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今回紹介いたしますのはこちら。

「アカイケモノ」第2巻 中平正彦先生 

集英社さんの画楽コミックスより刊行です。


さて、突如町ごと閉ざされた空間に呑み込まれてしまった赤矢。
その空間は常に真っ暗な闇の中に包まれ、そして光り輝く怪物たちが跋扈し、人間を殺していく地獄のような場所です。
ですがその怪物は、もともと空間を隔てる「壁」に触れたことによって変身してしまった元人間!!
赤矢もまた怪物に変身してしまうのですが、赤矢は人間としての意思を残していました。
そして、怪物でありながら怪物を殺す「怪物殺し」となる道を選んだのです。



悪夢にうなされ、赤矢は目を覚ましました。
そこは、いつも通っている学校の教室です。
慌てて服をたくし上げ、自分の胸を見てみる赤矢。
そこには、同族殺しの咎の証として刻み付けられた赤い傷……烙印はありません。
もしかしてあの戦いは夢だったのか?
そう思いたかった赤矢ですが、朝になるというのに真っ暗なままの教室が、あの恐怖の空間が現実のものであったことを現しています。
悪夢はまだ続いている。
夜の闇より暗い外を確認するかのように窓から顔をのぞかせる赤矢ですが、校庭で何か奇妙なことをしている人物を見つけました。
ライターで教科書に火をつけ、たき火をしている……この学校の女生徒らしき人物を。

恐る恐る校庭に出て、その女生徒に話しかける赤矢。
すると彼女は、人懐っこい印象の笑顔でこちらを振り向き、親しげに話しかけてきました。
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おはようです赤矢先輩、日が出ない所為なのか冷えますね!
……自分の名前を知っている……?
いまひとつ彼女が誰なのかぴんと来ない赤矢なのですが、彼女はそれも察して自己紹介してくれました。
河島佳菜、1年生、先輩と同じハードル走やってます。
と言っても私、幽霊部員だからわかんないですよね?
彼女が誰かはそこで初めて分かった赤矢でしたが、その顔には見覚えがあります。
部活で……ではなく、昨日切り殺してしまいそうになった怪物の一人として。

佳菜は、どうして赤矢が学校にいるのかと聞いてきました。
気が付けば学校にいた赤矢は、素直にそう答えるのですが……佳菜はそれではダメだというのです。
無意識のうちに今までの慣習に倣ってしまったんだと思うけど、それじゃダメだ。
ここは今までとは違う全く別の世界なんだから、早く慣れなければ長生きできない。
自信満々にそう言う佳菜は、「少しは」なれたという立場からアドバイスをしてくれます。
まず覚えておかなければいけないこととして教えられたのが、変身には制限時間があること。
その時間はおよそ9分。
その時間を忘れて飛び回っていたりすると、高空で変身が解けて墜落してしまい……そうして死んでしまうモノだって少なくない。
そうやって喜々と語る佳菜を、赤矢は信じられないとでも言いたげな目で見つめ、人があの怪物に殺されているんだぞ、とその態度をとがめようとしました。
ですが佳菜は、そう言う赤矢にこんな指摘をするのです。
怪物に変身すれば、街を覆う黒い壁を壊せるって考えなかったんですか?と。
自分を強大な力を持つ怪物に変身させて「くれる」壁。
それを破壊しようなんて考えられるわけがない……
つまりこの壁は、人間も怪物も壊せない。
自らも怪物の一人であるという現実、そしてここから出られないという現実。
その二つに打ちのめされながらも、この空間は一体何なんだ、と佳菜に尋ねる赤矢。
当然佳菜もそれを知るわけもありませんが、佳菜はこの世界を気に入っていると言います。
誰もが自由に怪物にも人間にも……強者にも弱者にもなれる公平さ。
それは、非凡な才能に恵まれていた赤矢にはわからない気持ちだ、と。
非凡、と言う言葉。
赤矢はその言葉を受けて、今思えば一流のアスリートらしい態度を取るべきだった、と後悔します。
非凡と言う言葉に気後れし、他の部員との関係をほとんど経ってしまった……
そのせいで、いわゆる普通の部員からは毎日才能の差を見せつけられる「毒」扱いまでされてしまい。
それによって、部を去ったものも少なくないのです。

気が付けば、
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佳菜は赤矢に拳銃を突き付けていました。
高校陸上のホープで学校の有名人、部員たちの憧れとなるべき人物だった赤矢。
実際は部の空気を悪くするだけの邪魔な存在、
死ねばいいのにってずっと思ってました。
鋭い目つきでそう告げる佳菜に……赤矢は、素直に謝り始めます。
ごめん、そこまで嫌われてるとは思わなかったよ。
特に今は怪物殺しだ、悪口を言われるだけじゃ終わらない……そうだろ?
その態度を見て、先輩はやっぱり先輩だ、と完全にやる気がなくなってしまった佳菜。
改めてアドバイスの続き……赤矢の行った、怪物殺しの罪の重さを指摘してきました。
この世界は、怪物殺しを決して許さないだろう。
そう言って、佳菜は赤矢に拳銃を渡してきました。
故障しているのか撃てないけど、人間相手なら貞操を守るくらいはできた、と。
辛辣なことを言いながらも、佳菜はどうしてここまで赤矢の世話を焼いてくれるのでしょうか?
……佳菜は、もともと赤矢にあこがれて同じ学校に入学してきた、のだとか。
自分の陸上人生を台無しにしてくれた仕返しがしたい、あっさり死なれては溜飲が下がらない、と嘯く佳菜。
ですがこの拳銃を手放して佳菜は平気なのでしょうか?
それを尋ねると、佳菜はその輝く左掌を見せてくれました。
あの壁に触った印……この状態ならば、いつでも変身できる、変身できれば拳銃を持っているよりも安全。
これが、彼女のアドバイスの三つめ、と言うわけでしょう。
にっこりと笑う佳菜、次の瞬間
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彼女の頭は撃ち抜かれました。
ピクリとも動かない佳菜。
……死んでいます。
撃ったのは、警察でした。
掌を見せろ、人間だとわかれば撃ちはしない!
そんな警察の叫び声を聞きながら、赤矢は思いました。
この世界のどこが公平だと言うんだろう。
この世界は市で溢れている。
死は唐突で容赦もなく……そして不公平だ。



と言うわけで、ヒロイン登場、と思いきや早くも死んでしまった今巻。
誰しもが強者で弱者と言う公平さと、あらゆるものに無慈悲な死という不公平をもたらすこの世界。
赤矢はこの衝撃の光景を前にして、これからどう生きていくのでしょうか?
護ろうとしていた人間によって、友人、とまでは言えないまでも、知人を殺されてしまった……
幸か不幸か、赤矢の家族はみなこの世界の外にいるはず。
そんな状況で、人間を本当に守るべきなのか……?
その疑問は付いて回るかもしれませんが、赤矢が人々を守りたいという気持ちは本物。
そして、もう一つ……彼の体に刻まれた、怪物殺しの烙印は決して消えないのです。
赤矢はもう、怪物殺してして生きていくしかないはず。
そんな運命の中で、赤矢が目の当たりにするものとは……?

驚愕の展開、運命の邂逅、すさみ行く人々の心、そして激しい戦い。
そんな目の離せない展開がこの後も連続!!
この第2巻でも、目を離すことのできない展開が目まぐるしく繰り広げられます!!
そしてもちろんこの後も、とんでもない展開が待っているはず……!!
これから先も楽しみでなりませんね!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!