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今回紹介いたしますのはこちら。


「リウーを待ちながら」第3巻 朱戸アオ先生 

講談社さんのイブニングKCより刊行です。


さて、新型ペストが猛威を振るう横走で、勝ち目のない戦いを続ける玉木達。
ペスト自体はなんとか横走内だけで感染を食い止めることができたものの、その間にも感染者は次々とその命を失っていきます。
この絶望の日々はいつまで続くのでしょうか。
玉木は今日も閉鎖された横走の中で、足掻き続けるのです。



横走が閉鎖された影響で、とうとう車のガソリンも尽きてしまいました。
昔父親と人通りの少ない山道で車が故障した時のことを思い起こしながら、玉木は徒歩で病院に向かうことにしたのです。

気が付けば病院は、様々な国の医師や自衛隊と言った様々な人物が入り混じるちょっと見ない光景が日常となっていました。
各国からやって来た医師たちも、いつ帰れるかわからないというのにわざわざ来てくれて、感謝しかありません。
ありがたいわと漏らす玉木ですが、カルロスは玉木のおかげだと言いだします。
なんでも、先日玉木が行った記者会見の様子がネットにアップされ、それが大評判になっていると言うのです。
自分の知らないところで、良くも悪くも人気者となってしまっていた玉木。
もう記者会見やらない!と声を張り上げるのですが、玉木のおかげでより注目が集まり、支援も集まっているのは事実。
玉木にはもっと頑張ってもらわなければいけない所でしょう!
そんなことを話しているとき、原神がカルロスに声をかけてきました。
なんでもスペイン語が話せるカルロスに、キューバからの医師団の通訳をしてくれ、と言うことのようです。
患者にいろいろと質問している医師団。
ですが、防護服でどんな顔をしているかも見えないものの集団に、聞きなれない言葉で質問されても、患者のほうも戸惑うばかり。
そこでカルロスがその医師たちの質問を日本語でわかりやすく意訳して質問しつつ、このお医者さんと一緒に防護服来たけど、中身はグラマーなお姉さんだよ、などとリラックスさせるような言葉も同時に投げかけてあげるという、名通訳を披露したのです!

ひと段落突いたところで、玉木に外国からの医師たちのうちに一人であるシモーヌが声をかけてきました。
彼女はどうやら、玉木の父親のことを知っているようで、そのことに関して会話を持ち掛けてきたのです。
シエラレオネや南スーダン、シリアと様々な場所で父と仕事をしてきたと言うシモーヌ、玉木の父親は勇気があってパワフルで、素晴らしい医師だったと称賛してくれます。
玉木もまた、そうですねとその称賛の言葉にうなずくのですが……
医師としては素晴らしかったかもしれないけど、父親としてはどうだったかな、と漏らすのです。
今度はシモーヌも笑いながらそれに同意します。
子供から見たら身勝手かもしれない、強引だし子供っぽいしすぐ出かけてしまうし。
玉木は、子供のころは父が助けに行く遠くの人がうらやましかった、と寂しげにつぶやき……
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シモーヌは、私も娘にそう思われないようにしないと、と笑ったあと……亡くなって残念ね、玉木の父の死を悼むのでした。

望まない一人暮らしが始まってしまった鮎沢の娘、潤月。
彼女は、隣に暮らす赤ちゃんを連れたお母さんの体調が良くなさそうなのが気になっていました。
扉越しにも聞こえる咳の音と赤ちゃんの泣き声が気にかかり、救急車を呼ぼうかと声をかけてみるのですが、ほっといてと言う叫び声が返ってくる結果となりました。
やむなく引き下がる潤月でしたが……翌日になると、赤ちゃんの泣き声だけが延々と聞こえてきます。
改めてチャイムを鳴らし、大丈夫かと声をかけるものの……返事はありません。
依然続く赤ちゃんの泣き声がどうしても心配で、潤月は自撮り棒を使って、ベランダから隣の部屋へと携帯を差し出し、カメラで撮影してみます。
すると……そこには、
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倒れ伏す母親の姿が映っていたのです!
慌てて病院に電話しても、回線が込み合っているというアナウンスが流れるばかり。
カルロスや玉木、原神もたまたま忙しかったようで、病院の知り合いにも連絡が付きません。
大家さんに鍵を借りたくでも、いち早く市外に逃げ出していて……
……とうとう、赤ちゃんの泣き声も聞こえなくなってしまいます。
潤月は……決心しました。
しっかりと手袋やマスクをして、パーカーのフードを深々とかぶり……ベランダの手すりを渡って隣室へ!
幸い窓は開いていたのでそこから中に入りますと……母親はもうすでにこと切れてしまっているようでした。
赤ちゃんも何の反応も示しません。
すぐに赤ちゃんを抱き寄せ、大丈夫!?起きて、ねえ!と声をかけると、赤ちゃんはやがて目を覚まし、また元気な鳴き声をあげ始めました!!
とりあえず赤ちゃんが生きていることに安堵する潤月。
ですがその安心が、油断を呼んでしまっていたのです。
ぐずった赤ちゃんが振り上げた手。
それが、
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マスクをはぎ取ってしまい……潤月は無防備な姿をさらすこととなってしまったのです!
ペストのウィルスの充満する、この部屋で……!!



と言うわけで、クライマックスを迎える本作。
ペストの感染者との濃厚接触者となってしまった潤月。
潤月もまた、母親と同じようにペストの感染してしまったのでしょうか。
この新型ペストに感染したもので、生還した患者はまだ誰もいません。
発症すれば、ほぼ間違いなく死んでしまう。
そんな恐ろしい病が、潤月の体を襲うこととなるのか!?
緊迫感の張りつめる、クライマックスへと一直線に進んでいくのです!!

潤月の生死もこの物語に大きく大きく関わってくることになるのですが、そんな物語とは別に、ペスト事態は収束していくことになります。
それはそうです、きっちりと隔離がされていて、医師たちもしっかり防護を固めているのですから……患者はどんな形であれ、「減っていく」のです。
そんな中で物語は、潤月と玉木、そして原神にスポットライトを当てていくわけです。
様々な、多大な犠牲を払いながら終わり行くペストの流行。
そこでその三人に起こるドラマとは……
見逃すことのできない、切なさと未来への希望にあふれるラストシーンは必見です!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!