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今回紹介いたしますのはこちら。

「ダンジョン飯」第5巻 九井諒子先生 

エンターブレインさんのビームコミックスより刊行です。


さて、とうとう目的のレッドドラゴンと遭遇し、ファリンを助け出すことのできたライオスたち。
と言ってもファリンはすでにその体を失っていたため、禁忌の黒魔術を使って蘇生させる、と言う手段を用いたのですが……
それでもファリンが戻ってきて、喜び勇む一同。
レッドドラゴンの肉で再会を祝いながら夕食を取り、あとは帰るだけ……のはずだったのですが!?



5人は、地下街の一室を借りて眠りについていました。
いや、厳密にいうと4人で、センシはその部屋の隣で一人もそもそとレッドドラゴンのハムを作っていましたが……
そんな時、いきなりファリンがぱちりと目を開き、音もなく起き上がります。
そして、何かに呼ばれているかのようにフラフラと立ち上がって、そのまま窓から建物の外へ。
まっすぐにどこかへと向かい始めるのです。
そんな彼女の様子に、この街に住む亡霊たちが気が付きます。
どうやら何らかの意思をの釣らしい亡霊たちは、ファリンの袖をつかんで彼女を行かせまいとするのですが、舵輪は意に介さず、熱に浮かされて様な顔のまま足を動かし続けました。
彼女がたどり着いた先は……レッドドラゴンの亡骸の下でした。
そこには……ライオスがあの「絵の中」で遭遇した、褐色のエルフがいるではありませんか。
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そしてそのエルフは、振り向きもせずファリンに語りかけるのです。
そこにいたのか。なんだその姿は。
お前には陛下捜索の人を授けたはず、暇を与えた記憶はないぞ。
その声を聞くと、ファリンはぺたんと地面に膝をつき……

ガタン、と言う音が立ち、ライオスが目を覚ましました。
どうやら立てかけてあった県が倒れたようです。
中に住んでいたあいつが動いたせいなのでしょう、一緒に起きてしまったチルチャックは不満げですが……そのおかげで、ファリンがいないことに一同は気が付きます。
ずっと起きていたセンシも気が付かなかったと言うことは、ファリンは窓から外に出ていったに違いない。
そう考えたライオスは、胸にわいてきた不安な気持ちを抑えきれず、剣を片手に彼女の捜索へ向かうのです!!

レッドドラゴンのもとへとたどり着くと、そこに待っていたのは異様な光景です。
まだほとんど残っていたはずのドラゴンの肉が溶け落ち、その骨の下にできていた血だまりの中に、ファリンがうずくまっている……
ライオスはすぐ彼女のもとに駆け寄って、大丈夫か、何があったんだ、と問いかけながら駆け寄ります。
ですがファリンはライオスのほうを見ようともせず、デルガル様、お探ししなければ、と意味の分からない言葉をつぶやくばかり。
一体それは誰のことなのか、と首をかしげるライオスですが、そこに……現れたのです、褐色のエルフが!
エルフは、ライオスに語りかけてきます。
この地に存在する、お前が今踏みつけている砂粒一つに至るまで、すべてはデルガル国王陛下その人の所有物である、汚らわしい盗賊が。
貴様、見覚えがあるぞ、絵画の中をうろついたいたな。
何者だ、何が目的だ。
ライオスの中で、エルフの語った言葉や、絵画の中で起きた出来事が早馬のように駆け巡り……そして、ひとつの結論にたどり着きました。
このエルフこそが
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迷宮の主、「狂乱の魔術師」!!
ゆっくりと手を伸ばしてくる恐オランの魔術師ですが……そこで、異変に気付いたマルシルたちが到着!!
マルシルが魔法で威嚇し、ライオスはその隙に距離を取ることができました。
ライオスはすぐファリンを助け出そうと駆け寄るものの、苦しむ彼女は、あの慕っていたライオスに対して、うるさいと叫び、腕で振り払いました!!
すると、ライオスは数メートルも吹っ飛び、その衝撃で意識まで失ってしまいます。
通常のファリンからは考えもつかないその力。
チルチャックはあまりの事態に考えが追いつかず、戸惑うばかりなのですが……狂乱の魔術師が不気味な本を取り出して術を唱えだすと、嫌な予感がみるみると湧きだしてくるのです!
その嫌な予感を最も顕著に感じていたのが、マルシルでした。
続々と走る背筋の悪寒!!
この術は……古代魔術!!
狂乱の魔術師は、レッドドラゴンの血を媒介にして小型のドラゴンを大量に作り出し、一同にけしかけてきます!!
その力はやはりとんでもなく、マルシルの防御魔法で防ぎきることはできなさそう。
そこでマルシルは、覚悟を決めました。
杖をしっかりと握って魔力を巡らせ……術を防ぐのではなく、「直接書き換える」
と!!
マルシルは、飛んでくる血の竜に向かって杖を振るい、呪文を走らせることで血を竜に帰る術そのものを無効化、解除することに成功します!!
が、次々に襲い掛かってくる血の竜を一匹一匹叩きつぶしていく、のが精いっぱい。
この古代魔術、わかる、読める!と手ごたえを感じるものの、同時にこれについていくのは無理だ、と悟ってしまい……変な笑い顔になってしまうのです!!
血の竜の攻撃をギリギリでしのいだマルシルは、相手が狂乱の魔術師だと何となく気がついたようで。
貴女がこの迷宮を作ったの?私、あなたと話が……と会話を切り出したのですが……
そこで、床に大きな口のような亀裂が走り、一同を飲み込んでしまったではありませんか!!
落ちた先は、小さな小部屋。
それで済めばよかったのですが……その小部屋は、徐々に四方から壁が迫ってきて、小さくなっています。
このまま、4人を押し潰すのでしょうか!?
なすすべなく、迫りくる壁に恐怖するほかない一同……!!
このまま4人は壁に押しつぶされてしまうのでしょうか!?

