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今回紹介いたしますのはこちら。

「電脳格技メフィストワルツ」第1巻 原作・杉井光先生 漫画・おかゆさん先生 

集英社さんのヤングジャンプコミックスGJより刊行です。


杉井先生は05年に 電撃小説大賞で銀賞を受賞してデビューした作家さんです。
様々な出版社さんのレーベルで様々な作品を発表する傍ら、13年から漫画原作業も開始し、精力的に活動されておられます。

おかゆさん先生は、10年代前半あたりから成年誌をメインに活動されていた漫画家さん。
全年齢向け漫画を本格的に描くのは本作が初めてのようでして、この単行本が初の全年齢向け作品となっております。

そんな本作、最近ちらほら見かける格闘ゲームプレイヤー漫画となっています。
気になる内容はと言いますと……




それは、壇上でピアノを奏でている時の事。
フランツ・リスト「メフィスト・ワルツ」第一番、47小節を残して……
森宮フランシスの左薬指と小指は、完全に動かなくなってしまったのです。

原因はわかりません。
心因性の何かかとは予想されるものの、これと言った治療法はなく、どんな名医にかかっても様子を見ることしかできませんでした。
こうして、世に名をとどろかせる天才少年ピアニスト、森宮フランソワはピアノの道を諦めざるを得なくなってしまったのです。

悲観に暮れる暗額関係者、泣き崩れる母。
フランは、ピアノなしで自分が何をしていいのか分からなくなってしまいました。
途切れたままのメフィスト・ワルツ、その続きが奏でられることはもうないのでしょうか。
僕の中の音楽はもう死んでしまった、と暗闇の中宙を見つめるフラン……
するとそこに、一人の女性が尋ねてきます。
となりに住んでいる幼馴染、水城彩音です。
フランソワの母親は今日も医者を駆けずり回っていると聞き、彼女はご飯も食べていないんでしょう、夕食私が作るよ、とフランの世話を焼き始めます。
レシピが見たいからとタブレットを借り、彩音はたくさんの料理を作り上げました。
ご飯を食べ終えると、歯を磨くよ、風呂入るよ、とものすごい勢いで世話を焼きまくる彩音。
流石にそれはと断り、一人で歯を磨いたりお風呂に入ったりと騒がしくしていますと、すこしだけ気持ちは落ち着いたのでしょうか、お風呂上がりに彩音が入れてくれた暖かい飲み物に自分から手をつけるくらいの元気は湧いていました。
彩音はそんなフランの髪の毛を拭いてあげながら、語りかけるのです。
そう言えば、外にCDとか楽譜がいっぱい捨ててあったけど……いいの?
……それは紛れもなく、フランの意思で捨てたもの。
自分のピアノを聞いているとつらくなる、もういらないから、とうつむいたまま応えるフラン。
彩音はそんなフランに、私は今でもフランのピアノ大好きだから、そんなこと言うと……ちょっと、哀しいな、と寂しげに言うのです。
すっかり暗くなってしまった二人ですが、気を取り直し、これからは普通の15歳になるって言うなら学校に来なよ、と彩音は話を変えてきました。
今まで音楽関係の学校に通ってきたフランですが、ピアノが弾けない今の状況、そしてその原因のわからないストレスが解消するかもしれないという希望も込めて、普通の高校に通うこととなったのです。
ですが、普通と言うものが全く分からないフランは、入学式に出たきりで学校に顔を出してすらいません。
せっかく一緒に学校生活ができると思ったのに、とむくれる彩音の誘いにも答えず、フランはいまさら普通の学校に放り込まれても困るよ、と受け流すのでした。

彩音が返った後の事。
唯一の音楽らしい趣味らしい趣味と言える、ネコ動画を見ていたフラン。
ゴロゴロしながらタブレットでいろいろと動画を探していたところ、奇妙な動画を発見します。
「モリミヤスペシャル」。
そんなタイトルがつけられた動画のサムネイルには、なぜかフランの顔がでかでかと映っているではありませんか。
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何なんだと思って見てみれば……それは何と、格闘ゲームの動画でした。
自分そっくりのゲームキャラクターが、別のキャラクターに華麗なコンボを決めてパーフェクト勝利を収めている……?
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しかもそのプレイヤー名らしい「morimiya」……モリミヤと言う名前まで同じとは一体……!?

