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今回紹介いたしますのはこちら。

「早乙女選手、ひたかくす」第3巻 水口尚樹先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。


さて、八重とサトルがこっそり付き合う中で起きていく様々な出来事を描いていく本作。
二人の関係を知って、面白がってマネージャーになった美都に加え、合宿先で何やらサトルと仲のよさそうな美女、若乃が登場し、八重の気持ちはざわつくばかり!
二人の関係に進展が見られない間も、着々と大会の日は近づいていくのですが……?



ある日のことです。
サトルが、サンドバッグを懸命に叩いていました。
交代の合図がかかると、叩くのをやめて下がるわけですが、そんなサトルにタオルを持ってきたのは八重でした。
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本来は八重のトレーナーとして頑張ているはずのサトル。
まるでこれではいつもと逆のようで、サトルは何か新鮮だ、と漏らし、八重もまた気恥ずかしそうに頬を赤らめるのです。

サトルがいつもとは違ってしっかり練習しているのには、もちろん理由があります。
八重のトレーナー業を頑張っている陰で、しっかりと自分の練習の時間も作って訓練をしていたサトル。
監督はしっかりそのことを知っていまして、サトルの試合を組んでくれていたのです。
自分の試合が決まったからと言って、トレーナーの仕事も手を抜きません。
サンドバッグをったき始める八重にしっかりと声援やアドバイスを送るのも忘れないのです。

そんないつも以上に張り切っているサトルを見て、うるさいなぁとぼやくのは美都でした。
基本的にやる気のない彼女ですが、マネージャーの仕事はばっちり回ってきます。
美都に渡されたのは、インターハイに出場する選手の一覧表。
八重の対戦相手のデータなどを頭に叩き込んでおいて、マネージャーとしてのサポートに役立てろ、と言うことわけです。
八重はパラパラとページをめくっていき、誰もかれも八重みたいに真面目そうな子ばかりだ、と笑っていたのですが、その中で一人目を惹くビジュアルの選手を見つけました。
ですが男子部員の布木によれば、その選手「顔はいいけどヤベー」とのこと。
なんでも、昨年八重が敗北を喫した選手だというではありませんか!!
インターハイ王者の本命ともいわれている八重が負けた相手……?!
彼女が負けたというのはにわかには信じられない所ですが、それもそのはず、その時八重はまだボクシングを始めて3か月だったとのこと。
流石の八重と言えども、ボクシング歴の浅さはカバーしきれなかったと言う事のようです。
が、今年はわけが違います!
荒から一年が経って八重も成長しているのですから!!
サトルと言う力強い支えを得て、ボクシングの技術も、心の強さも!

大会直前の厳しい練習を終え、一緒に下校する八重とサトル。
サトルはボクシング雑誌を読みながら歩いていたのですが、その中のカウンターの瞬間を映した写真に目を奪われていました。
どうしたらこんなきれいなカウンターを打つんだろう、いまいちコツがつかめない。
そう言って構えてみるサトルの向かいに立ち、八重も構えを取ります。
カウンターの打ち方、私の場合は……
そう言って、実際にその場面を想定した動きを披露してくれるようです。
しかし、
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「ぐっ」「さっ」「どーん」と言う、擬音だけの説明で……
よく言う、天才は感覚で動いているから言葉では説明できない、と言うやつでしょうか。
サトルは素直に、全然わからない、と答え、もう少し詳しく説明してくれとお願い。
「ぐっ」と言うのは踏み込むってこと?と尋ねながら、同じように動いてみるサトルですが、その後八重は相手のパンチを「すっ」とよけて、「パーン」って……と、さっきと少し血這う感じの説明をし始めるのです。
ちょっと変わってるじゃないかと思わず突っ込むサトル。
そこで八重は、もう実際にやってみようと考え、サトルに軽く打ってきてくださいと言いました。
二人は、そのまま少しの間カウンターの練習を行います。
今までしたことのなかった、二たりきりの練習。
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自然と二人の表情は緩み始め、笑顔になっていくのです。
……その後、手の滑った八重のカウンターがサトルにさく裂してしまうのですが!!

大会が翌日に迫る夜。
サトルには、姉も心配する一つの心のしこりがあるようです。
それは試合への不安……などではなく、大会の場所がサトルの出身地、地元である京都だと言う事。
京都に暮らしていたとき、サトルにはいろいろとあったようで……どうしても、不安はぬぐいきれないようなのです。
そして、八重のほうもいつもの試合前とは違う何かが起こっていました。
シャンプーと間違えてボディソープで頭を洗ってしまったり、風呂上がりにシャツを後ろ前に来てしまったり、床についても全く寝付くことができなかったり……
今までこう言った経験のない八重は、何故なのか首をひねるばかり。
何故なのかわからない八重ですが……机の上に置いておいたボクシンググローブを見て、母親が自分にかけてくれたある言葉を思い出すのです。
そこで、八重は自分の胸に圧し掛かってくるものが何なのかに気が付き……
大会前日の夜だというのに、机に向かって何かをし始めるのでした!



というわけで、いよいよ大会編に突入する今巻。
八重とサトルの中は相変わらず牛歩のようではございますが、それでもしっかりと心は通じ合っている様子!
そんな二人の、じっくり距離を縮めていく恋愛模様を今回も楽しめます!!

そして前巻で登場した若乃の存在も一つのアクセントになっている様子。
ゲストキャラに終わらず、ちょこちょこと出番を増やし始めた彼女、サトルを意識していたりと言うようなことはあまりなさそうですが、やっぱりその距離の近さは八重に取っては無視できない部分!!
どうしても対抗心のようなものも湧いてきまして……!!

その他にも、プールでの練習やら、八重の家での様子やら、八重入部当時のエピソードやらと様々なお話を収録!
その中で特に注目したいのが、肝試しのエピソードです!!
八重の意外な一面を見ることができるばかりか、いつも以上に悪乗りする美都、若乃と布木の意外な組み合わせで生まれるある騒動などなど、見どころ満点!!
八重とサトルの初々しい恋愛と、そこで起こるちょっとした騒動だけでなく、サブキャラの活躍なども楽しめますよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!