150
今回紹介いたしますのはこちら。

「鮫島、最後の十五日」第16巻 佐藤タカヒロ先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。



さて、ボロボロの体を押して連勝街道を突き進む鯉太郎。
もはや限界はとうに超えているその体ですが、そんな時に鯉太郎には何かが見え始めます。
ですが周囲は、それでも全力以上の力でぶつかり続ける鯉太郎を止めなければならないと感じており……
そんな中で、鯉太郎の同期のライバルの一人、 関脇・天雷との取り組みが決まったのでした。



11日目。
両者すでに勝ち越しを決めているどころか、全勝と1敗と言う優勝争いに食い込む鯉太郎と天雷は、土俵上で向かいあっていました。
かつて激闘を繰り広げた二人。
お互い緊張を感じさせない表情で時間いっぱいを迎えましたが、その雰囲気は構えると同時に一変します。
まるで二人の間を中心にした暴風が巻き起こるかのような、すさまじい気迫が張りつめ……
そして、戦いの火ぶたは切られるのです!!

鯉太郎の選んだ立ち合いは当然、いつもの様な真っ向からのぶちかまし!!
その威力はすさまじいものの、天雷は歯を食いしばって踏みとどまります。
が、すでにその時鯉太郎は次の一手に備えて体を沈めていました!
再度放たれるぶちかまし!!
天雷はそれも何とか踏みとどまるものの、気が付けば鯉太郎は三度目の追撃の体勢を整えていました!
151
何とか腰を落としてそれを耐えようとする天雷ですが、流石の天雷と言えども鯉太郎の三度の突進をくらっては踏みとどまれるはずもありません。
大きく体勢を崩し、土俵際に追い詰められてしまうのです!!
それでも攻め手を緩めることのない鯉太郎、またも体を沈め、四度目のぶちかましへ!!
ぼーっとしてんじゃねえぞ!と言う石川の怒号に目が覚めたわけではないのでしょうが、天雷はとっさに手を伸ばし、鯉太郎の頭を押さえて勢いを止めにかかりました。
が、天来の剛力をもってしてもその勢いは一切止まらないのです!!
ギリギリまで追い詰められて、ようやく天雷は思いだします。
また鯉太郎と戦えるという喜びに浸り、緩んでいた気持ち。
そんなわずかなゆるみでも、見つければすぐにそこをついて首を取りに来る、それが鯉太郎の相撲なんだ。
天雷はまだまだ力を加えてくる鯉太郎の顔面をむんずとつかみ……力任せに振り払ったではありませんか!!
驚くべき天来の力!!
観戦していた兄弟弟子や石川はその力に仰天しますが、鯉太郎は一瞬で気持ちと体勢を立て直します。
すかさず突っ張りで天雷に攻撃を仕掛けるのですが、その突っ張りごと天雷は鯉太郎を押してくるのです!!
げに恐ろしきは天雷の腕力。
体重差ももちろんあるのでしょうが、鯉太郎の張りは体重280キロと言うとんでもない重さの巨桜丸ですらぐらつかせ体力を持っているわけで。
それをものともせず前に出てきたばかりか、そのまま右廻しを取りに来た天雷のその力は尋常ではないとしか言えないでしょう。
その尋常ならざる力で先に廻しを取られれば、たとえ今場所絶好調の鯉太郎でも勝負にはなりません!!
とっさに体を開いて廻しを取らせないようにしたものの……天雷は、わずかに小指一本鯉太郎の廻しの隙間に潜り込ませていました。
そして、なんと言うことなのでしょうか。
小指一本の力で、
152
鯉太郎に投げを見真ったのです!!

流石に指一本で取った廻しでは、しっかりとした投げが放てるはずもなく。
それでも抜群の威力を持っていた投げですが、何とかその右下手を切って投げから逃げる鯉太郎。
鯉太郎の猛烈な勢いは、時として対戦相手の気持ちにも火をつけ、上のステージへと引っ張り上げることがあります。
天雷もまたそうして一段登ったと言っていいのでしょうが、今回に関してはそれだけではないようです。
天雷のその力によって、鯉太郎もまた一段上に引っ張り上げられているのです!!
またも体を沈め、次なる攻撃へ移る鯉太郎!!
天雷は、ぶちかましか、もう効きはしない!と鯉太郎のぶちかましを迎え討とうと態勢を整えるのですが……
そこで鯉太郎はまさかの諸手突きで天雷の顔面をつきあげたのでした!!
そして更なる諸手突きで追撃を狙う鯉太郎!!
しかし意表をついた一撃を見舞ってなお、天雷の体勢は崩れません。
それはまるで、巨大な岸壁を必死で押しているようで……
そこで鯉太郎は、思いもよらない戦法を繰り出したのです。
細かく、素早く、それでいて力のこもった突きを連続で繰り出し、一気呵成に詰め寄っていく……
まるで
153
在りし日の飛天翔、石川を彷彿とさせる戦術を!!!



と言うわけで、VS天雷戦が完全収録された今巻。
今まで数々登場してきた鯉太郎のライバルたちの中で3本の指には入るであろう強敵の天雷。
その天雷との戦い、それも序の口以来久々の戦いとなれば、盛り上がらないはずもありません!
いつも以上に気合の充実する鯉太郎、そして天雷も求め続けていたこの戦いに燃えています。
ですが、鯉太郎は今日の一番に全力で挑むことしか考えていないのに対し、天雷にはある思いが渦巻いていまして。
その思いが戦いに何らかの影響をもたらすのかはわかりません。
戦いの行方に影響をもたらすかどうかはわからないものの、天雷のその切実な思いは本作のこれからを左右するカギにつながるものにはなっています。
天雷の想いは届くのか。
ただ現在だけを見つめ、戦い続ける鯉太郎は。
二人のどちらに勝利の星は輝くのか、その先に待っているものは?
熱戦の決着と天雷の想いのたどり着く場所を見逃してはいけません!

そしてその後、同じ日に行われるあの人物の取組がスタート!!
鯉太郎の様子も非常に気になるところですが、本作を語るには欠かすことのできないあの人物の相撲も注目しないわけにはいかないでしょう!
こちらも必見ですよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!