sb0
今回紹介いたしますのはこちら。

「しったかブリリア」第1巻 珈琲先生 

講談社さんのアフタヌーンKCより刊行です。


珈琲先生は10年代前半ごろから別名義で、成年向け漫画をメインに活動をされていた漫画家さんです。
15年から現在の名義で一般紙に進出し、「のぼる小寺さん」の連載を開始。
17年に2年間にわたる連載を終えましたが、その年のうちにアフタヌーンで本作の連載を開始しました。

珈琲先生の最新作となる本作は、前作「小寺さん」のひたむきに一つのことに打ち込む主人公像とは全く逆の、でもある意味で同じ部分も持ち合わせている男女を主人公としたお話となっています。
一体どんなお話なのかと言いますと……?



チビはモテない。
そんな衝撃的な言葉にショックを受けた、白浪理助。
彼は高校時代、ある少女に恋をしました。
彼女と付き合いたい、チビの自分でも。
そう考えた理助は、猛烈な勢いで自分磨き!!
体を鍛えまくって体はバッキバキに、女性の心をつかむために様々な本を読み漁って知識をつけ、そしてクラスメイトとの絆も深めて体育祭でクラスを優勝に導く!!
これだけやってモテなきゃ嘘だ、と理助は会心の手ごたえを得て、彼女、加古川姫姫に告白を決行!!
見事その告白は受け入れられたのです!!
……が。
ほどなく、自分より大人で頭良い人じゃないと魅力感じない、つまんないから別れよ。
姫姫からそう切り出され……理助の短い春は終わったのです。

女なんて悪魔だ。
アイドルなんかにうつつをぬかすな、女に夢を見るな。
俺達の目標は卒業、就職、キャリアを積んで企業!
夢はでっかく!!
そう友人に釘を刺す理助は、とある大学の2回生になっていました。
過去のトラウマが今だ癒えず、女性に対していろいろ斜に構えてしまうようになっていたのですが……それがいきなりがらりと変わる出来事が起きてしまいました。
理助のサークルに入ってくれるという、新入生の濱崎みなとみらい。
彼女の姿を一目見て、理助は瞬く間に一目ぼれしてしまったのです!!

理助は、みなとみらいにあいさつ。
同じサークルの女性は、理助のことをみなとみらいに紹介し始めます。
sb1
サークルを3つ運営していて、学年首席で、三か国語話せて、国際ボランティアやってて、スポーツ万能で、クラブDJもやってて、スタバのバイトリーダーもやってる、白浪理助、と。
なんだかものすごすぎる肩書ですが……実はその9割が嘘!!
ひとから頼られたいと大きい話をしているうちにだんだんスケールが大きくなっていってしまい、にもかかわらずなぜか周りのみんなが信じてしまい、こんなことになってしまっていたのです。
もともと勤勉でストイックなところがある理助ですから、その態度がみんなを錯覚させたのかもしれません……
みなとみらいは、3か国語と言うのは!?と驚きながら田主んてきました。
フランス語と……オランダ語かな、ととりあえず答える理助ですが、そのとりあえずが割と大きなダメージを生んでしまいます。
すごい、実は私もオランダ語専攻なです!
そういうみなとみらい……もちろんでまかせですから、細かいことを突っ込まれては一気にぼろが出てしまうでしょう。
へー、それは……俺は専攻じゃないけど、話が合いそうだね!と……またとりあえずお茶を濁すのです。

ちなみにこのみなとみらいも、ちょっと困った部分があるようです。
先ほどの理助のサークル仲間の女性と講義に向かったのですが、そこで理助がみなとみらいに気があるようだ、と言われてしまいまして。
あの肩書は本当なのか?と言うところから理助に関しての話が始まったのですが、サークル仲間の女性は、実際自分より10センチ以上背の低い人は男として見れなくないか?と言いだしたのです。
みなとみらいは……そうですね、私はもっと大きくて頼りがいのある人がいいです、と答えます。
が、質はそれ、彼女の本心と言うわけではありません。
人となるべく角を立てず、円滑なコミュニケーションを取りたい。
そう思っているうちに、彼女は自然と……
sb2
同調圧力にあっさり流される人物になってしまっていたのでした!

