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今回紹介いたしますのはこちら。

「殺戮モルフ」第3巻 原作・外薗昌也先生 漫画・小池ノクト先生 

秋田書店さんのヤングチャンピオン・コミックスより刊行です。



さて、Mが拠点としていた建物を探し当て、潜り込んだまどか。
まどかはそこでMと出会い、とうとうMをおいつめることができました。
ですがそこで、今までただ人を殺し続けるだけだったMが突然まどかに話しかけはじめ……!?



まどかはMにとどめを刺すことができませんでした。
ですがそこでそれなりの収穫を得ることができたのです。
まどかをひそかに尾行していた記者のおかげで、Mの隠れ家が警察に発見され、そこから様々なMに関しての情報があばかれつつあること。
そして、Mがなぜまどかを殺さなかったのかの理由がわかったこと。
しかしその理由は、まどかの心の中に大きな、大きな影を落とすことになってしまうのです。

そんなまどかの様子を見た両親は、最近のマドカの様子を見て心配していました。
彼女が実際にどんな恐怖を味わっているのかまでは知りはしないものの、通り魔事件に巻き込まれ、治療に行ったクリニックで殺人事件が起き、仲の良かった友達も二人殺されてしまった……という、周囲が知る事実だけでもその心の傷は計り知れません。
そこで父は、数日間有休をとって、まどかの心をいやすための旅行に出ようと企画するのです。

まどかと両親の三人は、静かな観光地の中に立つ、豪華なホテルに宿泊することになりました。
携帯電話は取り上げられています。
旅行中、日本中の話題の中心になっているMのニュースから少しでも引き離すために。
まどかはちゃんと、自分を心配してくれている両親の想いに気がついていました。
しかし、旅行に行ったところで何も解決しない、そう考えると落ち込んだ気持ちも回復しない……
と思いきや、雄大に聳える富士山や、たくさんの動物の野生に近い姿を楽しめるサファリなパーク、そしてバーベキューなどに、そして何よりも両親の暖かな心遣いに触れていくうちに、まどかの気持ちは自然とほぐされていくのです。

宿泊するホテルは、あの有名な樹海を前にそびえたつ、大きなリゾートホテルでした。
チェックインしようとすると従業員が総出で迎えてくれますし、建物内に川が流れていたり、自然と目が惹かれる装飾品が所々に見られるなど、父が相当奮発したことがわかります。
中でも一番すごいのが、関東一だと言う大露天風呂!
泉質はもちろんのこと、温泉全体の雰囲気にも細やかに気を配っているとのことで、まどかの期待は高まるのです。

早速向かった露天風呂は、なるほどものすごく素敵なムード!
ステキなムードの露天風呂に、ゆっくりと使っていると……いろいろと考えが浮かんできます。
それはやはり、Mに関してです。
ですがいつものような恐怖ではなく、今回感じていたのはこの辺りに来てからMの気配を感じない、と言うものでした。
その原因は、ひょっとすると「距離」ではないか、と考えるまどか。
もしかしたら、Mが収監されている監獄がある東京から遠く離れたせいで、Mの分身能力、バイロケーションが及ばないのではないか?
そう考えると、だんだんとまどかの胸に希望がともり始めるのです。
しかし……やはり、まどかのその期待は儚く砕け散ってしまうこととなります。
ゆったりと伸ばした足先に、何かが触れる気配。
お湯の底に、何かがある?
そう思った瞬間、その何かはポコポコと泡をたてながら、湯船から姿を現します。
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目をカッと見開き、開かれた口からは温泉のお湯が流れ出る……生首が!!
あまりの恐怖に絶叫したまどかでしたが、温泉の中に沈んでいたのは首だけではありませんでした。
続けて出てきたのは、その生首の人物のものであろう、
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ばらばらに刻まれた五体と臓物だったのです……!!

たまらず浴衣だけは折って浴場を飛び出すまどか!!
あれだけ恐ろしい死体を作り出すものと言えば……やはりMの存在が連想されてしまいます。
バイロケーションに距離の限界はないのでしょうか?
とにかく今は、両親の暗算を確認しなければいけない、と駆けだすまどかですが、その最中にこのホテルの従業員の姿を見かけます。
すぐに警察を呼んでくれ、とお願いするまどかなのですが……従業員は答えません。
それもそのはず、すでにその従業員も顔面を切り裂かれて息絶えていたのですから……!!
恐怖はそれだけでは終わりません。
不安に駆られ、近くにあった従業員の休憩室の扉を開けて中に飛び込みますと……
そこには
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複数名の、惨殺された従業員の遺体が座らされていたのです!!
……やはり電話線は切断済みの様子。
携帯は外界から隔絶するために自宅へと置いて来てあります。
……すぐに警察に連絡する手段は、無い……
厨房にあった包丁を手にし、まどかは決意します。
家族の中に入り込んできたあいつは、絶対に許さない。
今度は迷わない!!



というわけで、新シリーズとなる富士山麓地獄編が幕を開けた今巻。
今巻でもあまりに無惨な連続惨殺事件が巻き起こってしまうのですが……気になるのは、この事件が起きたていたであろうその時に、まどかがMの気配を感じていなかったことです。
それだけにバイロケーションに距離制限があるのではないかと思い至ったわけですが……
とはいっても、この容赦なく人の体を弄ぶように殺していく惨殺の手口はMのそれにしか見えません。
この事件は本当にMの手によるものなのでしょうか?
Mの能力が進化しているとでもいうのでしょうか?
この後物語は、予想外の展開が次々に巻き起こり、様々な事実が明らかになっていきます。
そして思いもよらない人物が今まで見せていなかった一面を見せ、ストーリーを予測不可能なものへと引っ掻き回していくのです!!

今まではMの正体を突き止め、その凶刃をどうにかして封じ込めようとするのが本作の目的で、登場人物のほとんどもその為に動いているように見えていました。
ですが今巻ではその大前提が崩れ、さらにこれから一層混沌としていく様相を呈しています。
その転換期ともいえる今巻ですが、容赦ない惨殺シーンは健在です!!
まどかの周囲の人物が次々と巻き込まれ、無惨な躯と化していく……
そんなえぐ過ぎる描写がたっぷりと収録されていますよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!