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今回紹介いたしますのはこちら。

「ピーター・グリルと賢者の時間」第1巻  檜山大輔先生 

双葉社さんのアクションコミックスより刊行です。


檜山先生は00年代中ごろから別名義でイラストレーターとして活動を開始、06年に スクウェア・エニックスさんの漫画賞を受賞して漫画家デビューされました。
デビュー後はその流れでガンガン系列の雑誌をメインに活動、10年代中盤くらいから活動の幅をひろげ別の出版社さんの雑誌でも連載するなど、精力的に活動されています。

そんな檜山先生の最新作となる本作、ジャンルで言えばラブコメとなっております。
ですが普通のラブコメとは大きく毛色が違うようで……



一人の男が、万雷の歓声で湛えられていました。
彼の名はピーター・グリル。
世界一の強者を決める絢爛武闘祭で、見事優勝!
これで彼は名実ともに地上最強の男となったのです。
控室に戻ると友人にも祝福され、同じギルドに所属しているミミというオーガ族の後輩の女の子もいの一番に駆け付けてきてくれます。
ですがミミ、その目的は祝福の言葉をかける、というものだけではないようで。
どうやら自分が一番乗りみたいっすね、とまわりをきょろきょろと見回した後、ピーターにとんでもないお願いをしてきたのです。
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先輩の子種を頂戴したいんすけど、構わないっすか!?
……思わず飲んでいた飲み物を吹き出してしまうピーター。
一体この娘っ子は何を言っているのでしょうか。
ミミは周りを気にしていましたが、実際周囲にはたくさん人がいる状態。
だと言うのにそんなことを言われてしまえば、当然好奇の目が注がれるわけで……
ですがミミ、何故そんな視線が向けられるのか本当にわからない様子。
オーガ族は強い子孫を残すことが本能的な優先事項だとのことで、地上最強であるピーターの遺伝子がほしい、と思うのは自然なこと、だと言うのですが……
そんな常識、オーガ以外からすれば非常識以外の何物でもございません。
しっかりそのことを注意しますと、ミミは反省したようなのですが……それでも、ミミの要求が引っ込むことはないのです!!
そんな暴走気味のミミを諫める人物が現れます。
彼女はミミの姉であるリサ。
そのあたりにしておきなさい、ここは大人しく引き下がりなさい。
そう言うリサなのですが、やはり彼女もオーガ。
その後に、この方の子種は私がいただくのですから!と付けたすのです……

ピーターの友人であるティムが教えてくれました。
10年に一度行われる絢爛武闘祭は、国家間の代理戦争と言えるほどの影響力を持っているとのこと。
多くの国家が自国の武力を誇示するためにこの大会での優勝を狙っていまして、それぞれの国家は強者の育成に力を入れています。
となれば……次の、あるいは次の次の戦いで活躍する人材を作り上げるために、地上最強の遺伝子を手に入れようと動き出すものが現れるのも当たり前だと言うことなわけです!!
リサとミミは、強者の血はオーガに取り込まれるべきだ、と積極的にピーターを狙うのですが……!!

ピーターには、心に決めた人物がいるのです。
ルヴェリア・サンクトゥス。
文武両道、眉目秀麗な美少女にして、ピーターの所属するギルド調の娘でもある彼女と、ピーターが交際を始めて早2年がたとうとしていました。
あとはギルド長の許可をもらって結婚するだけ、そしてこの絢爛武闘祭の優勝と言う手土産を持っていけばその許可も出さざるを得ないでしょう。
順風満帆。
そう見える二人の関係でしたが、そこに一つだけ大きな大きな問題があったのです。
後は子供を授かるだけだというルヴェリアなのですが、では赤ちゃんはどこから来るのでしょうか、と言う問いにはこう答えるのです。
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神様にお祈りして、コウノトリにキャベツ畑まで運んできてもらうんだ、と……
娘さんが大大大好きなギルド長の、蝶よ花よと言う教育のたまものによって。ルヴェリアにそっち関係の知識は全くのゼロ。
なんとか本当のことを教えようとしては見たものの、そこは排泄機関だろう、と取り合ってもくれず。
このまま結婚すれば、生涯子供を授かることもなく「お祈り」を続けることになるのでしょうか……

リサとミミのアプローチもですが、ルヴェリアのこともあってピーターはぐったりと憑かれてしまいます。
ですが明日は大々的な祝勝会が予定されているわけで、磯が少なるのは目に見えています。
しっかり休んで備えよう、と部屋に入ると……
ベッドの上で、ミミが待ち構えていたのです!!
抱いて下さいと言うミミをポイっと部屋の外に投げ捨てるピーター。
しかしまだ中にはリサがいたりします。
それも投げ捨てるのですが、当然納得いかない二人!!
半裸の格好でギャーギャー騒ぐ二人を放っておけば何を言われるかわかりませんから、とりあえず中に入れて冷静に対処しようとするのですが……リサはこんなことを持ちかけてくるのです。
知ってますよ、あなたとルヴェリアの関係は。
けれど私ならば、あんな女よりもきっとあなたを愉しませて見せます。
誘惑してくるリアを突き飛ばし、ピーターはきっぱりと言い切りました!!
俺がそんな最低な男に見えるのか!!
俺とルヴェリア先輩は将来誓いあった仲なんだぞ、こんな裏切りが許されるはずがない!!
絶対に、オーガなんかに屈したりしない……ッ!

翌朝。
そこには
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結局二人の誘惑を断り切れず、屈してしまったピーターの姿があったのでした……



と言うわけで、ピーターの受難の日々が始まってしまった本作。
普通のラブコメならばここで鉄の意思を貫き通して拒むものの、それでもなお仕掛けてくるあぷろーつを必死に耐える、と言うお話になるのでしょう。
ところが本作、実にあっさりとその予想を裏切ってくれます!!
それでもルヴェリアと添い遂げようとするピーターですが……
紹介した部分でもありましたように、彼の遺伝子を狙っているのはオーガだけではございません!
オーガ姉妹だけでも断り切れず、さらなる攻めすら予想される中、別の種族の美少女まで迫ってきたら……!?
ピーターの受難は、まだまだ続いていきそうです!!

本作の目玉はそんな積極的な異種族の女の子からのアプローチによるサービスシーンと、ところかまわずやって来るアプローチから生み出されるピンチです。
ばれたらヤバすぎる状況でもたらされるエロスなトラブルに冷や汗をかくピーターの様子を滑稽に描いていくのが本作の基本となるわけですが、魅力はそれだけではございません。
異種族ヒロイン達はもちろんの事、ルヴェリアも可愛らしいですしいいキャラをしています。
そしてルヴェリアの父であるギルド長もインパクトあるキャラとなっていまして、本作のいろいろな部分でのカギを握っている重要なポジションを務めています!!
ピーターとその遺伝子を狙うヒロイン達と言う要素だけでなく、ピーターとルヴェリアとギルド長という三人の関係にも要注目!!
羨ましいような羨ましくないような状況に追い込まれるピーターですが……何とか、平和な日々を取り戻してほしいものです……!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!