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今回紹介いたしますのはこちら。

「鉄鍋のジャン!!2nd」第3巻 西条真二先生 

富士見書房さんのドラゴンコミックスエイジより刊行です。


さて、第2巻からさっそく始まった「ジャン」シリーズ名物、大会編。
ジャン達五番町飯店の面々は、予選に挑みます。
ジャン達が予選で落ちるはずはないでしょうが、問題はそこにやって来ている曲者参加者たち。
大谷一族の身ならず、あの五行道士の娘である行姫、熊源の娘であるミーシャ、父親の方のジャンに挑む資格を得るためにやって来た腕利き料理人のロペス……
さらにその他にもジャンと因縁のある料理人もいるようで……!?



やはりジャン達をはじめとした実力者たちは予選などでは落ちません。
40人が残った本戦第1回戦は、根室で行われることとなりました。
その1回戦、抽選で決められた相手との一対一の料理勝負。
用意されている食材は、根室の特産品の数々です。
特産品と言っても、水揚げ量北海道ナンバー1を誇る海産物だけでも豊富そのものですし、熊やアザラシ、シカと言ったジビエもたっぷり。
まさに何でも来いと言った品ぞろえで、だからこそ料理人の腕が試されることとなりそうです。
そんな戦いに挑むジャンの相手は……河原料理学校所属の河原良介なる男。
河原、料理学校……そんなプロフィールを聞けば、初代ジャンの読者の方ならピンとくるところでしょう。
良介は、かつて父親の方のジャンと激闘(というほどでもないですかね……)を繰り広げたことがある、「料理はハイテク」の河原の息子なのです!
どうやら良介も父譲りのハイテク至上主義のようで、ジャンにいきなりこんなことを言いだします。
修行とかやってるんでしょ?
血マメを作るほど頑張って、その上に血マメを作って……ボクにはできないや。
だってボク、全部機械にやらせるもん。
最新式の調理システムを使えば、修行なんて無意味!
そう言って良介が指を鳴らしますと、スタッフらしき女性たちがぞろぞろと現れ、次々に何やら仰々しい大きな器具を運んでくるのです。
21世紀の料理界は科学技術がリードしてゆく、これは河原料理学校の予言です。
そう言って、良介は笑うのでした!

父から与えられた、人間の進化とともに発達してきた調理器具を縦横無尽に使いこなして勝ち進み、ニュータイプの料理を見せつけろ、という命令。
良介はその言葉を胸に刻み込みながら、食材を選びました。
その食材は……タラバガニ!!
根室の名産品の中でもとりわけゴージャスなこの食材を、最新調理器で調理する。
これで勝てないわけがない!!
良介はほくそ笑みながら、早速タラバガニを謎の器具の中にセットしました。
するとなんということでしょうか、その器具からあっという間にむき身になったカニ肉が出てくるではありませんか!!
その驚くべき早業に観客は仰天!
ホタテ自動生剥き機をカニ用に改良したものだというこの機器、わずかな間に殻を外し、ミソを取り、足を切り分けて切れ目を入れ、瞬間熱水の水圧と風圧で肉を分離させると言う様々な仕事をしてくれます。
そしてそのとり出されたカニ肉を、河原はフードプロセッサーへ。
クリーム状に粉砕しますと、今度はまた別の謎の機械へと投入します。
スイッチを押すと、その機械は投入されたカニ肉を少しずつ排出し、何かを形作っていきます。
この機械は、なんと3Dプリンター!
しかも驚くことに、河原はカニ肉で
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タラバガニの形の器を作り上げたのでした!!
未だかつて見たことのない調理方法に驚く観客。
ジャンも驚きますが、簡単というよりどちらかと言えばあきれている様子。
それが料理のつもりか、とたまらず尋ねますと、良介はこともなげに応えるのです。
料理さ、機械にできることは機械にやらせればいい、それが料理のニュータイプさ。
わざわざ自分で動くなんてのは全盛期の時代遅れ料理人だね!と……!
ですがジャンは真っ向から反論。
俺達は料理人だぞ、料理人が手を動かすことを面倒臭がって機械に頼ってどうすんだよ。
ここは調理器具の展覧会じゃないんだぜ。