翌日、フランは彩音に近くに大きいゲームセンターはないかと尋ねてみました。
ゲーセンはたまにプリクラを取りに行くくらいだけど、と何か煮え切らない返事をする彩音ですが、一人でフランをゲーセンに活かせるのは心配だから、と一緒に来てくれることになりました。
フランが興味を持ったのが格闘ゲームだと知ると、格ゲーなんて興味あったの?と彩音は驚いたようですが……

ゲームセンターについた後、とりあえず二人で一緒にプリクラを取り……そして、肝心の格闘ゲームのある場所へ。
格闘ゲームは地下にあるらしく、薄暗い階段を降りていくフラン。
彩音はちょっとそう言うところの雰囲気が苦手だから、クレーンゲームをやってるね、とそこまでは同行してくれないようです。
緊張の中、格闘ゲームの置かれているフロアに行くと……大勢のプレイヤーでごった返す中、あのゲーム、「アンリミテッドアーツ3」はありました。
戸惑いながら近づいていくと、ゲーム画面に気を取られていたせいか人にぶつかり、バランスを崩してしまうフラン。
その勢いで、そのゲームの対戦台の空いている席に腰かけてしまいました。
偶然だったその行動ですが、ぶつかってしまった相手に謝られつつ、プレイするのか、先にどうぞと言われてしまっては、やっぱりやらないですと断るわけにもいきません。
戸惑いながら100円玉を投入し、スタートボタンを押すフラン。
すると、あの動画と同じキャラクターらしい背格好のキャラクターは見つかるのですが、何故か顔が違います。
それでもとりあえずそのキャラを選択すると、プレイヤーデータの登録をするかと言う選択肢が出てきました。
戸惑いながらイエスを選ぶと、名前の入力をすることに。
フランは素直に本名の「morimiya」と入力しますと、今度は「ペルソナをスキャンしますか」という謎の選択肢が現れるではありませんか。
とりあえずイエスにしてみますと、なんとそれはプレイしている人の顔を取り込み、使用キャラの顔をプレイヤーのものと同じ顔にしてくれる機能だったのです!
なるほどこれで動画の謎は解けました。
でもなぜ自分がプレイしてもいないのに、動画には自分の顔pのキャラがいたのでしょう。
戸惑っていますと……にわかに、周囲のプレイヤーがざわつき始めました。
モリミヤだ、モリミヤじゃないか!
あいつってネット対戦専門じゃなかったの?
あの顔って自撮りだったのか、とものすごい勢いでそのざわつきは拡がっていき……!!
キャラクターの顔、プレイヤーネーム。
誤解されてしまう材料はばっちりそろってしまい、人違いだと言っても信じてはもらえません。
フランは覚悟を決めて、この衆目の視線が集まる中でプレイすることにします。
プレイを見てもらえばわかってもらえるだろう、と開き直り、始まったCPU戦でまずたくさんあるボタンを適当に推してみることにしました。
棒立ちのまま、ボタンだけででる通常技を振り回すフランのキャラ。
ただどうなっているのかを確認しているだけにもかかわらず、周囲は勝手にCPU戦でてのうちはさらさないってわけか、などと勝手なことを言って盛り上がってしまい……!!
どんどん焦りが募っていくフラン。
ですが、そこでゲームセンターの雰囲気が一変します。
それはその場に現れた、一人の男の影響のようです。
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先ほどまでとは違い、静かにざわつき始めるプレイヤーたち。
その男は、桜庭と呼ばれています。
なんとこの桜場と言う男、この「アンリミテッドアーツ」の初代が出た頃から天才少年として名をはせ、全国大会を総なめ、この「3」の世界大会では連覇を達成したリビングレジェンドなのだとか。
その桜庭が……迷うことなく、フランに乱入してきたのでした!!



と言うわけで、翼の折れた天才ピアニストが格闘ゲームと出会うところから始まる本作。
自分と同じ姿のキャラがいるゲームがある、ということから興味を持ったフランですが、桜庭との出会いを経てその魅力に引き込まれていくこととなるのです!
ですが世界最強プレイヤーと出会えたからと言って、ただゲームがうまくなるわけではありません。
フランはいきなり壁にぶち当たることとなるのですが、そこで……!?

本作は架空の格闘ゲームを中心に据えている為、「このゲームを知っていればより楽しめる」と言うことがないのがとっつきやすい要素となっています。
ゲームシーンもゲームと言うよりも、格闘技を描いているかのように描写されている為、格闘ゲーム漫画だと言う壁を作ることなく楽しめることでしょう。
ですが格闘ゲームへのリスペクトもしっかりありまして、ネット対戦をたしなむ格闘ゲーマーならば誰しも言ったこと、考えたことがあるであろう「光の限界」に言及したりしている、わかる人ならわかる要素を盛り込んでいるのも好感触!!
さらにそんな格闘ゲームの描写だけでなく、謎に包まれていた本物(?)のmorimiyaに関しても引っ張ることなく明かしていき、物語に組み込んでいくなど出し惜しみしない展開で、格闘ゲームファンだけに向けた作品になっているのも注目したいところでしょう!!
おかゆさん先生の卓越した絵柄でキャラの魅力や対戦の迫力も倍増していますし、ビジュアルに惹かれて買うのもありなのではないでしょうか!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!