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今回紹介いたしますのはこちら。

「死人の声をきくがよい」第10巻 ~週末のアポカリプス!!編~ ひよどり祥子(うぐいす祥子)先生 

秋田書店さんのチャンピオンREDコミックスより刊行です。


さて、岸田と幽霊の早川さんが奇妙で奇怪で危険な事件に巻き込まれていくさまを描いていく本作。
早川さんが現世に残っている理由と言う最大の謎を残しながら、それはおそらく最終回の近辺まで取っておきつつ、今日も今日とて恐怖の事件に挑むのです。



岸田は、お母さんの実家にやってきていました。
元気だった曾祖母が突然なくなってしまい、お葬式に駆け付けたのです。
ですが岸田、この実家に来るのは久しぶりですし、そもそもきたことも数えるほどしかありません。
実は岸田のお母さん、駆け落ち同然でこの家を飛び出してきたという過去を持っておりまして、どうにも実家に行きづらい感じになっていたのです。
岸田が覚えている曾祖母との思い出と言えば、自分と自分より少し年下の親戚、みどりちゃんで曾祖母の前に座らされ……何やら吟味されたことくらい。
ちなみにみどりは「ちと弱い」と評価され、岸田は「見込みはありそう」とのことでした。

そんな曾祖母ですが、今も例となって自らの遺体をにらみつけています。
200まで生きる気だったという自分の突然の死が受け入れられないのでしょうか?
無念そうな瞳が印象的です。
ふと気になって後ろを振り返りますと、早川さんが何やら手招きをしています。
今までも彼女のこう言った思わせぶりな行動には助けられてきました。
今回も彼女の誘いに乗っていきますと……とある部屋を開けろ、と指示してきました。
その部屋、いかにも嫌な雰囲気が漂っています。
引き手には蛆虫のような虫が這っていますし……気の李はしないものの、恐る恐る扉を開ける岸田。
すると、広い部屋の畳敷きの奥に、板張りの空間があり……そこに、大きな岩が鎮座していたのです。
その岩、どうもこの世のものではなさそうです。
触ろうとするとすり抜けてしまい、その奥に何かがありそうなのですが、それも霊的なもので、物質的には何もない壁があるだけ、の様子。
そうこうしていますと、何してるの、と声をかけてくる人物が。
いつもの様に嫌なものを感じて鼻血を出していた岸田に、その人物はティッシュを差し出してくれました。
最初はぴんと来ていなかったようですが、どうやらその人物……あの思い出のみどりのようです。
以前はいつもムスッとしていたものの、なんだかんだ岸田がお気に入りだったようで、お別れの品として蛇の抜け殻をくれるような、なんといいますか、元気な女の子だったのですが……今やすっかり落ち着いて、中学生になっていました。

そんなみどりとともにやて来た、葬式の会場。
そこでみどりは、「言い伝え」覚えてる?と話を振ってきました。
数百年前にこの地にいたという人喰い鬼。
毎年若い娘を生贄にして難を逃れていたが、そこに行者がやってきて祈祷して鬼を岩屋に封じ込めた。
それを引き継いだのが我が一族だ……
その念一度の祈祷を行う日と言うのが、あろうことか今日だというのです。
くわえてその祈祷の方法も、曾祖母しか知りません。
庭に鎮座している石像を祀って何かするのだと言うことは間違いなさそうなのですが……
その祈祷は本当に重要なものだったようで、あのこの世のものではない岩がわずかに動き、その後ろから何かが出てこようとしています。
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早川さんは閉じて、とジェスチャーで伝えてくるのですが、その閉じ方がわからないのが難しい所!
やむなくそのまま葬式に出席するのです。

が。
その葬式でとんでもない事態が起きてしまうのです。
木魚の音が鳴り響くなか……顔面に大きな穴の開いた、君の悪い怪物がうろつき始めたのです!
あの岩の後ろの穴から出てきたのでしょう。
どうしよう、と岸田が冷や汗を流していますと、その怪物は念仏を上げている住職の耳元で何かを囁き始めたのです。
すると住職はかっと目を見開き、立ち上がって奇声を発したではありませんか!

しばらくすると住職は落ち着いたようで、すみませんと謝ってきたのですが、実際はやはりまだ落ち着いていなかったようです。
どうぞご心配なく。
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そう言いながら、バリバリとガラスのコップをかみ砕き、治をしたたらせながら笑うのですから……

飛んだ騒動だった、と集まった親戚たちは口にしながら、食事をとろうという段階になっていました。
代わりの住職は明日とのことで、お葬式は仕切り直しにするようです。
が、驚くべき事態はまだ終わっていません。
弁当箱を開けると、その中にはうじゃうじゃと蛆虫のような虫が這っていたのです!!
たちまちパニックになる会場。
やはり祈祷をしなかったたたりなのか?
口々にそんなことを言う親戚たちですが、ひとりみどりだけは笑みを浮かべています。
もうすぐよ。
みどりのその言葉に呼応するかのように、地響きが起こります。
それは、あの岩戸がゆっくりと開いていく証でした。
奇妙な鳴き声とともに、それを歓迎するかのような素振りを見せる怪物達……
そして、みどりは邪悪に笑うのです。
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出てくる、500年ぶりに出てくる。
蛆虫を頬張り、怪物の声に耳を傾けながら……



と言うわけで、母の実家で恐ろしい事態に巻き込まれてしまう今巻。
どうやらあの顔に穴の開いた怪物は、人の心に語り掛け、自分とたちの考えで侵食してしまうような力を持っているようで。
住職に続いて、みどりが魅入られてしまったのです。
このまま放っておけば、あの岩戸は完全に開き、怪物が大勢でてきてしまうことでしょう。
そうなれば親戚中が魅入られ、大変なことになってしまうことは間違いありません。
それを防ぐには、祈祷をするしかないのですが……
果たして岸田と早川さんは、祈祷の方法を探し合って岩戸を閉じることができるのでしょうか?
親戚に犠牲者を出さずに事態を収められるのでしょうか!?
前後編でお送りする本エピソード、その落ちも含めて……必見です!!

もちろんこのほかにも様々なお話が用意されております。
珍しく魔子の仕事仲間が登場し、その類まれなる能力を披露するお話。
なんだかんだまだ岸田を狙っている感じの江口さんとともにご飯を食べていると、そこにとんでもない客がやって来るお話。
オカ研の面々でやって来たビーチで、思いがけないものに襲われるお話。
そして、小さいころの岸田と早川さんの友達だった、タケオ君にまつわる不思議な出来事を描くお話……
そんな、全5編が収録されております!!
ごらんのとおり、今巻ではお話ごといつもとは違ったメンバーが活躍してくれます。
魔子の意外な側面、江口さんの予想外のタフさ、式野部長の最強キャラぶり、激レアなしゃべる早川さんと、見どころばかり!!
血潮が飛びちるスプラッタ、亡霊蠢くホラー、予想外のクリーチャーの出るSF風味、そして恐怖と紙一重のコミカル。
それらが今巻もたっぷり楽しめるのです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!