そんなジャンのほうは何を作っているのでしょうか。
選んでいた食材は……何とウチダザリガニ!
根室で撮れる食材ではありますが、名産……というわけでもありません。
沢山取れはしますが、むしろ外来種で駆除対象。
これをうまく調理してくれれば駆除の一助になる、ということでラインナップされていたのでしょうが……
食材の格で考えればやはりタラバガニには一枚も二枚も劣ると言わざるを得ません。
味こそ悪くありませんが、問題はタラバガニと比べた際の小ささ。
食べごたえがあまりないザリガニを、どう調理するのでしょうか?
良介が様子をうかがっていますと……ジャンは……
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手にしていた棒で、ザリガニをめちゃくちゃに叩き潰したではありませんか!!
そしてそのからも見もぐちゃぐちゃになったザリガニを、全て丸ごと寸胴にぶち込んだのでした!!
観客は驚くものの、良介はその行為に納得。
殻ごと叩き潰すことでザリガニの甲殻類としてのうまみを最大限に引き出したスープにするつもりなんだな。
調理を機械任せにしているため、時間に余裕がある良介はそのままジャンの様子をうかがい続けますと……じゃんはまた、ザリガニを手にしていました。
ジャンはそのザリガニの背中を割ると、くんくんと匂いを嗅ぎ始めました。
さらにぺろりと舐めますと、にやりと笑ったのです!!
どうやらジャンは何かを確認した様子。
確認が終わると、用意していたザリガニを何匹も中華鍋に放り込み、丸ごと炒め始めたではありませんか!!
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それは本場本式のエビチリ、「乾焼有頭蝦」を彷彿させる調理法。
現在親しまれているエビチリは、日本であの陳建民さんが考案したモノでして、今や日本どころか世界で、中国でまで陳建民式が主流になっています。
ですがそこで、あえて本場本式のエビチリを、有頭ザリガニで作るとは……!?
さらにジャンは、3つの鍋を同時にふるい、大量に作り上げようとしています。
これにはさすがの良介も息を巻くしかありません。
果たしてジャンの伝統のつまった料理か、良介の最新の料理か……!?
残り時間はあとわずか!!
ジャンと河原の最後の仕上げに、勝負の行方はかかっています!!




というわけで、本戦が幕を開ける今巻。
ジャンの相手はハイテクを駆使する料理人ですが、正直言いましてそのスタンスはジャンだけでなく、本作に登場する素B手の料理人の敵となるスタンスなわけで。
ここでジャンが負けるとはだれ一人思っていないでしょう、読者の皆さんも含めて!!
となると問題はどれだけ料理人の腕と、最新機器だよりの力に差があるかということになってくるわけですが……
そこはぜひとも皆様の目でご確認ください!!

そんなジャンの活躍が描かれる今巻なのですが、他のキャラクターも存在感を発揮!!
行姫はその「五行膳」の力を発揮して驚かせてくれますし、さらにまた前作のキャラにゆかりのありそうな注目の曲者も頭角を現し始めます。
大谷一族VSジャンと言う構図は変わらないとは思われますが、そんなダークホースたちが下馬評を覆す展開も十分ありそう!!
大会の行方が楽しみでなりません!!

さらにさらに、本作で一つ軸となりそうなジャン争奪戦も過熱していきそうな雰囲気!?
基本的にはあんんが恋人を自称してジャンをゲットしようとしているようですが、そこにジャンに興味を持っているミーシャが参戦!!
にわかに湧きだしてくるラブコメ色ですが、ジャンはジャンでそんな二人にとんでもないことを言ってのけるなど、いろいろな意味でそちらも必見です!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!