そして、狂乱の魔術師はと言うと……町の亡霊たちに笑いかけていました。
陛下もじきお戻りになられる、その時は盛大にお祝いをしよう。
そう笑うと、今度はファリンに向かって声をかけるのです。
おい、竜。
それでは不便だろう、今一度新しい体をやる。
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ファリンの体が、ぼこぼこと泡立ち、その形を変え始めます。
狂乱の魔術師は、冷たい瞳でファリンに成すべきことを成せ、と固い掛けると……
ファリンは、はい、とだけ答えるのでした……



と言うわけで、新展開を迎える本作。
ファリンを取り戻したものの、再び狂乱の魔術師の手のうちに捕えられてしまいました。
そしてライオスは達は、そんな狂乱の魔術師の魔術によって、死の瀬戸際に追い詰められてしまいます。
ふりだし以下の状況に戻ってしまったともいえる本作、ここから新たな展開へ!!
ライオスたちは、ファリンはどうなってしまうのでしょうか!!

こんな展開になっておりますので、今巻はおなじみのモンスター食関係の話題は少なめです。
勿論ある程度落ち着いてくると出てきますが、今巻の前半は、ファリンをいったん救い出すまでの、いわば第一部のまとめ的な部分にページを裂いておりますし、後半もその後始まる第2部的な物語の序章と言える内容。
食事をとる余裕事態が、物語的にも、主人公たちの気力的にもあまりないのです。
それでも3回くらいは食事シーンがありますのでご安心(?)を!
こんな状況ではありますが、以前ライオスが語っていた夢賀ずつ減するシーンもありますし、少ないながらもしっかり読みごたえあるシーンとなっていますよ!!

ですがやはり一番気になるのは物語の展開でしょう。
狂乱の魔術師の目的らしきもの、「デルガル陛下の捜索」と言うものが見えてきましたし、ファリンを取り返すために今しなければならないことも変わってきました。
さらに、意外な登場人物もその姿を現し、物語に大きな影響を与える予感も匂ってきます!!
そして狂乱の魔術師の配下になってしまったかのような感覚を受けるファリンを、助け出せるかと言うことも気になるのですが……そこを逆に言えば消化されてしまうというタイムリミットがなくなった分、時間的には余裕ができたという見方もできます!!
寄り腰を据えた物語となっていきそうな本作、これから先の展開も見逃せません!!
絡んでくる人数や、ファクターも増加していき、一層厚みを増した物語、これからもやってくるであろう数々の食事、そして深まっていくような気がするパーティーの絆。
どれをとってもこれから先が楽しみです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!