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今回紹介いたしますのはこちら。

「大上さん、だだ漏れです。」第1巻 吉田丸悠先生 

講談社さんのアフタヌーンKCより刊行です。


さて、「じごくあね」の吉田丸先生の最新作となる本作。
前作は姉と弟の一組の男女に焦点を当てた作品となっておりましたが、本作もとある男女を主役に据えての日常ものとなっています。
ですが主人公となる二人には、少し変わった悩みがあるようで……?


大上さんっていつも本読んでるよね、何の本読んでるの?
クラスメイトにそうたずねられた大上芽衣子は、明らかに挙動不審にないました。
ちょっと、別に、大した本じゃないです……
そんなしどろもどろな返答に、クラスメイトは面白いのかつまらないのかと突っ込んだ質問をしてくるのですが、大上はとうとう耐えきれずに教室から飛び出し、トイレに逃げ込んでしまうのです。
クラスメイトには悪気はなく、彼女がいつも一人で本を読んでいるのが気になっての行動だったようで……
ですが、そんなクラスメイトの気づかいは、大上にとってはちょっと……迷惑だったかもしれません。
なにせ彼女が読んでいた本は保健体育的な本で、食い入るように見ていたのは
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「男性器の断面図」のページだったのですから!
こんなことを知られてしまえば、舌を噛んで死ぬしかねえ……
人知れずそんな薄氷を踏む様な思いをしていた大上、それでも「それ」に対する興味が抑えきれません!
立つとおしっこは出ないのか?
皮って何なのか?
先っちょまで硬くなるのか?
入れる時痛くないのか?
大上とは一線を画す、クラスメイトのカースト上位の女の子たちならわかるのでしょうか。
ですがあの輪の中に自分が入れるとは思えませんし、仮に誰かと仲良くなったとしても何かの拍子に下ネタ的な失言をしてすべてが白日の下にさらされてしまうかもしれない!!
そう考えると、結局何もできないのです。
高校に入ったら一念発起しようと決めた大上でしたが、現実は彼氏どころか友達の一人すらできません。
こんな下ネタ的なことばかり考えているからダメなのだろうか、とうなだれる大上。
ぼーっとしていたためでしょうか、蛇口から水を噴きださせてしまい、全身びしょ濡れになってしまったのです!


思わず挙げた悲鳴。
それを聞きつけて、一人の男子がそこにやってきました。
使う?とハンカチを差し出してくれたのですが……:なぜかそのハンカチ、モップの柄の先っぽにひっかけられて渡されています。
彼は確か、同じクラスの柳沼くん。
なんだか変わったハンカチの渡し方は気になりますが、その要旨は淡麗そのもの。
綺麗な顔してるなぁと見送る大上ですが、その柳沼の手にお弁当箱が携えられていることに気が付きました。
……まさか、大上と同類なのか?
俄然彼に興味が出てきた大上ですが……

そういえば彼も一人だなぁ、などと最初は考えていた大上ですが、次第にその興味は……やはり下のほうに行ってしまいます。
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カッコいい子のあそこって、特別かっこよかったりするんだろうか!?
そんなことを考えていますと、その柳沼がクラスのオラオラ系の男子に絡まれていました。
お前昼休みいつもそこから動かないよな、友達いねーの?
そこすげー邪魔なんだけど。
そう言いながら、柳沼の肩をむんずとつかむ男子。
するとその後、その男子はとんでもないことを言いだしたのです!
お前がそこにいると、宇崎のパンツが見えねーんだよ!!
……柳沼の後ろには、宇崎という女子生徒がこちらにお尻を向けた状態でお友達と談笑をしていまして……
最低、冷たい言葉と視線を送る宇崎。
男子生徒は、「思わず本音が出てしまった」という感じの様子。
男子はたまらずその場を逃げ出してしまうのでした。

その後、大上は柳沼と倉庫の整理をすることになってしまいました。
なぜか徹底して自分の体に触れさせないようにふるまう柳沼、自分の分が終わったからと大上の作業を見つめ始めます。
そうやってみられると心を読まれているみたいだからやめてと大上が言いますと、柳沼はどうして心を読まれるのが嫌なのか、と変な質問で返してきて……?
そんなことをしていますと、ツボが棚の上から落ちてきて大上の体に当たりそうになってしまいます。
それを柳沼は自らの体を呈してかばうのですが……
心配して手を差し伸べる大上に、柳沼はさわるなと叫び……そして、保健室に行ってくる、と外に出ていってしまうのです。
いつもの大上なら、そのまま見送ってしまっていたところでしょう。
ですがその時、ついに大上は一念発起したのです!
私に友達がいないのはいつも目の前の事から逃げるせい。
少しでも壁にぶつかったら、妄想に逃げるせい。
伝えなきゃ、今度こそ!!
大上はそう決意して駆け出し、柳沼に声をかけ、ハンカチを渡しながらこう言うのです。
さっきは、ごめんなさい。
それから、これ、昨日、あり、あり……あ、あ……
思うように出てこない言葉。
ハンカチとともに、柳沼の手をぎゅっと握り、意を決して言葉を紡ぎ出すのです!!
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ちんこ見せて。
……と。



というわけで、とんでもない言葉で物語が始まる本作。
どうやら柳沼にはとんでもない力があるようで、触った相手に本音を言わせてしまう、ようなのです。
そのためひとりぼっちを貫いていた柳沼、事情は違えど大上も何か通じるものを感じていたようで。
二人はこれをきっかけに距離を縮めることになるのですが……?

柳沼とあって決意して一歩踏み出した大上ですが、大上と知り合ったことをきっかけとして、柳沼にも徐々に変化が現れていきます。
彼が少しずつ変わっていくにつれ、その周りには以前はいなかった友達も徐々に増えていき……?
だんだんと友達の輪が広がっていく本作ですが、もちろんこのまんなみんな仲良く楽しく過ごしていってハッピーエンド、になどなるはずもないわけで!!
ちょっと人と変わったところがあって、ちょっと人と違った悩みを持つだけで普通の高校生だったh図の彼らが、これから経験する出来事とは何なのか?
意外に(?)つらい過去なんかもある大上さん、過去いろいろあったんだろうと推測できる柳沼くん、そしてその他のお友達の皆さんの今までとこれからに期待せざるを得ませんね!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!