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今回紹介いたしますのはこちら。

「はっぴぃヱンド。」第2巻 有田イマリ先生

スクウェア・エニックスさんのガンガンコミックスより刊行です。


さて、6月4日に転校して来た田舎の学校で楽しく暮らし、7月11日に殺される。
そんな日常を繰り返すことになってしまった茜。
謎の鍵となるらしい学級日誌を頼りに何とかこのループから抜け出そうとする茜なのですが、タイムリミットは容赦なくやってきます。
絶望に打ちひしがれる中、茜はとうとう自分と同じ、ループの記憶を持っている人物に出会うことができました。
それは、最年少のクラスメイト、大場さやかだったのです!


茜は6月4日から7月11日までの記憶を持ったまま、ループしています。
ですが話を聞いてみると、さやかは少しばかり事情が違うようでした。
二人が今いるのは、アカズの家と呼ばれている誰も入れなかった家の中。
さやかはカードキーのようなものを持っていまして、それを使ってこの中に入っているようです。
なのでこの家には、さやか以外のものは入ることはできません。
だからこそ、こうして、大事なものを補完することができるのです。
本棚にぎっしりと詰まった本。
そして、大きなホワイトボードにびっしりと貼られたメモ。
これが、さやかの「記憶」なのです。

さやかの学級日誌には、こう書いてありました。
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誰にもばれずに、日誌とカードを持ち、アカズの家に行って記憶を戻して相田茜と会え。
記憶としてきちんと死の間際までのことを覚えている茜に対し、さやかの覚えているモノはもっとおぼろげなものです。
いうなれば、「言葉」のような物。
自分が依然何をしていたか、何を調べていたか、ここにあるメモや資料を呼んで漠然と理解する。
そして、前の自分が何を考え、何をしていたかを理解し、その続きを探っていく……
要するに彼女は茜のように、時間をさかのぼっているという自覚はない、と言うことのようで。
それは、さやかは茜のようにタイムリープをしていないと言うことになるのか?と、茜はさやかに尋ねるのですが……さやか自身、そこまで今の状況をしっかり把握しているわけではないのです。
そもそもなぜ自分がアカズの家に入れるのかもわかっていないですし、そもそも二人の日誌とこの家がなぜタイムリープの干渉を受けないのかと言うのもわからないのですから……

ですが茜には、どうしても聞いておきたいことが一つ残っていました。
タイムリープがらみのことを話すと、その相手は豹変して自分を殺しに来る。
今のさやかとは当たり前に会話できているものの……茜は、さやかにもそれで殺されたことがあるのです。
それはどう言うことなのでしょうか。
さやかもはっきりとしたことは言えませんが、その時分はおそらくここに来なかった自分なんだろう、と予想を立てました。
ここに来たことで何が変わるのかはわからないものの、とにかくここに来たさやかは茜の発言に対するスイッチが入らない状態になるようです。
が、ここにこれだけたくさんのメモがあると言うことは、さやかは何度も何度も調査をしていて、危ない目にも何度もあったことでしょう。
何故転校してきたばかりの自分にここまでしてくれるのか?
茜はそれを尋ねてしまいます。
するとさやかは……何でだろうね、怖いからこそ恐怖を誰かと共有したかったのかな、と自問。
そしてすぐそれを否定し……ポンと手を打つのです。
あ、そうか、私、茜が好きなんだ、それが一番しっくりくる。
なんだか変なタイミングで思いもよらない言葉が出てきたことで、二人の間に張り詰めていた空気は一気に和らぎました。
そこで改めて……7月11日までの残り12日間で、茜はどうしたいのか、とさやかは尋ねるのです。
もう殺されたくない、怖い思いをしたくない。
その思いはまず顔をのぞかせます。
ですが、それはきっとさやかも同じ、だからこうして一人でずっと戦ってきたんだ。
自分がなぜタイムリープしているのかはまだ分からなくていい。
怖くてもいいから……
友達が、泣いて、助けてって言ってくれたから。
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いづみを、皆を助けたい!!

二人は早速動きだします。
まずはスイッチが入ってしまい、さやかが気絶させたいづみを調べることにしました。
危険はありますが、スイッチの入った彼女がどうなっているのかを調べるのは、謎の解明につながっていくかもしれないのですから、試みる価値はあるでしょう。
ところが、いづみのいた場所には何もなくなっていました。
綺麗に消えていた、と言うわけではなく、誰かに引き摺られたかのような跡が残っています。
誰かが荒っぽく隠した……?
そんな予想をするのが精いっぱい。
手がかりがつかめなかったのは残念ですが、二人の協力関係が強固なものとなり、絶望に幽かな光が見えたと言えるでしょう。
そして二人は、明日に備えてゆっくり休もうと解散したのです。

……が。
翌日、二人はとんでもないことが起きていたことを知ることとなります。
いづみが登校していないのです。
いや、登校していないなどと言う生易しいものではありません。
誰に聞いても、出席簿を見ても、どこを探しても。
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いづみなどと言う人物など、存在しないというのです……!!



と言うわけでまた物語が大きく動き始めた本作。
茜ひとりではどうしても限界がある謎の調査でしたが、そこで茜よりも長く調査をしていたさやかの加入は何より心強いものと言えるでしょう。
それはもちろん謎を解いて友人を助けるために、と言う面もありますが、何より茜の支えとなるのは、全てを話せる友達がいる、と言う精神的な部分でしょう。
さやかと茜は、二人になったことで力を漲らせ、さらにタイムリープの謎を深く調べていきます。
そして二人は、予想だにしなかったとんでもないものを目撃するのですが……
そこから、まさかの展開が繰り広げられることに!!
衝撃の展開が連続する本作ですが、今巻でもその手は緩みません。
おぼろげに見えてくる謎の片鱗、見えない脱出口。
茜とさやかは、その謎ばかりの暗闇の中で真実を見つけることができるのでしょうか!?
恐怖と謎、そして絶望は一層深まっていくのです……!

第1巻ではふんだんに用意されていた、友達との楽しい日常は今巻で一気に減少。
いよいよ本気で物語が蠢きだしました!!
有田先生の可愛らしい絵柄で、伏線がばら撒かれ、少女たちの命が奪われ、心も追い詰められていく。
そのギャップは今巻で一層増加しております!!
恐怖も、謎解きも、魅力的なキャラも、その清涼剤となる日常パートも、どれも欲しくなってしまう本作の今後に期待せずにはいられませんね!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!