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今回紹介いたしますのはこちら。

「虎子、あんまり壊しちゃだめだよ」第1巻 ぬじま先生 

白泉社さんのヤングアニマルコミックスより刊行です。


ぬじま先生は10年代中ごろから活躍されている漫画家さんで、連載デビュー作は「歌うフッドフォン娘」。
そちらはとある少女一人にスポットライトを当てていく日常コメディと言った作品でしたが、本作もまたある特徴を持つ少女が主役となる物語。
ではどんな特徴を持っているのか、と言いますと……


私立大葵学園。
ここは、全国から様々なトラブルを巻き起こした問題児たちが集められる、掃き溜め……もとい、駆け込み寺のような学校です。
そんな大葵学園の1年E組に、一人の女の子が飛び込んできました。
大ニュースだと勢いよく駆け込んだ彼女ですが……教室の中ではとんでもないことがおこっておりました。
一人の女生徒が、クラスメイトの男子を蹴倒している、という!!

蹴り飛ばした女子のほうは、クラスのリーダー的存在といえる鷹野。
そんなことをしていたにもかかわらず、ケンカを売ってきたから買っただけだと平然としている鷹野は、今飛び込んできた女子、兎洞……通称ローターにどうしたのかと尋ねました。
さすが大葵だけあり、こんなことはそれほど珍しくないようで、ローターもすぐ気を取り直し、その大ニュースについて言及を始めました。
なんでも、転校生が来るとのこと。
ですがこの大葵学園、その実態からして転校生が来ることなどそれほど珍しいことではありません。
一体ローターは何をもって大ニュースなのでと言うのでしょうか。
それは、その転校生の来歴にあると言うのです。
なんとその人物、核の持ち込み以外はたいていやっているとまで噂される超極悪人なのだとか。
とにかくすっごい凶悪・凶暴なモンスターらしいよ、とローターは言うのですが……
いくらなんでもそんな学生、いるわけがありません。
鷹野はもちろん、ローターと仲のいい友達である猿間と雀森も全く信じておらず、やれやれと言った表情を浮かべるばかり。
とうとう頭までやられたか、そんなもん誰が信じるんだ、とものすごい罵倒の言葉まで浴びせかけます。
が、ローターはそれでもその転校生の噂を続けました。
他校の友達に聞いた本当の話で、前の学校では教師も生徒もみんな半殺しにしたとか、クマを殴り殺したり、ビルを倒壊させたりしたらしい……
もしそれが本当だとしたら、もはや人間の息ではないでしょう。
とうとう猿間や雀森も怒りだし、ふざけたハッタリ野郎だ、やっちまおう!と鷹野と息を合わせ始めるのです。

そんな緊張感の走る中、教室に先生が入ってきます。
そして噂通り、転校生を教室内に呼び込んだのです。
その転校生は、教室の扉を破壊して入ってきました。
が、そのまま荒々しく入ってきたかと言うとそうではなく、すみませんすみませんと謝りながらおどおどと入ってくるのです。
ざわつく教室内ですが、先生はそのまま自己紹介するように促しまして……
その転校生の名は、虎沢愛子。
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大きな体に見合わない、小動物のように体を震わせている姿が印象的な少女でした。
その様子を見て問題児たちはいじめる対象になるんじゃないかと野獣の感を働かせ、早速ちょっかいをかけ始めます。
クラスメイトや教師たちを半殺しにしたって噂は本当ですか、とにやにや笑いながら質問する男子。
教師はふざけた質問はやめろと諫めようとするのですが、虎沢の返事はこんなものでした。
違うんです、事故なんです。
……事故、と言うことは……その事実はあったと言う事、のようにも取れますが……
すぐに、あ、何でもないですと訂正した虎沢。
そこで次にビルを倒したとかなんでそんな嘘をつくんですか?と言う質問が投げかけられます。
その質問に対しても、あれはきっと建物が老朽化していたからで、となんだか気になる返答。
クマを殺した件については、クマはクマでもツキノワグマだからとても小さくて、とハムスターくらいの大きさを手で作って弁明するのです!
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そんなやり取りを見て、とうとう鷹野の堪忍袋の緒が切れてしまいました。
殺気から聞いてればテキトーなことばっか言いやがって、バカにしてやがるな?
なめてんだろてめぇ!
鷹野はそうすごんで、虎沢のネクタイをつかんで脅し上げ、化けの皮をはがしてやるとさっそくパンチを放ったのです!!
虎沢は……防戦一方。
ですが殴り放題蹴られ放題なのに、そんなことしたらパンツ見えちゃいますよとなんだか余裕のセリフを言うではありませんか。
やがてとうとう我慢ができなくなったのか、鷹野の拳と胸元を抑えて制止しようとする虎沢。
落ち着いて、じゃないとわたし力加減が……
という虎沢の言葉など関係なしに殴り続けようとする鷹野。
すると……虎沢は
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そのまま、誤って鷹野の服を破り裂いてしまったのです!!
……喧嘩っ早く肝も座っている鷹野ですが、実は根が乙女でして。
ピタリと動きを止め、ゆっくりと後ろを向いて胸元を隠してしゃがみ込んでしまうのです……

そう、超極悪人と言うのはおいておいて、多くの人を半殺しにしだとか、クマを殴り殺しただとかはすべて本当。
虎沢愛子は……その制御しきれない超怪力で様々なトラブルを起こして前の学校に居づらくなってしまったという、他の面々とは違ったタイプの問題児!!
彼女がやってきて、大葵学園1年E組に大きな変化をもたらすことは……間違いなさそうです!!



と言うわけで、虎沢、通称虎子がやって来て物語が初めう本作。
虎子はそれはもうものすごい力を持っておりまして、早速このクラスでも距離を置かれることとなってしまいます。
が、虎子はそれでも何とか友達が欲しくて……
そんな彼女の心の隙間(?)をついて、いろいろ仕掛けるのが鷹野たち。
人懐っこいローターをけしかけていろいろ情報を得ようとするのですが……やっぱりそうはうまくいかないもの!
友達が欲しい虎子、そんな彼女の周りであーだこーだするみんな、そんな感じで本作は進んでいくのです!!

こう言った漫画では結構すぐにメインキャラと主人公が仲良しになってトラブルはあっても楽しく平和な日常になっていくもの。
それはそれで大変結構なのですが、本作はちょっぴり違うようです。
虎子は虎子でその強すぎる力のせいでトラブルを起こしまくりますし、周りと取り巻くメインキャラの4人もみんな問題児ですから、そう簡単に仲良しにはなりません!!
なんなら関わり合いにならないようにするくらいの勢いなのですが……
ちゃんとその後、いろいろあって絡まざるを得ない感じになっていくのです!!
一巻の段階ではまだまだちゃんとした友達とは言えない虎子と4人ですが、それでも確実に距離は縮まっているような。
鷹子、猿間、雀森、ローターと、それぞれ個性豊かでそれぞれかわいらしいキャラクターがそろっており、キャラ的な魅力は十分!!
虎子だけではなく4人もまた、問題児でありながら抜けていたり、腕っぷしがからっきしだったり、みんな違ったポンコツ的なかわいらしをも持ち合わせているのです!
虎子とこれからどんな毎日を送っていくのか、楽しみでなりませんね!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!