翌日。
みなとみらいの空き時間にうまく出くわし、理助は彼女をカフェに誘うことに成功しました。
彼女とお近づきになるために情報を収集しようとする理助、彼女がここでフランス語とオランダ語をマスターしてベルギーに行きたい、という夢を持っていることを知ります。
最初はあるバンドがきっかけで興味を持ったものの、知れば知るほど文化や食や街並みが好きになってきた、とその動機を語り、メジャーすぎずマイナーすぎない国を目指してる女、これはカッコいい!と自分で悦に入っているみなとみらい。
そこで理助は、そのきっかけのバンドは何なんだと尋ねます。
女性ボーカルの何チャラと言うバンドだ、とみなとみらいが答えますと、理助は、ああ知ってるよ、良いよね、繊細な歌詞に心に響くサウンド、ダイレクトに感情に訴えかけてくるボーカルの表現力……と、そのバンドをほめちぎります!!
わかります?大好きなんです、と言う驚くみなとみらいですが……実は理助、女性ボーカルと聞いてそれっぽいことを言っただけ!
そしてそのまま話題を変え、ベルギーで何をしたいんだ、その国が好きってだけで無計画に言った外国人が安定した職を見つけられるとは考えられないもんね、と攻めに転じるのです!!
志の高さ、と言うものを教えてやる、そしてみんなと同じように俺を尊敬するがいい。
そうひそかにほくそ笑む理助、そして実はなんちゃってベルギストなみなとみらいは……うろたえ……そして、日本語を教えます、ととっさに返しました!!
供給が少ないからこそ穴場、ビジネスの基本だ、と何となくそれっぽいことを言うみなとみらい。
理助も内心うろたえながら、そうだね、と頷くしかないのですが……!!

その後、理助は「ベルギーに行ったことがある」と言う嘘をつき、一瞬ばれそうになりながらも軌道修正、まんまとみなとみらいをだましきり、お焦がれの視線を獲得することができました。
まずは一歩前進、とご満悦の理助ですが、そのうれしさでいつもより背が高く見えるシークレットシューズを履いていたことを忘れ、階段ですっ転んでしまいました。
幸か不幸か落下先に人がいて、理助もその人物も大けがを回避。
理助はすぐその人物に謝るのですが……
なんという運命のいたずらなのでしょうか。
その人物……あの因縁の相手、加古川姫姫だったのです!!
突如目の前に現れてしまった、
sb3
理助の過去を知る女……!!
春の再来かと思われた矢先に飛び込んできた嵐……
理助が必死に築き上げてきた大学生活、どうなってしまうのでしょうか!?



というわけで、理助、みなとみらい、そして姫姫という癖のある三名によるアレコレを描いていく本作。
人間と言うものはついつい人に良く見てもらいたくて、つい知ったかぶりをする、と言うことはままあるもの。
それがちょっとばかり行きすぎてしまった理助、そしてそんな理助に惚れられたことで振り回されてしまいながら、自分は自分でいろいろアレなことをしてしまうみなとみらい。
そんな二人だけならば、なんだかいろいろありながらも最終的には収まるところに収まりそうな感じなのですが、姫姫が登場したことで一気に事情が変わってしまうのです!
完全に自分の事情で理助を振った姫姫ですが、久しぶりに再会した彼女は……!!
理助の過去を知る、つまり嘘で固められた理助が張子の虎である事を看破しうる存在となる彼女を前にして、理助とみなとみらいの関係はいかなるものとなるのか!!
ハラハラドキドキ、それでいてなんだかニヤニヤしてしまう三角関係が楽しめるわけです!!

前作の「小寺さん」は、無口な少女のひたむきな姿を見て主人公たちの心が動かされるお話となっていました。
今回はまるで逆、口先で周りの人の心を動かそうとする主人公なわけですが……本作のステキなところは、まず理助がただの口だけさんではないことでしょう!
嘘を固めるだけでなく、体を鍛えることや嘘がばれないようにいろいろな知識を磨きあげるなど、目的はちょっとアレとはいえすごく頑張り屋さんなのです!
そして表の顔はきざな男でありながら、実際は相当なシャイボーイであることも好感が持てたり。
対するみなとみらいも、流されやすいだけではない、いろいろな個性を持っておりまして……
挑戦的な顔を見せてみたかと思えば可愛らしくもポンコツめいたところを見せてくれまして、こちらもほほえましいキャラとなっているのです!
勿論姫姫もなかなかのキャラをされておりますので……三者三様の強烈なキャラのやり取り、思う存分お楽しみください!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!