増えていくのですが、同時に戦う相手も強力に。
果たして辰乃は西東京大会の頂点に立つことができるのでしょうか!?



辰乃は準決勝のリングに立っていました。
相手は松浦小笹。
「陰陽」なるカウンター技を得意とする打撃主体のファイターです。
そんな小笹は、対戦前に辰乃にこんなことを行ってきました。
「死神」に喩えられた打撃、何故それを一時封印して絞め技に走ったのか?
それは、相手の技量が低い故に辰乃の打撃が強く見えただけで、絞め技に逃げた結果だろう。
かつてあの地区に本物の「死神」がいた。
彼女に比べれば、君は模造刀だ。
そんなことを言われた辰乃は……何も声には出さないものの、静かに……いや、はげしい投資に燃えていました!!
長年辰乃に寄り添ってきた山形にはわかります。
小笹は……触れてはいけない所に触れたのだ、と!!

ゴングが鳴るなり、辰乃は打撃での勝負に挑みました!!
辰乃が放てる打撃は4発。
大事にいかなければならない所なのに、怒りに燃えた辰乃は冷静さを欠いたのでしょうか……!?
辰乃の放った右フックを、小笹はあっさりと回避!
そして流れるように右手を払うようなパンチでカウンターを狙うのですが……それは、小笹の得意とするカウンター、「陰陽」の、「陽」の部分!!
その右パンチを見せ、ガードさせたうえで本命の左のフック、「陰」をさく裂させる!!
それが一撃必殺のカウンター、「陰陽」なのです!!
ところが、辰乃は
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その「陰」も足でしっかりとガード!!
熱くなっていても、冷静さを欠いてはいなかったようです!!
「陰」もガードされてしまった小笹ですが、それならばと再び「陽」に以降!!
辰乃の胴を払い、マットに大の字にさせたところで、強烈なパウンドを放ったのです!!
が、辰乃もそんな打撃をみすみすもらう女ではありません。
素早く体をポコしつつ左手を差し、小笹の肩口をつかんで体勢を反転!
一転して今度は辰乃がマウントになった……はずなのですが、そこで辰乃は追撃せず、立ち上がったではありませんか!!
しかも、手招きして小笹に打撃で来いとアピールするのです!!
自分の打撃が仮初のものではない、ということを証明するために!!
立ち上がった小笹は……なんと、構えません。
いや、これこそが小笹の本来の構え、「無構え」!!
自然体を取ることにより、どこからどう攻めるかを悟らせない究極の構えなのです!!
死神と呼ばれた箕輪辰乃。
その辰乃に対して、小笹は自身の打撃がどれほどのものかを試そうとしています。
磨いてきた自分の打撃が、辰乃を、そして西東京の女王、内藤を倒せるのか、を!!

じわじわと距離を詰める小笹。
本来ならば絞め技も視野に入れた攻めをしたいところですが……ここで打ち負ける様では、内藤に、全国大会に通用するとは思えません。
ここは「死神」を信じるしかない。
固唾をのんでチームメイトが見守る中……その時はやってきました!!
辰乃の左、そして小笹の左。
それが同時に動き……
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小笹の顔面に、辰乃の拳がめり込みます!!
ぐらつく小笹に、辰乃はさらに右フックで攻撃!!
そしてさらに、左のアッパーで顎を跳ね上げたのです!!
小笹は痛感しました。
辰乃は偽りの死神ではなく、本物だ、と。
ですが、だからと言ってここで倒れるわけにはいきません!!
もはや限界は突破した小笹ですが、執念で踏みとどまりました!!
その目にいまだ燃える闘志……!!
辰乃はその目を見て……小笹を首相撲に捕え、

禁じられた5発目の打撃、膝蹴りを叩き込んだのです!!
顔面に膝を浴びた小笹は、鼻血をふいてよろ巻きます。
と同時に、打ってはいけない5発目の打撃を放った膝は、力を失ってしまい……?
膝に走った痛みに顔をしかめる辰乃。
その瞬間!!
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小笹の左アッパーが、辰乃にさく裂したのでした!!
先ほどの膝の衝撃もあり、たまらずマットに膝から崩れ落ちてしまう辰乃。
幸い意識はまだしっかりしているため、座り込んだ状態にはなってしまったものの、小笹をしっかりと見て次の攻防に備えるのですが……
その必要はありませんでした。
最後のアッパーを放ったその時、既に彼女の意識は失われていたのでしょう。
小笹は、真っ正面から地面に倒れ……レフェリーのストップがかかるのでした!!

短いながらも濃密な打撃戦を制した辰乃。
ですがその勝利の大小は大きいものでした。
5発目の打撃を放った膝はボロボロ。
前十字靭帯だけでなく、半月板も激しく損傷し、歩くことすらできない大けがを負ってしまったのです!!
医者はもちろん、小仏からしても決勝戦は棄権すべきだと言わざるを得ません。
……が、辰乃は言うのです。
私、試合がしたいです、と。
小仏はそれでもダメだと首を横に振るのですが……
その時、テレビにもう一戦の準決勝が映ります。
辰乃の所属する格技部の部長である美和。
そして、西東京大会2連覇の「氷の女王」内藤夜艶の戦いが!!
美和が勝てば、決勝での同校決戦。
夜艶が勝てば、美和の敵討ちと、彼女の思いを託された一戦に。
どちらにしても、辰乃にとって絶対に外せない戦いになるのです!!
美和と夜艶の戦いの行方はどうなるのでしょうか。
そして、そもそも辰乃の出場可否は……?
辰乃の、そして小仏が下す決断とは……!!!



というわけで、完結となる本作。
決勝にコマを進め、全国への切符へ王手をかけた辰乃なのですが、ここに来て再び戦えないほどの大けがを負うことになってしまいました。
普通ならば出場は断念、魔法のような整体術をもつ小仏からしても出場させられないと言う状況……
それでも辰乃ならば、這ってでも出場しようとしてしまうかもしれません。
そうなったとき小仏はどうするのでしょうか。
運命の時は刻々と近づいてくるのです!!

そして、美和と夜艶の激戦の後、決勝戦も開幕。
各キャラクターの過去を描きつつ、意地と意地、夢と夢がぶつかり合う激闘が繰り広げられます!!
スピーディーでパワフルな攻防の応酬から目が離せません!!
そんな壮絶な戦いを越えた先に立っているのは誰なのか!?
ギリギリのところまで追い詰められている辰乃の、それでも戦う姿をその目に焼き付けましょう!!

……個人的には全国編までやっていただいて、小仏の父親とのあれこれも決着をつけていただきたかったところなのですが……残念……!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!