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今回紹介いたしますのはこちら。

「あえじゅま様の学校」第2巻 鈴丸れいじ先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。


さて、突如拉致され、山奥の村であえじゅま様と呼ばれる奇怪な生物と学校生活を送らさせられることになった朔。
同じように拉致されたものとともに、「落第」になるとあえじゅま様に食い殺されてしまうと言う、さながらデスゲームのような状況に置かれてしまうのです。
ですが、その落第になったものの手足が村の外にいた家族に送られたり、あえじゅま様の落第者をいただく場面が動画になってアップロードされたりと、不可解な出来事も起きていって……
一体この村は何のためにこんなことをするのでしょうか?
朔たちはとにかく落第しないため、あれこれと手を尽くすのですが……



外の世界ではあえじゅま様事件として警察の捜査が始まり、村の中でもこのままでいいわけがないと脱出を計画する者もあらわれるなか、いち早く動きを見せたのは……拉致されたものの中の一人、結子でした。
情報を集め、クラスメイト達にすら気取られないようなタイミングで、ひそかに脱出を目指して動いた結子。
それはすべて愛する息子に会うためです。
夫の浮気が原因で離婚調停を行っている真っ最中の結子、その支えは一人息子の存在だけ。
その支えの元に帰るため、結子は必死に逃げ出したのです。
……が、脱出を計画していたことは村人に気取られてしまっていました。
敢え無く捕まってしまい、結子は人気のない夜の体育館に押し込まれたのでした。

そこにいたのは数人の村人と、この計画に最も深くかかわっている中心人物であり、クラスの担任でもある袴崎でした。
自分の計画が完全にばれてしまっていたことに絶望する結子ですが、それでも脱出を諦めません。
袴崎に、返してもらえればこのことは誰にも一生離さないから、息子の元に帰らせてくれと懇願するのです。
すると……村人たちは、何やら大きな木箱を出してきました。
そして、袴崎が結子に、いいでしょうと答えると、その木箱の箱が開かれます。
中から出てきたのは……
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筆舌に尽くしがたいおぞましい体を持った、芋虫のような怪物だったのです!!
お帰りになって結構ですよ、それが許可すれば、ですがね。
袴崎はそう言うのでした。

怪物は、奇妙な鳴き声を上げながら這いずり回ります。
結子の前に回り込むように蠢き、そして鳴き声を上げる怪物。
ただただ悲鳴を上げる結子ですが、そんな結子に村人から包丁が渡されました。
……これで戦え、というのでしょうか?
いや、そうではないようです。
包丁を渡してきた村人は、戦いではない、「処分」だ……そう言いました。
袴崎は淡々と、恐ろしい言葉を結子に投げかけます。
それはもう必要なくなったのでね、結子さんに処分してほしいのです。
それに攻撃性はありません。
しかし本能の生き物ですから、時間がたって腹が減れば、目の前のあなたを食べるでしょう。
村から逃げることは万死に値する、しかし目の前のそれを処分するだけで帰ることができる。
これは我々の温情なのですよ。
……結子は……握りしめた包丁をほんの少し、その怪物の肉に突き刺しました。
するとほんの小さな傷がついただけにもかかわらず、怪物は叫び声をあげ、苦しそうにのたうち回りました。
この怪物は脅威ではなく、か弱くたやすく殺せる存在であることは間違いなさそうです。
ですが……結子にとって目の前にいるそれは、怪物とはいえ、生きて動き回っている生物。
じゃあやります、とあっさり殺すことなどなかなかできることではありません。
……とはいえ、所詮は時間の問題でした。
立ち上がったゆうこの目は虚ろで……口から出てきたのは「帰ろ」と言う一言。
そしてやおら包丁を振り下ろし……「処分」を始めるのでした。
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ごめんね、でも私も用事あるから、早く帰ってあげないと、陽太に晩御飯も作らなきゃだし。
許さない、あの女!夫も!!きっちり償ってもらうから!!
いつしか考えていたこと、積もり積もった夫や不倫相手の恨みを吐きだし、その怪物に向けて振るっていた結子。
怪物はビクビクと痙攣し、やがてその痙攣もしなくなり……完全にその命を失ったのでした。

袴崎は、これからはお好きにしてくれ、あとはこちらで始末しておく、と結子の解放を約束してくれました。
村人によって、怪物は引き摺られていきます。
埋められるのか、燃やされるのか……
結子はその怪物の亡骸を何となく目で追っていくのですが……そこで、思わぬものが目に入ってきたのです!!
よくよく見れば、怪物の二本に別れていたしっぽのような部分に……なにか、履かれていたのです。
その履いていたものは……下着でした。
「SHAKE!」とでかでかと書かれた、あまりセンスの良いとは言えないその下着は……
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結子が買い、こんなダサいパンツ履けないよ!と文句を言われた……息子の下着だったのです!!
なぜ息子の下着を怪物が履いているのでしょうか。
たまらず袴崎に、息子の陽太に何かしたんですかと怒鳴りつける結子。
すると袴崎は、顔色一つ言うのです。
陽太くんに何かしたのは、あなたですよ結子さん。
ほら、それで。
そう、まだ結子の握りしめていた包丁を指さしながら。
……結子が、包丁で、何かした。
怪物が履いていた下着……
…………と、言うことは……この怪物は……!!



というわけで、またも袴崎の容赦のない審判が下されてしまった今巻。
このあえじゅま様との学園生活は何が目的なのか?
袴崎がその得体のしれない目的のための行動の中心人物なのは間違いないのでしょうが、この後、この出来事を手引きしたもう一人の謎の人物が登場し……!?
まだまだその真相は闇の中ですが、その闇の輪郭は徐々に見えてきました。
袴崎とともにこの学園生活を作り上げているらしい謎の存在。
あえじゅま様を祭り上げる村の人々……
その闇の恐ろしさだけはありありと感じられてしまうものの、その闇に差し込む可能性がある光もまた見え始めてきました。
外で動き始めた警察、独自に村に乗り込もうとするある勢力、脱出を計画するクラスメイト、そして、味方になってくれるかもしれない人物……
物語は着々と、その時に向かって進んでいくのです。
その辿り着く先が、誰が思い描く理想のゴールなのか、そのどれでもないのかはわかりませんが……!!

そんなお話を描く、鈴丸先生ならではの味もやはり見逃せないところ。
基本的にはライトでコミカルな雰囲気ながら、悪趣味なところ、不快なところ、グロテスクなところは徹底的に描いていく、メリハリのある味わいを作り上げています!
さらに描き下ろしのおまけ漫画も収録、エロスなシーンも忘れた頃にそっと挿入、と、今巻もサービス精神あふれる仕上がりになっていますよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!